エレファントカシマシの、売れてはいたがファンからの評価が低い時期のアルバム。僕はこのアルバムが好きだ。もちろん、最高傑作だとは言わないが。


大学のゼミ合宿中ずーっと聴いていた。高速バスから見える味気無い景色を、或は窓に映るの自分自身を見ながら、合宿所の部屋で横になりながら、繰り返し、繰り返し聴いていた。



しかし、今聴き返してみると少々辛いものがある。途中でCDを止めようかとさえ思った。当たり前だが、初期の頃のようにキレながら歌ったりはしない。音楽性を感じない。演奏に個性がない。バンドとしての必然性が感じられない。


だったら何故、このアルバムを取り上げたかというと、他のアルバムでは味わえない夜の雰囲気や切ないメロディーが心に染み入るからだ。



1曲目「good-bye mama」~6曲目「真夏の星空は少しブルー」の展開は、静かな曲が多く、宮本浩次の抑えた歌声が倦怠感や寂寥感を癒してくれる。また、10曲目の名曲「はじまりは今」は、このアルバムの評価に関係なく聴いてもらいたい1曲。演奏はショボイが。


まさに、“愛と夢”のアルバムである。