ベースキャンプに戻り、支給品BOXを漁る。

消費した回復薬の替わりに応急薬をポーチに入れ、携帯食料で空腹を満たすとベッドに身を横たえた。

思った以上にリオレイアを早く討伐出来た。時間はまだしっかり残っている。

防具も大分傷んでしまったが、残るはリオレウスのみ。


体力を回復させ、ベッドから起き上がると武器に砥石を当てた。


大剣…以前は扱いきれなかったが、なんとか使えているようだ。
これを機に大剣を主にした狩りのスタイルに変えてみるのもいいかもしれない。
そんなことを考えながら刃一つ一つに砥石を当てていく。


さあ、今度こそこの依頼達成してみせる。
自分に喝をいれ、私はベースキャンプを後にした。




狩場としては「沼地」に属しているが、高台にあるためか此処は足場がしっかりしている。

障害物はないが腰丈程の高さの草が多く、しゃがむだけで人の身であれば姿を隠す場所には事欠かない。

そこに彼はいた。
異変を感じているのか、しきりに周囲を見回す。

真紅の体は王者の威厳に満ちている。
空の王者、雄火竜リオレウス。

ハンターを生業としていてもおいそれと狩ることは難しく、その攻撃的な性格は特筆すべきものがある。


その鋭い眼光が私を捉えた。
私の体から発する伴侶の臭いを嗅ぎ分けたのだろうか?
彼女がもう息絶えていることを悟っているのかもしれない。

彼は怒りの咆哮と同時に走り出した。
回避は…間に合わない。


飛竜の巨体を前に、人の身で正面から受け止めきれよう筈がない。
身を投げ出す様なそれをガードしても、その勢いをいなしきれずに弾き飛ばされる。

蹈鞴を踏みながらリオレウスを見やる。
近い。
目の前に棘の突き出た尻尾がある。
それが急速に遠ざかっていく。

体が危険信号を発する。

それに従い一歩距離を取ろうとした刹那、右肩に衝撃が走る。

宙を舞った体が地面に叩きつけられる。
全身を走り抜ける激痛に私は気を失った…。