彼とオレでは常識が違うのか……


信じられない言葉が次々とサトシの口から飛び出したせいで、オレは言葉を失った。


騙されても良い

全てを失っても良い…だなんて…

あなたって人は……

いったい何を考えているの?


『オレね…お金を稼ぐためだけに芸能界に入ったんじゃないし』

「それは、知ってるけど…」

『それにね、その土地にはホテルだけじゃなくて、オレの大好きな人たちが住めるような夢の住処を作ってるんだよ』


え……

大好きな人たち?


その他人の夢のために、自分は身ぐるみ剥がされても、大丈夫とすら言いそうだ。


彼にはジュニア時代に消えていった、大好きな友人が沢山いる。


もしかしたら、オレより仲が良いんじゃないか?って、何度ヤキモチを焼いたことだろう……


そんな彼らをみんな集めて、一緒に暮らそうと言うことか?


『翔くん……』

無言になってしまったオレに、彼が呼びかけて

『オレは…いつでもずっと翔くんといるから。』

と、1番安心する言葉を繋げた。



『それに……』

サトシの言葉はまだ続いた

「なに?」

本気で彼の言葉に向き合おうと思った


『例え……無一文になっても、翔が食べさせてくれるんでしょう?』

と、ちょっと冗談ぽく笑った。


そこまでの覚悟の上だと知って、益々絶句してしまったが、

「もちろんだよ。気がすむまで、思い切りやったら良いよ」


『しょお…、ありがとう』



「うん……」

………………切ない……

無一文どころか、下手したら借金の恐れもあるだろう

だけど……
それを含めても、オレは彼を愛してる。
誰にも、取られたくない


これが、大野智という人間を丸ごと愛すると言うことなんだ……