強い夏から、爽やかな風を感じるようになって、NYのフェスが近いことを思う。
『翔くんっ!』
「わあっ!びっくりした……智くんか…」
後ろから智くんの声がした
『「智くんか?」じゃないでしょ?さっきから呼んでるのに、全然聞いてない』
『え………?』
〔はい、はい。恋人同士のいちゃコラは、そこまでっ〕
あ…………今日は2回目の打ち合わせと練習だった。
『いちゃコラなんてしてない!ニノの意地悪っ』
とか言いながら、ニノとじゃれて向こうに行ってしまった。
あれから、オレたちは会ってなかった
智くんは、何を言いに来たんだろう?
♪〜♪
《さすがだな!良い感じ》
順調に2曲を通しで出来た完成度に松本は、満足気だった。
《もっと、演出も出来そうだな》
ゆとりが出来たのか、構成やセットを加えたいみたいだった。
《せっかく夜だし、花火とか……》
『もう良いよっ!』
えっ?
真っ先に松本に反論したのは、智くんだった。
『もう、ジャニーズのコンサートじゃないんだっ。煌びやかな演出は必要ないし、他のアーチスト達との兼ね合いもあるだろう』
その場の和やかだった空気が、一気に張り詰めた。
最も彼らしくない行動だったが、誰が聞いても最もな意見でもあった。
《………まぁ……そうか。》
松本に反論する智くんも、初めて見たけど、却下された提案を受け入れる松本を見るのも、珍しい事だった。
《よしっ!じゃ、前と後ろからの動画も、撮っておいてくれ。最初からもう一度やろう》
〝はいっ!〟
『翔くん、この後ご飯行こうよ』
[あ、オレも行く行く]
『相葉さんには言ってないでしょ?』
智くんが、おりいってオレに話があるなんて、珍しい。
それとも、本当にご飯だけなのかな?
いや、それなら相葉がいたって良いだろう。
『烏龍飯たべたいなぁ…』
「中華かぁ…」
もうちょっと軽い方が…
[烏龍飯なら、オレの家でも食べられるよ]
『千葉まで行くのヤダッ』
[ヤダッ!って……(^_^;)]
グズグズしていたら、相葉に先を越されそうだ
「わ、わかった…探しておくから」
『うん💕』
オレは最近の智くんに、振り回されているようだった。