いつもこのブログはお仕事情報や日々のあれこれを綴っておりますが、
今回は本業と直接関係ないけれど、去年からずっと手掛けていたプロジェクトについてお話しようと思います。
たまたまブライダル業を営む両親だったから、自分のデザインを大きな仕事として形にできたのは、ありがたいなぁと思います。
もともと子供の頃から言葉にできないものを表現したくて、直感的に惹かれていたのは「音」と「絵や色彩」の世界でした。
『どこにもない新しいチャペルを考えてくれ』
と言われて…
シンボルとしてまず直感的に浮かんだのは
『フラワーオブライフ』でした。
フラワーオブライフって、ちょっと耳慣れない言葉だと思いますが、
実は何万年前も前から人々に知られている
『神聖幾何学』という、神秘の図形。
花の形や種の配列。
六角形をした雪の結晶のように、
自然界にはもともと『神聖幾何学』と呼ばれるものが存在しています。
それは生命の根源を現す形と言われ私達の体にも組み込まれています。
細胞分裂の過程にも
すべて神聖幾何学が組み込まれていて、
先日プロデュースしたカフェのモチーフ
『シードオブライフ』や
2002年頃デザインしたバンケットの
セフィロト『ツリーオブライフ』。
(イギリスから買ってきたステンドグラスが生命の樹を表してます)
そして、今回の
『フラワーオブライフ』チャーチなど、すべて含まれています。
まず最初は、フラワーオブライフからイメージしたチャペルのラフスケッチをしました。
次にパース画や総合デザインをしてくれるデザイナーを募集したら、最初の私のデザインとそっくりのものを提案してきた人がいて、その方と進めていきました。
今回のチャペルとステンドグラスは、
特に、形や色彩が重要でした。
美大時代も
「色が人の意識にどう影響するか」
「色によってどう内側の感覚が変わるのか」
に興味があり、何百枚もスケッチに描いて感じながら研究していました。
フラワーオブライフは、古来からレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、様々な芸術家がモチーフとして使っていて、
最近では
アニメ【エヴァンゲリオン】なんかにもフラワーオブライフの中のセフィロトの木が出てきましたね。
どこにもないチャペルを作るには、
一番重要なのは、今回主役となるのはステンドグラス。
色彩には本当に拘りました。
ネットでもフラワーオブライフのアートはよく見るけれど、
このステンドグラスは
内側から外側へ
暗い世界から明るい世界へ
意識の世界から現実の世界へ
光が乱反射して拡がっていくようなイメージにしたくて
実際の太陽の光の拡がり方を研究し、
外側に紫が入る部分を取り入れました。
最初の提案は透明感が足りなくて
すべて手直し。
何ヵ月もかけて試行錯誤し、
何十パターンも考えてやり直し、
共同製作のデザイナーに何度も指示をだし、
へとへとになりつつ…
締め切りギリギリまで粘って推敲しました。
ステンドグラス工房に伺って直接ガラスの色を選び、ガラスで出来る範囲の、最後のデザインの修正の指示をさせていただきました。
最終的に、見ているだけで深い部分を呼び覚ましたり、自分の中心と繋がりやすい色の配合で構成できたのではないかと思います。
セフィロトなど、初めに私がラフを書き資料写真と共にデザイナーがパースにする形が多かったけれど、今までは名前を出さず。
今回は特に本当に苦労して愛着のある
『作品』ともいえるものになったので
公表することにしました。
最初は反対に合って、現代風のスタイリッシュなガラス張りチャペルに傾きかけたりしましたが
やっぱり芸術や表現って、
どんなに反対意見があっても
「イイ!」
と思わせれば、それでOKが出るんですよね。
誰が見ても、美しいものは美しい。
表現、って
究極的には美しいものを追及すること
なんじゃないかな、と思います。
自然界の作る造形美は
誰が見ても「美しい」。
そう感じるのは、私たちの中に
同じものが宿っているから。
↓式次第用に考案した文章です。
「神聖幾何学フラワー・オブ・ライフ
ステンドグラスに表現された近未来的なこのシンボルは元々自然界に存在する神秘の図形です。
古くは紀元前2世紀のエジプト・アビドスのオシリス神殿をはじめ、インド・イスラエルの古代寺院、トルコ古代遺跡、中国の紫禁城などにみられ、
不思議な共通点として世界各国それぞれの言葉で「フラワーオブライフ(生命の花)」と呼ばれています。
全く違う国々の神聖な場所に国境を超えて現れ、古来から様々な芸術家や哲学者などに知られてきたフラワーオブライフが、
今回ステンドグラスとして現代に蘇りました。稼働するウェディングチャーチとしては世界で初めて。
ステンドグラスは、大地から上がってくるエネルギーが天空のエネルギーと混じり合い、美しい生命の花を咲かせるイメージでデザインしています。
シード・オブ・ライフ(生命の種子)の中に、ツリー・オブ・ライフ(生命の樹セフィロト)があり、フラワー・オブ・ライフ(生命の花)の図形の中に全てが含まれます。
男性と女性の調和やバランス、生命のサイクルを表すとされるこの図形は、花や種の配列、生物の細胞分裂の過程にも現れ、私たちの身体の中にも刻まれています。
見ているだけで深い部分に働きかけてくるのは私達自身に内包されている事を無意識に知っているから。
古代の人々が聖地に刻んだ普遍的なシンボル・フラワーオブライフ。
この図形の表す意味は
「すべてはひとつのもの」
この場を訪れた全ての人にとって、素晴らしい統合が起こっていくことを願ってやみません。」
また、献堂式で奉納演奏をして頂いた岡野弘幹さんは、毎年天河の節分祭でご一緒している音楽家の方です。
岡野さんは訪れた聖地でインスピレーションを受けて作曲し、世界中の神社仏閣で奉納演奏をされています。
ステンドグラスの最終デザインをお見せした際「ここで演奏したい」と言って下さったご縁で
世界で初めてのフラワーオブライフチャーチに初めての【音】を入れて頂きました。
冒頭の祝奏は岡野さんのインディアンフルート。
他に300本以上のフルートを貯蔵しているとか。響きや雰囲気に合わせて選りすぐりのものを、お持ち頂いたそうです。
素晴らしい響きでした。
式典最後の奉納演奏は、
岡野さんの『シンギングリン』と『インディアンフルート』、そして私の『トーニング』
で、コラボレーション。
フラワーオブライフと繋がって響き合いました。
トーニングって『音』…トーンからきているのですが、一般的には聞きなれない言葉かもしれませんね。
毎年の登山やペルーでの体験から
自然界の音や場の意識を感じて、繋がった領域を「声」に落とし込めるようになり
ある時から場と交流する「コンタクト・トーニング」をライフワークとして行っています。
今回【フラワーオブライフ】という
一般的宗教色のない、自然界や宇宙に存在する生命サイクルの幾何学をモチーフにしたチャーチの式典には
讃美歌よりも、
自然や宇宙、森羅万象の生命の源に向けた
「祈りの音」のほうが合っている気がして
オファーさせて頂きました。
本当に素晴らしい祝奏&奉納演奏になりました。
岡野さんは式典後のパーティーでも演奏して頂きました。
素晴らしい演奏だけでなくトークにも聞き入ります。
最後は各バンケットをご案内して終了☆
建物というのは、ある特定の意図をしてデザインすると、そこに目的のエネルギーの″場″ができるような気がします。
ここを訪れた沢山の人々の新しい意識が開いていく場になれたらいいなと思います。
献堂式はやぎ座の満月の日。
これからすべての人の幸せが
倍、倍に、拡がっていきますように。。。
式典後、一人トーニング。