なにしろ大玉2個ですからねっ!
ステキです

先週の土曜日にちょっと不思議な設定のTV番組を見ました。
BS-hiで放送された「日本のいちばん長い夏」という2時間番組です。
きわめておおざっぱにジャンル分けしてしまうと、毎年夏になると「これでもか」状態で放送する終戦モノではあります。
この番組はタイムスリップ的な面白さもありますが、ホントの主題は「バトンタッチ」です。
戦争が終わったのは65年も前のことです。
ワタクシ達の中では、戦争なんてTVや映画の中だけのものになってしまっています。
それを1963年という終戦からたった18年しか経っていない時点で、当時者たちの言葉を再現することによって、出演者はもちろん、見ているワタクシたちにも、次の世代に戦争のことを伝えていく、バトンタッチしていくことをこの番組は訴えているのです。
この構成の精緻さ、キャストの選び方とそれに込められたこういった意図を知って、かなり感動しました。
ストーリーはこんなカンジ。movienetというサイトからコピペします。
1963年、日本を代表する知識人や政治家、官僚を含む28名の人々が、当時文藝春秋の社員であった半藤一利氏によって集められた。
およそ5時間にわたって彼ら一人一人が語り明かしていく戦争の記憶は、ポツダム宣言に対する日本政府の対応から、原爆の投下、ソ連の参戦、そして終戦へと至る過程で起きた出来事を、当事者たちの心理状態も含めて、次々と露にしていった。
本作は、この座談会の再現を主軸にストーリーが展開していく。

2010年から1963年を眺めていて、しかも座談会の中身が1945年の終戦のときのこと。
番組では、出席者のその後も紹介しています。
戦争中はナニをしているヒトで、1963年時点ではどうで、その後はどういう人生を送ったのか。
見ていると、ナニかタイムスリップしているような不思議な気分にさせられます。
座談会の出席者もバラエティに富んでいます。
内閣書記官長(今の官房長官ね)、外務省トップにソ連やヨーロッパにいた大使。
それにジャーナリストに開戦時のニュースを読んだNHKのアナウンサー。
戦争の最前線にいた兵士だったヒトもいます。
ビルマに抑留されていたヒトや戦犯で10年も服役した陸軍大将、戦争中10年以上投獄されていた共産党の幹部まで。
よくこんなに立場や境遇の違うヒトたちを集められたと素直に感心します。
彼らがそれぞれの立場で終戦に至る経緯、1945年8月15日をどう過ごしたのかといったことを語っていきます。
しかもこの座談会が行われたのは戦争が終わってからたった18年後。
18年前といったら、1992年です。
オトナなヒトなら、
「わー、ちょっと前のハナシなんじゃん!」
と思われるでしょう。
ワタクシなんかまさにそうです。もう結婚してましたし^^;
この座談会を企画した文芸春秋の編集者でのちの有名作家となる半藤一利サンは、それまでたくさんの戦争体験者にインタビューをしたそうです。
でも個別だと、ウソを言ったりジブンを美化したりするヒトがたくさん出てきて。
人間って弱いモンですねー。
だから座談会でみんな集まればウソも言えないし、ってことなのだそーです。
しかもキャストがまた変わってるし。
作家、ジャーナリスト、野球解説者、グルメ評論家といった現代の著名人、知識人が1963年当時の出席者を演じています。
たとえば。
漫画家の江川達也、ガンダムの総監督 富野由悠季。
ジャーナリストの田原総一朗、鳥越俊太郎。

スポーツライターとして元スワローズの青島健太。彼はスウェーデン大使の役でした。
グルメ評論家の山本益博...ナドナド。
もちろん演技はシロートさんですからうまくはありません。
でも訥々と語る口調が意外と真に迫ってきます。
再現座談会の途中で出演者にもインタビューしてます。
それぞれが子供のころの戦争体験や出征した父親のことを語っています。
これがまたヒトそれぞれで興味深いハナシでした。
ワタクシの父親は1928年、昭和3年生まれです。
終戦のときはまだ17歳でしたので、すんでのところで戦争に行かないですんだ世代です。
父のちょっと上の兄(ワタクシの叔父)などは東大在学中に出征し、乗っていた軍艦が沈められて戦死しています。
でも翌年には父もきっと徴兵されてしまっていたでしょう。
でも突然の終戦。
強烈な価値観逆転体験だったと思います。
だからでしょうか。
父はあまり戦争のことを語ろうとはしません。
でもそれじゃいけないんですよね。
きっちりバトンタッチしていかないと。
実はこの番組、全く同じ内容で今月ロードショー公開されます。
映画「日本でいちばん長い夏」サイト http://nagainatsu.jp/
NHKで放送したモノとおんなじモノを映画館でやるの?って気もしますが(*_*;
この映画を見ると、終戦時のことがだいたいわかります。
だから戦争のことをあんまり知らない、歴史のことはあんまりよくわからないというヒトには特にオススメです。