四国犬が12人怪我させた事件について
もうニュースで語りつくされてると思うが。
私は犬に関してはちょっと詳しい(笑)。
四国犬ってのは闘犬の土佐犬と区別される犬種である。風貌も立ち耳で巻尾で短毛で
日本犬の典型って感じである。日本犬といえば他には柴犬、秋田犬、甲斐犬、紀州犬、北海道犬などが
いるが、どれも毛色や体格などは違えど見た目は「日本犬」の特徴をしている。
日本ではもともと犬に関して猟犬に用いられた歴史が長く、しかも猟犬といってもレトリーバやセッターの
ように獲物を持ってくるとか、追い込むとかじゃなく、基本的に「熊除け」「イノシシ除け」がメインの仕事で
要は猟師の「用心棒」。その怯まない強さが役に立ったわけですね。しかも性格は絶対服従で我慢強く、寡黙で
基本的には生涯一飼い主にしか心開かない。まるで武士のような感じでですね。なので「忠犬ハチ公」は貰われた先で
馴染めず、飼い主の居た渋谷駅に戻ってきたのでしょう。
さて、四国犬について、最近はマニアも増えてペットとしても多く飼育されてますね。とても利口な犬で体も強く
とても飼いやすい犬だと思えます。しかしながらそれはあくまで大型犬などを飼った経験がある人(つまり散歩や
扱い方とか経験している人ね)とか躾、訓練ができる人もしくは訓練に預けたり、一緒に訓練を体験しにいったり
できる人であれば大丈夫かなと。ちなみに「躾」とか「訓練」っていうのは言い換えれば、人間社会に適合させる為に
そのルールや行動を教えるって事なんだよね。
つまり四国犬の飼育のハードルは結構高いって事です。しかも今回の事故のように7頭も多頭飼育していれば
おそらく散歩なんて朝晩マメに行かないだろうし、庭で他の犬とばかり遊ばせていれば、
犬同士で運動不足のストレスは解消されるかもしれないけど、犬社会の中で生きている犬になるので
獰猛にもなるし、喧嘩もしょっちゅうするし、人間社会とは程遠い犬になってしまっていたのが事実だろうね。
そんな犬が自身も予想外の逃亡をしてしまい、周囲は不慣れな環境で、そこに人がたくさん居て、
もしかしたら子供達が寄ってきたのかもしれない。犬社会の犬は知らない人にいきなり触れられる事もなく
そこで不愉快な表情(ちょっと唸るとか牙剥くとか)したら子供達が「キャー!」っと走ってにげる。
犬にはそれはGOのサイン。追っかける、声出して逃げる、本能が覚醒して襲う。
多くの動物の歯にはスイッチがあって、一旦噛むとどんどん興奮状態になる、野生でいえば一回噛んだら
獲物を逃がさないようにとことん行く、相手を倒すまでやるってスイッチがある。
多分、そのスイッチがこの四国犬に入ったんだろうね。公園から出て行って近所を散歩のトイプーを
噛み殺したのもそのスイッチが入っていたからと想像できる。犬社会で飼育された悲しいワンちゃんだね。
もちろん一番悪いのはこの飼い主。狂犬病の注射も登録もおろそかだし、おそらくその他のワクチン注射や
フィラリア予防とかもしてるのかな?って疑問になる。獣医さんにかかれば真っ先に狂犬病ワクチンと
登録の話が出て、そこから他の対策になるので、獣医にもかかっていなかったのではないかな?
これはあくまで想像なので強くは言えないが、いずれにしても多頭飼育で人間社会に適合できない
犬を作ってしまった事が罪深い。
TVとかで多頭飼育崩壊で犬が引き取られたりしてる映像をよく見るけど、多頭飼育だからといって
獰猛になる訳でもない。ただそこが日本犬の性格。初見の人に簡単になつかないし、尻尾もふらない犬も
多いし、武士のように無言でいきなり刀を抜く、吠えずにいきなり噛む犬もいる。
つまり動物飼育全般に言えることだが、その特性を理解しないまま飼う、特性に応じた設備投資や
対応ができない人は動物を飼育してはいけないって事。
最後に、ウチの家には2歳半のピットブルがいる。朝晩の散歩は欠かさない、家族みんなで声をかけ、
一緒にTVや映画みたり。ヤツは叱られたら涙目になる(笑)。ピットブルは世界で一番傷害事件が多い犬種として
有名であるがうちの犬には全くその片鱗は見られない。しかし散歩も他の犬と遭遇しないようなコースを選び、
制御がきくように小さな頃から訓練している。それでも他の犬(とくに小さな犬をリードなしで散歩させる
飼い主がいて)が勝手に寄ってきて吠えまくるときはお座りさせて上に跨って、首輪を両手で握り万一がない
ように気をつけている。一つ一つ面倒な事も手を抜かずにやらないと大惨事になるかもしれないと
いつも思っている。犬を飼うという事はそういう事なんだよね。
ちなみにうちには犬の他に「特定動物」(飼育するには獰猛とかで自治体に届け出て認可を得なきゃいけない。
例トラ、ワニ、ニホンザル、ニシキヘビの一種とか)が居て、そこにも当然気を遣う。
逃げられたらマスコミに追い込まれるような代物なんでね。
動物飼うときはきちんと面倒みましょう。