今から四年前の冬。私は子供ふたりと福岡へ帰りました。


年老いたじいちゃんに会ったのは、それが最後でした。


戦争と捕虜を経験し、帰国してからは農業と会社勤めのふたつをこなし、子供は男女合わせて四人、趣味は山登りと園芸、酒は飲まずタバコは辞めて‥


いつも真っすぐに生きていたじいちゃんでした。


遊びに行った時に、黒いウールのマフラーをもらいました。


「じいさん、お洒落さんやったけんね~」


確かに、年老いてなお、上品な雰囲気を持った、身の回りをいつもきちんとしているじいちゃんでした。


ひげを剃るときの、あの仕草が好きで、よくじぃ~っと見てました(笑)
きちんと綺麗に切り揃えられた髪。彫りの深い顔立ち。


砂利を敷いた庭を歩くときの、「ザクッザクッザクッ」という軽快な足音が今でも耳に残っています。


‥そのじいちゃんが使っていたマフラーが、形見になってしまってました‥


あとは、私の心に残る可愛がってもらった記憶。
「女の子やろうが!」と脚を定規で叩かれた記憶。
一緒に山登りをした時に、滑らないようにとしっかり握ってくれた手のぬくもり。
いつも乗って来た自転車を整備してくれたこと。
じいちゃん‥


晩年は赤ちゃんに戻り、全てのものに手を合わせ(テレビにも冷蔵庫にも)、皆に見守られ、幸せだったじいちゃん。


いい時にあちらに行ったよね♪


じいちゃんは私のことを見守ってくれています。


ちゃんとわかるもの。


黒いマフラーは紳士ものかも知れないけど、使わせてもらいます。


あったかいよ、じいちゃん。


o(^-^)o


ありがとう。