もう来た
翔さん…
〔こっちだよ!こっち〕
手で誘導してみる
《え?カズ…何言ってんの?》
『ショウ!』
智くんが驚いて立ち上がった
《カズ…オマエが呼んだのか?》
〔そうだよ……智、今日は翔さんと帰れ〕
《勝手なことするなよ!》
オレは潤を無視して櫻井くんを呼んだ。
「二宮くん、お世話かけたね」
〔智…翔くん、迎えに来てくれたよ〕
『頼んでないのに……まだ、たこ焼きもちょっとしか食べてないし。』
「……どうしたの?サトシ…じゃあ、お好み焼きも一緒に食べようか?」
『イヤだ……』
〔翔さん、彼と何かありました?〕
「いや…特に……」
〔とにかく今日の彼は変だから、強引でも連れて帰ってください。〕
機転を利かせてくれた二宮のおかげで
智を探す手間なく、帰宅に誘導出来た。
おれたちは、もう子供じゃなかったけど…
手を繋いで歩いた
今離したら、彼が逃げてしまいそうだから……
さすがに恥ずかしかったのか
『ショウ…もう手を離してよ。ちゃんと家に帰るから』
それにしても、なぜ二宮は今日のサトシが変だと分かったんだろう。
「サトシ……オレの告白が負担だったのなら、忘れて良いから……」
『そんなこと言ってないでしょ……』
「じゃあなぜ?」
『こっちも聞いて良い?』
思いがけずサトシからの質問
『朝…何でいなかったの?』
気にしていたんだ
「振られたばかりなんだぞ……気まずくて、顔なんか合わせたくないだろ?」
『ショウ…ふられたんだ……』
なんだよ…他人事みたいに……
『ボク…ふった覚えがないけど……』
「は?何言ってんの?」
『僕は…ふってないよ。ただ……』
「ただ?」
『困っただけなんだ……』
こんな曖昧な答えを貰って……
オレは、この先どうしたら良いんだ?