耐震強度不足に関する損害賠償請求訴訟判決によせて | ライター・時短美容家 並木まき Official Blog Powered by Ameba

耐震強度不足に関する損害賠償請求訴訟判決によせて

7月31日付けの
市川市が被告となっていた
耐震強度不足建築物建築確認等損害賠償請求訴訟の判決は、
原告の株式会社ヒューザーの破産管財人の訴えは棄却され、市川市の主張が全面的に認められました。

この訴訟は、耐震偽装とされたグランドステージ下総中山の関連で、建築主であるヒューザーから市川市に対して、市川市が違反建築物の出現を未然に防ぐべき注意義務を怠ったとヒューザーから損害賠償請求がなされていたものです。

被告は市川市の他にも、該当の建築物を有する行政、北区、江東区、中央区、荒川区、日野市、東京都、横浜市、川口市。
弁論回数は17回、損害賠償請求額は48億3654万9524円、その内市川市への請求は1億2385万7600円でしたが、
原告敗訴です。


個人的にはこの判決は、事実上、行政の監視権の限界も示したものと受けとめました。

そもそも当時、このニュースは建築確認の在り方を含め全国的に様々な議論を世論に巻き起こしたことも記憶に新しいところですが、個人的には、現在の様々な制度が性善説に立っていることを議論するきっかけともなったと感じていました。
行政の制度は、申請書を信頼する前提とせざるを得ない部分もあり、書類上、計算上など形式を満たせば事実上の基準クリアを満たす制度は、これに限らず多数存在します。
一方で、事実や現状をひとつひとつ調査、審議するものとするには膨大なお金と人が必要になるのは言うまでもありません。
もちろんすべての基準、ルールは守られるためにあり、それらを守られないことを監視するのも行政の役目ですが、実際にはすべての制度で明確にそこまでの要求はなされておらず、難しい側面も強いことが課題なのだと感じています。

景気が悪化してしまったこともあり、今後も耐震偽装に限らず、守られるべきルールや基準がなんらかの抜け穴で見落とされることも懸念されます。
市民の安全、国民の安全を真に守るためには性善説に立ったルールづくりでは限界に来ているのかもしれません。

すべての人間が互いを思いやり、人の立場に立って物事をすすめるのは理想あり現実問題としては厳しいものなのでしょうか。
であれば、実行性を担保することを視野に入れたルールづくりを行っていく必要性は以前に比べ高まっていると言わざるを得ないのかもしれません。
今、大きな歴史の中で色々な面で私たちを取り巻く環境が変わり変化を遂げている時代の狭間で、実行性あるルールを作っていくには、このような課題を自覚し、次世代につなげる責任をさらに自覚しなくてはならないものとなっているのだと強く感じています。