ニューヨークに着いて、現地のダンサーさんと合流した。

余りにもタイトなスケジュールに、二宮も疲れを隠せない。

「智くん、大丈夫?」


もう秋だというのに、夏のような暑さだ。

そのせいか智くんの顔色が悪い

『……うん。ちょっと座らせて…』 

珍しい

「貧血だな……」


「休憩を取らせてくれっ」

監督とスタッフに向けて叫んだ。

椅子に座らせて、首元のボタンを開ける

『なに?』

「緩めてるんだよ。大丈夫……」

本番は明日なのに。

本当に大丈夫だろうか?


でも、彼は本番にめっぽう強い男。

前日まで熱があっても、本番前には、必ず下がっていた。

だから、今までだって、どんな小さなコンサートにも、穴を開けたことがない。


だから……オレは心配してるようで、敢えてしていなかった。

『きっと明日は大丈夫……』

「うん。信じてる」

智くんは、オレに寄りかかるようにして目を閉じた。

  

視線の先に、やはり座ってタオルで顔を冷やしている二宮が見えた。

彼は、完全にオーバーワークだ。

腰も痛いと言っていた

大丈夫だろうか?


本番に向けて……

オレは気合いを入れていた


絶対に、イッパツ

噛まないように……

今から心臓がドキドキする


だけど、これはオレの両親に向けての

チャレンジだった。