学校を卒業したばかりの頃、B社という通信会社のテレビ放送部門でインターンをしていた期間があった。平たく言えば「学生アルバイト」。当時は、まだまだ勉強中だった「放送翻訳」を実体験させてもらえるだけでも目を輝かせて向かったその放送局。
海外の通信社から英語で入ってきたトピックスの和訳のほか、受付電話の対応、お客様のご案内やコピー取りなどの雑用などいわゆる"駆け出しOL"のおシゴト体験。新しい体験ばかりで、一つ一つが新鮮な「オフィス勤務」を体験した。
スクリプト(出力原稿)がある時にはそれを和訳し、
該当原稿がない話題の時には聞き取りで和訳原稿をつくり、
仕上げには画面との間尺に合うか、自分で原稿を画面に併せて下読みしてみたりして。
当時は他局で流されている放送の単語や言い回しも、気づいたときにメモに書き留め、自分の表現の幅を広げるヒントにしていたことも思い出す。
まだまだ試行錯誤の駆け出しが作ったでこぼこ和訳だったかもしれない。
それでも自分の翻訳した原稿をオンエアでの読み上げに使ってもらい、自分のセレクトした単語が電波に乗ったのを見るのは、ワクワクする、貴重な体験だった。
・・・自分なりの仕事との出会いとスタート。当時の下訳の時に調べた単語を書きだしたノートや、原稿のトランスクリプトは未だ捨てられずに持っている。
その時に職場で「社員」や「幹部」として働いていらっしゃった方のたたずまいやお仕事ぶり、ふと何気ないときに交わした言葉も、とても貴重な思い出。
「ニュース配信」という特殊な環境の中、まだ社会のルールも全く分からない学生に対して、許容度のある環境を提示してくれていた、会社だったと思う。
そんな環境の中でKさんという方がいらした。
目指している方にはきっと「憧れ」であろう、局の顔、ニュースアンカー。
社会人になってからアナウンスの訓練を行い、マスコミとは無関係であったメーカーから転職してきた方だと聞いていた。と同時に
すらっとした気品のある風貌の彼は、日本芸能にも造詣が深く
能舞台を踏むことの出来るかなりの腕前を持つ方だとも聞いていた。
ニュースアンカーという仕事
そんなシゴトをしていながら「極めた趣味」。
それも素敵だなぁ。。なんて思っていた。
ある日、その方から
「来週、転職するんだよ」、という話を聞いた。
転職先は、「前の職場」の繋がりでお話をもらった
「かねがね興味があった」という大手企業の中の援助・社会貢献関連の活動とのこと。
大手企業に新風を吹き込む活動。
一見関連性がないように見える職場の共通点はしっかりした「自分軸」と「自分の活動の興味」であるように聞こえた。
男性で(女性でも)、複数のキャリアとやりたいことをバランス良くこなすというのはかなり難しい、かつ珍しいことかも知れない。
目指す物の活動幅の広さと、それをしっかり成し遂げる環境を手に入れる力。
それを実現したひとが、ひとり、目の前に。
その方にとって最後のオンエア日であったその日、
「そんなに幅広く やりたいこと が出来る為の秘訣はなんですか?」
と聞いてみた。
「充実した人生」を過ごすための秘訣。
彼にとってそれは、
三本柱 を持つ
ということ だという。
仕事だけでも、趣味だけでも、二本足ではまだ不十分
もう一つ、自分の興味を加えて柔軟な3本柱を持って、その中でのバランスを取っていくと案外上手く過ごせるよ、と。
短いオンエア前の時間に、いつもの穏やかなスマイルをたたえながら、でも力強く、少し熱く、そんなひと言をもらった体験があった。
何となく、だけれど
「あきらめずにいれば願いは必ず叶うよ」
「自分の意気込みを忘れないように」
というメッセージも同時に頂いたような気がした。
あれから約10年。
・・・今になって、ふと思い出す
いまになって、もっと実感の出来る、
目指す姿を持った方との出会い。
そういえば、とつい先程、10年ぶりにネット上でお名前検索をし、プロフィールをみつけた。 今では更に発展したご活躍を、広くの方に認められた形でされているご様子のポジションでいらっしゃることを発見し、少し嬉しく、そして新たな励みを頂いた。