太く、這うよなベースのイントロを聴いた瞬間に、前作までのミッシェルとは何かが違うと、多くの人が思うだろう。各楽器のヘビーさ、チバユウスケのガナリ声は前作とは比べものにならない。ギターはザクッザクッとカッティングの鋭さを増し、ドラムはよりタイトに。



久しぶりに聴いて、改めて98年の日本のロックの充実ぶりを痛感した。アベフトシのギターの格好良さに思わず聴き入ってしまった。3曲目「サタニックブンブンヘッド」と8曲目「ホテルブロンコ」のインスト2曲や11曲目「アッシュ」ではカッティングだけじゃなく、ギターソロも味わいがあって素晴らしい。ベースの重さや太さが語られがちだが、ギターがアルバム全体を支配していると思う。重く、粘りつくようなグルーヴだけど息苦しくならず、どこか突き抜けるような爽快感があるのは、ラスト14曲目の「ダニーゴー」があるからか。



フリクションの『軋轢』の殺伐とした緊張感、焦燥感に匹敵する90年代の日本のロックを代表する作品。