それから、ひろみつとは
たわいもない話で電話したり、メールしたり。
とにかくコンサートの準備が忙しいとかで、会うことはなかった。
コンサート3日前
夜に突然の電話。
「今からちょっと出てこれる?」
すでに部屋着だった私は、カーディガンだけ羽織って、主人にバレないように、コンビニに行くフリをして、外に出た。
そこにはひろみつの車が止まってた。
車の窓があいた。
「お、まき!ってか、そんな格好で風邪引くなよ」
って言って頭ボンボン叩いた。
「それとこれ、今度のコンサートのチケットね!関係者ってところから、入ってね」
って。
それだけ。
それだけ言って、まだ仕事があるからって、
すぐに去っていった。
どんだけ一瞬なの?
ちょっとくらい顔見て話したかったな・・・
頭ボンボンもすごい雑だったし。
もっと、出会った日みたいに、優しくしてもらいたい。
もっともっと、近くに感じたい。
そして、コンサート当日。
コンサートに誘ったのは、
唯一、ひろみつとの事情を知ってるゆい。
「キスマイのコンサートとかドキドキしちゃう〜!!何はともあれ、まきありがとね〜」
と、コンサート楽しむ気満々。
一方、わたしは、
遠い世界のひろみつを見るのが怖くて気が重かった。
コンサートがはじまると、会場はすごい熱気。
ひろみつにキャーキャー叫ぶファンの子達。
うん、わかる。かっこいいよ、ひろみつ。
キスマイみんなかっこいいけど、ひろみつが別格にかっこよく見える。
コンサートが終わり、
わたしは自分とひろみつとの距離をものすごく感じながらも、気持ちはひろみつでいっぱいだった。
最後に歌った、あの歌よかったな・・・
ソロの踊りかっこよかったな・・・
うちわくらい買っておけばよかったな・・・
そんなことを考えながら、ゆいとご飯を食べて帰ろうとすると、
ひろみつからメール。
「あと2時間くらいで仕事終わるから、今日俺が泊まるホテル来いよ」
上からで、
雑で、
自分勝手なメール。
でも、ものすごい嬉しかった。