え?
「あ、サトシッ!」
《リーダー!いつからそこに?》
『オレは、いつだって嵐のメンバーだよ。MAと嵐を比べたことはない。』
「サトシッ」
松本の前でもはばからず、オレは思わずサトシを抱きしめた。
「ありがとう」
《リーダーここに座って》
松本が椅子を差し出した。
「大丈夫?水を飲む?」
『うん……』
『翔くんが、ドアを開けっ放して行ったから、松潤の声がして少し参加したくて…。』
しまった
チラッと松本がオレを睨んだ
『二人共…心配しないで。過去のことは考えてない。確かに町田は親友で、きっと一生の付き合いになるだろう。嫌いになんかなれないけど。…だけど……MAとは比べたくない。オレにとっては、嵐のメンバーは家族と同じくらい…それ以上のものかも知れないから。』
「智くん」
『それに…オレを待ってくれているファン、オレを必要としてくれるメンバーには、本当に感謝しているから…答えを出さなきゃいけないんだ。。』
「焦らないで…大丈夫だから。」
サトシくんのデビューは、壮絶なものだった。
裏切り者!と書かれたうちわが並び、MAファンがJrコンサートに押しかけた。
少年隊専属バックダンサーから、サトシくんがアイドルグループ「嵐」に移籍したことは、結成したばかりのMAのファンには許されざる行為だった。
MAにも戻れない彼の居場所は、もはや嵐だけだった。
《リーダー、ゆっくり進もうよ。キャンプでも、絵画でも好きなことだけしていれば良いよ。》
『うん』
《じゃ、オレは帰るわ…》
「ありがとう」
《翔さん、また。》
『行っちゃったね…』
「寂しい?」
玄関まで見送ると、思わず抱き合った。
『ううん。僕には翔がいる』
「サトシ…」
『寂しいわけないでしょ?』
その言葉に思わず目が潤む
長ソファに寝かせて、全身に思い切りキスを降らせた
『しょお…』
「優しくするから……」
『ダメ…だよ…』