結局あの日は、智くんとは話が出来なかった。

それから嵐は、コンサートの打ち合わせに入った。
2002年という年は、目まぐるしいはど、嵐には大きな動きがある節目の年になった。

レギュラー番組の【真夜中の嵐】から【Cの嵐】になり、この辛い企画は智くんを大いに苦しめた。
事務所はJstormを立ち上げて……
嵐だけのレーベルを作ってくれたんだ。
これで、嵐の失敗は許されなくなり、益々プレッシャーがのし掛かる。Jstormはたった五人の社員で頑張るしかなかったのだ。
しかし、この厳しい状況が同じ目標を持つ嵐の絆を、揺るぎないものにしていった。
その
嵐の迷走を吐露するかのように、新曲【ナイスな心意気】は、新入社員のコスプレ?と名刺。

総てのテレビ局も、サラリーマンでやりきった。
親近感が湧くように、ジャケ写も今までの嵐では考えられないほど、砕けたものだった。



デビューの地ハワイ。
ファンと楽しむという目標も、実現することが出来て、達成感さえ味わった。
それどころか、このハワイ。
智くんと、最高の夜を過ごしたはずなんだけど。

俺は……一歩。
二人の関係が進んだと思ったけど、気のせいか、智くんは前より俺を避けているように感じる。
あれから、二人きりになることもなくなった。

あの時はどちらかというと、彼の方が積極的に見えたのに。
彼の心変りがわからない………


ぼんやりと、そんなことを思っていたら、マネージャーから事務所に来るように連絡があった。