1月6日9:30からの予約のため、9時前に大病院の受付手続きを終えて「乳腺外科」で

診察を待った。

 

ほどなく私は乳腺科長の部屋に呼ばれた。

 

そこで、今までの経緯(いつしこりに気が付いたか?乳がん検診ははじめてか?など)を一通り聞かれ、紹介状を書いてくれたクリニックが大学病院に私という患者を送ってきたということがどういうことなのか?断言はしなかったが、「この後担当医から今後の説明がありますので…。お待ちください。」と、にこやかに(マスクしてたけど、きっとそうだ。)面談を終了させた。その間、約3分。

 

たくさん並んだ乳腺外科の診察室の外の待合ベンチにいる、彼女のところに戻った。

 

「科長先生の面談終わったけど、担当医の説明があるって。」

そういって座り、それまでしていた話の続きを(内容を全く覚えていない)始めたとき、

私の番号が奥の部屋のドアの掲示板に点灯した。

 

「あ。呼ばれたから、行ってくるね。」

 

トントンとノックをして中からの返事を聞いてから、中に入った。

 

私:おはようございます。よろしくお願いします。(ちゃんと言えた。)

T先生:はい。私は乳腺科のTです。どうぞお座りください。今日は、どなたかとご一緒ですか?

私:はい、友人の看護師が付き添いで来てくれています。

T先生:一緒に話を聞きますか?Yuki姐さんが良ければ。

 

はい・・・。

彼女を呼んで隣に座ってもらった。

 

T先生:では、これから詳しい症状などを聞いたり診断をしていきますが、一緒に聞いてもらってもよろしいのですね?

私:構いません。

 

 

もう一度簡単な挨拶をして、電子カルテを開いた。

科長先生にした、最初からの説明をもう一度。

いつごろ、しこりに気が付いたか?

今まで、乳がん検診を受けたことがあるか?

今回ここに来るまでの経緯。

マンモを受けたクリニックの先生は、T医師の先輩だそうだ。

 

ここまで、質問して、

T先生:○○クリニックから送られてきた画像です。○○クリニックの先生は我々の先輩で、

すぐにこちらに紹介状と画像を送ってきたのは、この写真を見れば、我々”プロ”ならば

ほぼ間違いなくこれは”がん”だとわかるからです。

 

私は平静を装って、”そうですか…”といったが、

隣の彼女を見ると、残念そうな、申し訳なさそうな、驚いているような…何とも言えない表情をしていた。

 

T先生:そうはいってもですね。これからどんな”がん”なのか?詳しく検査をしてからでないと、”がん”の診断をしません。

なので、『社会的』にはまだがんではないので、人によっては診断がつくまでの間に

保険の見直しなどをする方もいらっしゃるようです。

 

私はここで『保険』のキーワードに反応。

離婚の際に保険の名義などを変えた際に、保険を見直した。

医療保険から”がん保険”を外したような気がした。

が、そんなことを考えたのは一瞬で、そのあと先生の説明が、続く。

乳がんには…

と言いながら上の図を書いて

5個のタイプに分類できると説明してくれた。

うん。わかりやすい。

そして、そのタイプによって治療方法が異なるとのこと。

 

タイプを見極めるために必要な検査は『細胞診』

これは、がん細胞の肉片をとって検査する穿刺検査。

”…これか…、痛そうだなぁ。”

そして、他にも手術に耐えられるか?の検査…。

”なんじゃそりゃ?”

いろいろと、血液検査とかレントゲンとか心電図とか…。

 

そして、先生はその下に『ステージ』と加えて説明を続けた。

 

乳がんに限らず、がんはそこに留まることなく広がります。

乳がんの場合は近くの骨、肺など。

それから、一番近くにあるリンパ節。

その広がりに応じてステージは0~Ⅳに分けられます。

 

”…ほう。ステージとはこういう意味か…”

 

そこで、全身の状態を診るためにCT、MRI、とRIをします。

 

あのう…。RIって何ですか?

 

先ほどもちょっと言いましたが、乳がんは骨に転移することがあります。

それを見つけるために、骨のレントゲン=スキャンする検査です。

 

そこまで、一気に説明して、さらにつづける。

 

まずは、タイプを知るための検査をしなければいけません。

今日できる検査もあります。ので、これからすぐに始めましょう。

いいですか?

(有無を言わせない口調)

ハイお願いします。

 

ちょうど今日穿刺が15時が空いています。

(その時はまだ10時前、これから5時間待つの?)

彼女を見ると、うんうんうなずいている。

…わかりました。では、それまで外に出てもいいですか?

T先生:いえいえ。それまでにまだこなさないといけない検査があります。

15時までかかりますから、大丈夫ですか?

私:わかりました。お願いします。

T先生:ただし、今大学病院が拡張のために、できない検査というか3か月待ちの検査があります。CTとMRIは外の病院で受けてきてもらいます。

と、いいながら電話の子機でダイヤル。

そして、スピーカーで予約をしながら、PCで紹介状を打っている。

(慣れている…最近の先生はこんな感じなのか…?)

で、その予約がそれぞれの日付と時刻。

 

T先生:○○大病院の手術は通常3か月待ちです。

でも、今はコロナの影響で手術待ちゼロです。

治療方針が決まったら、すぐに手術できます。

次の診察は、検査結果と治療方針の説明になります。

穿刺の結果が通常2~3週間かかります。CTとMRIは1週間前後・・・。

18日だと結果が出てないと無駄になるので25日でいいですか?

 

はい。

 

あとは、看護師が説明します。外でお待ちください。

 
何分ぐらいだったのかな?
外のベンチに腰をおろして、彼女の顔を見た。
「あー、今から検査か…でも、時間かかるみたいだから私一人で大丈夫だよ。」
「大丈夫。よかったね今日やってくれるなんて…。私もそのつもりで来たんだから」
「あー、まじか。決定か。ま、しゃーない…」
「…」
まさかと思ったのは、私だけじゃなかった。彼女に本当に申し訳なかった。
 
これから、怒涛の検査が始まる。
 
…続きます。【検査編】へ。