Model Based Developmentの実情が知りたくて
今回は前々から読んでみたかった
モデルベース開発の本書を借りてみた。
現在の自分の職場でも利用されてはいるが
実際の運用面について一般論が知りたかった。
そこでまずは自動車開発現場でどのように
MBDによる制御設計が行われるかを本書で
さわりを知っておこうと考えた。
JMAABとは?
JMAAB
Japan MBD Automotive Advisory Boardの略。
実は元々はJapan MATLAB Automotive Advisory Boardだった組織名を
上記に改めたという。よってリンク先はMathWorks Japanとなる。
本書の編集委員会のメンバー
本書に書かれた内容について
- HILS、RCP、プラントモデル、ACGなど専門用語の解説が途中のコラムとして 挿入されている点もMBD入門者には親切に感じる。
- 舞台はOEMへトランスミッションの一種であるCVTを納入するサプライヤー。
- 入社3年目の主人公が上司の指示によりMBDの調査と製品開発を担う姿を描く。
- OEMより提供されたJMAABのガイドラインからMBDにおけるサプライヤーの役割・責任を主人公が理解していくところからストーリーは始まる。
- そこから製品の完成度検証が目的とするMBDツールの調査を開始。
- モデル開発に必要なツール(MATLAB/Simulink/StateFlow)の選定。
- Rapid Control Prototypingツールの必要性の考察。モデルを汎用装置へ搭載して実車で検証することが可能。
- HILS(Hardware In The Loop System)の開発元選定。モデルやテストデータの共有化による検証作業の効率化を念頭にOEMが利用するdSPACEを選定。
- ISO26262(機能安全の国際規格)の適用を考慮し検証フェーズで求められるBack To Backテストを実現する観点も選定条件とした。
- 課長へ調査結果(見積もり)を提示後に課長が実行計画書を作成。部長へ予算稟議の依頼を提言し具体的な増加人員やISO準拠へのインパクトを実行計画書へ追記するなど実務イベントがリアルに描かれている。
- OEMと初めてのMBDを協業する上での業務のすり合せの風景やOEMから仕様と車両モデルが提供され最適燃費条件に従った変速を行うCVTの仕様作成の依頼をされるなど、MBDによる開発の取っ掛かり部分も詳しく再現されている。
- HILSの構築作業やACG(Auto Code Generator)の設定作業においては実際の内容よりも発生課題や解決方法が書かれて具体的ケースとして役に立つ。
- RCPを利用して汎用ECUを車両を搭載して制御モデルの検証作業では理論と実物(センサ類など)の振る舞いの相違があるためにモデルを実車挙動へ合わせる手直しが発生。モデルの作りこみの困難さの断片が垣間見られた。
- MBDが従来開発のV字プロセスのどのフェーズでどのような効果を得られモデルと実機間でどんな検証(Back To Backテストなど)が新たに必要となるかも登場する設計者たちの考え方をトレースすることでMBDのプロセスの理解が深まる。
- OEM側で車両モデルによる目標性能の事前検証用にサプライヤーへモデルの提供を要求されるというシチュエーションも描いている。この場合には機密保守契約及びモデル内部の開示制限の重要性についても触れている。
- モデルの利用による恩恵は設計部署によって異なる。(対象範囲や粒度など)よって部署ごとの特性を考慮したモデルテンプレートの導入に触れている。その場合に各部署の固有情報や方針の社内共有化の重要性を訴えている。
- モデル利用スキル習得の手段として社内教育用にIPA公開のMBDスキル及びキャリア標準であるETSSをJMAABがMBD用に拡張したETSS-JMAABとLEGO社MINDSTORMSを用いた擬似開発を利用している。
結論はMBDの効能を再確認
読後の感想としては
ストーリー仕立ての上に実務の状況を
非常にリアルに描いているために
これからMBDの業務に携わろうとする
既組込エンジニアには参考になる点が
多いと感じた。
ただ一方で
実務経験者としての知識がないと
理解してイメージするところまでは
なかなかハードルが高いと感じた。
また
適切なモデルの作成には制御対象の理解と
検証/校正用の実験データが不可欠と書かれており
実験とその結果のフィードバックを要する点が
製品開発時の機能検査とラップすることから
モデル開発工数が余計な作業として見られがちだ。
この点について本書を読んで改めて感じたことは
最初からモデル=製品を前提として開発を行うことが
何よりも重要だということだった。
そしてそれはシミュレーションの重要性を正しく認識し
企画から設計へ移行するフェーズにおいて早い段階で
(製品の制約による)制御課題を発見して品質向上・保持に
繋げることこそがMBDで得られる最も大きな成果だと
気づかせてもらえた。
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