気がつくとそこはベースキャンプ。

どうやら私は力尽きたらしい。


地面に轍の跡がある。アイルー達がここまで運び応急手当てをしてくれたようだ。

狩猟場では、人間に味方し力尽きたハンターをベースキャンプまで運んでくれるアイルーもいる。


それにしてもひどい有様だ。
防具は所々ひしゃげ、肩当てなどはどこかにいってしまった。
蛇剣も刃を形成するドスランポスの爪が幾つか折れているし、格納機構が破損したのか刃をしまうことが出来なくなっていた。

それでも、体はまだ動く。
武器も防具も、万全ではないがまだ使える。


背中に武器を背負い直し、私は再びベースキャンプを後にした。


周囲が岩場で、大地に染み込んだ水分が集まる。その為に辺り一面泥濘で足場が悪い。

この狩猟場が「沼地」と呼ばれるのは、こういったエリアが多いからだ。


見晴らしがよく、身を隠せる様な場所など無い。

私が此処に来ることを解っていたのか、それとも知らぬ間に誘導されてしまったのか、リオレウスが待ちかまえていた。

再び戦いの火蓋が切って落とされる。

迫り来る巨躯をギリギリで避け蛇剣を大上段から振り下ろす。
斬撃を受けながらも怯むことなく巨大な顎が私を襲う。
それを大剣の腹で受け止め、刃を返すと薙払った。

しかしそれは空を切る。
狙ったはずの頭部は遥か高く、彼は翼を広げ、大きく息を吸い込んだ。

まずい!

体勢を崩しながらも身を翻す。

リオレウスの巨体が軽やかに舞い上がり、同時に劫炎が叩きつけられる。

直撃は免れたが、爆散した炎と巻き起こる突風で吹き飛ばされた。
口に入った泥を吐き出しながら、顔を上げる。

グルルゥゥゥ…
口から黒煙を溢れさせ、低く唸るリオレウス。

それが威嚇なのか挑発なのか解らないが、やるべき事は只一つ。

巨大な爪を、鋭い牙を、巨木の様な尾をかいくぐり蛇剣を振り続ける。
既に刃は切れ味を失いつつあったが、研ぎ直している余裕などなかった。
一体どれだけのダメージを与えれば、彼を倒せるのか…

不意に彼がその身を宙に舞わせた。
急降下を警戒し身構える。

が、その予想に反し高く高く舞い上がっていく。
よく見ると右脚が力無く垂れ下がっていた。

彼もまた生物である事に変わりはない。

攻撃が利いている事に萎えかけた気力が再び湧き出してくる。