イーサンホーク主演、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ共演。
しみじみとくるいい映画でした!
“ジェローム”と呼ばれる青年は今日もエリートにしか許されない宇宙飛行士を排出するガタカと呼ばれる都市で完璧な成績を上げていた。自分が触ったキーボードのキーの間をミニ掃除機で掃除する彼は極度に潔癖症のように見える
彼の本当の名はヴィンセント。
この世界でいう”遺伝的欠陥者”だった。彼はジェロームという完璧な遺伝子を持つ元エリートに身分を偽り、
自分の夢である宇宙飛行士へ、あと一歩という所まで来ていたが…?!
この世界では、生まれてくる子供はほぼ全てが受精前に遺伝子操作を受けており、
金持ち等は金額によって、音楽やスポーツの才能など自在に優位な遺伝子をプラスして生まれてこれる世界だ。
主人公ヴィンセントはそんな世界で数少ない”神の子”と呼ばれる、男女が愛し合って普通に分娩して出来た子だった。
生まれた直後に遺伝子判定機にかけられ、将来の病気の予測や寿命が全て算定されるこの世界。
寿命は30歳前後、近眼で心臓病の確率99%と判断されたヴィンセントは赤子の時から病弱な身体だった。
そんなヴィンセントを見て両親は弟は遺伝子操作をしてから出産することに。
夢を信じ努力するヴィンセントだったが、長い間、生まれつき優秀な弟には勝てなかったが
ある日、ある勝負で弟に勝ったことがきっかけで本格的に宇宙飛行士にまい進する!
しかし、宇宙飛行士になれるのは優秀な遺伝子を持つものだけ。それ以外のものは遺伝子判定機にかけられ、最初からはねのけられてしまう。
この世界は彼の望みを叶えられる状況になく…
そんなヴィンセントがとった方法は、元エリートのジェローム(ジュードロウ)という最優秀遺伝子を持つ男になりすますものだった。
事故で半身不随になったジェロームと協力し、身分を偽わるヴィンセント。
血のにじむような努力のかいがあり、来週土星へ発てる事になったが、飛行計画に反対していた人間が殺される。
忍び寄る捜査の手。ヴィンセントの緊張感に満ちた日々が始まる…
そんな感じでスリリングに、スタイリッシュにすすむガタカ。
2000年前後の映画だけど、白黒、灰色がメインの無機的な建築物の中でたんたんと日々の努力と、警察に追い詰められながらも自分の夢の為にひたむきに努力するヴィンセントが見ていて熱い。そこまでするか?!という場面もある。
音楽もどこか悲しくも美しく、気高い感じで物語をより一層盛り立てている。
画面も研ぎ澄まされた美があって美しい。
ジュード・ロウはこの作品の演技が彼のキャリアに凄くプラスになったらしく以降有名作品に出ていくけど、このジェロームという失意のエリートの、さりげない繊細さ、絶望感や悲しみが伝わり良い演技をしていると思う。
遺伝子操作で人生のほとんどが決定してしまう世界、嫌ですね~。(^^;)
ヒロインのガタカのエリート女性、アイリーンを演じるユマ・サーマンも息を呑むほど綺麗で上品で素敵です!
最後が切なくて物悲しく、ほろっと泣けて後からジーンときます。
ジェロームに成りすます為の、ヴィンセントの努力が凄まじい!!
不条理で不可能だと思われる夢も、真の情熱を持てば叶えられると、世界は変わるのだと思われてくれる素敵な映画でした。
以下、ネタバレ個人的感想と考察↓
宇宙に行ったヴィンセントは寿命が来て死んで宇宙に帰るだろう~という感想を書く人もいますが、私は違うと思いました。
最後のヴィンセントの台詞は死をにおわせるというより、宇宙の塵からわれわれは出来たという~と言う部分は遺伝子を超え人間は皆同じなんだという彼のメッセージではないかと私は思います。
ジェロームが自らを焼いて遠い世界へ旅立った理由は彼にしか分からないけれど、
最後に一生ヴィンセントがジェロームとして生きていける分のサンプルを残して死んでいった事を思うと、
今まで努力と情熱によって不可能を可能にしてきたヴィンセントが1年の宇宙滞在でぽっくり心臓病かなんかで死んでしまうとは思えません。
「夢を見せてもらって感謝している」といったジェローム。
あのサンプルはヴィンセントが一生ジェロームで生きていけるという未来の伏線だとしか私には思えませんでした。
その先にあるのは、アイリーンとの幸せ。
仮に偽りの身分がばれてしまっても遺伝子を超え夢をかなえた男がいるという事実。それを知っていたガタカの一人の医師。
ガタカの遺伝子差別社会は、差別を超えて、未来はいい方向に代わっていくのではないでしょうか?
弟との最後の勝負の台詞も、情熱と意志こそが道を開くという強力なメッセージに思えました。