確かに俺は、最近の流行りに疎い。
これの類語にこんなものがあった。
化石のような。と。
やかましい。
そこまでさかのぼるほど疎くはないはずだ。
自分にぴったりな類語もあった。
時代に合わない。だ。
もし。もし万が一、会話の中で
THEコウタって化石のようだよねえ
よりも
THEコウタは時代に合わないよねえ
のほうが、イラっとはしない。
むしろ、後者の方は少し嬉しい気もする。
だから俺はこれから、気に入らない奴には
化石を乱用しようと思う。
まあ、俺より疎い奴がいれば。だけどな。
「THELOSER」~THEコウタ・そして二人いなくなった。~
バンドやめたい。
りゅーたの口から力なくこぼれた。
もうきついんだ。俺はやる側じゃなく見る側だって気づいたんだ。
限界だったんだろう。
ベースに始まり、今は慣れないドラム。
こんなに辛そうなりゅーたを見たのは初めてだった。
それと同時に、こんなもんかと思ったのも正直なところだった。
メンバーで集まり、四人乗れば狭い車内。
話し合いをしたが、りゅーたの気持ちは変わらなかった。
俺は一人でもやめるなら俺もこのバンドをやめるよ。
ケンタがそう言った。
じゃあやめちまえ。こんなクソバンドは解散だわ。
T・ギャラガーがそういうと、ケンタは車から降りて行った。
りゅーたを家に送り俺は涙を流した。
泣くな、メンバーなんてどうにでもなる。
T・ギャラガーが笑いながらタバコを吸い、そう言った。
順調だと思っていた、バンドマンライフがこの日終わった。
そして二人いなくなった。
ある日、T・ギャラガーも姿を消した。
そして誰もいなくなった。
それからというもの、やることがなくなった俺。
もはやバンドマンではなくなった俺。
そして一年近くバンドから離れていたある日
あることがきっかけで
またまた、俺はステージに立つことになる。