ついにがんのウイルス療法が実用化の一歩手前に

出展 ニュートン 2015年3月号より
前回の記事(ニュートン 2014年11月号)を取り上げた投稿では
がん細胞にだけに感染し、がん細胞内のみで増殖する、
特殊なウイルスを生成して利用することで、
正常な細胞を傷つけることなくがん細胞を死滅させる、
理想的な治療方法の研究が続けられていることを綴った。
今回は、科学誌ニュートン2015年3月号で掲載された上記ニュース記事と、
海外事例も含めて現在のウイルス治療の現状について綴っておきたい。
これまでも自分の親類、友人、知り合いががんで世を去った。
親類に至っては死に際にも立会い、その苦しむ姿は脳裏に焼きついている。
今回のニュース記事を読んで、1日も早いウイルス療法の実用化を願ってやまない。
海外でも研究が進むウイルス療法

出典:Oncolytic vaccinia therapy of squamous cell carcinoma
Yu Z, Li S, Brader P, Chen N, Yu YA, Zhang Q, Szalay AA, Fong Y, Wong RJ - (2009)
記事"がん撃退する「GLV-1h68」腫瘍溶解ウイルス"では、
英国がん研究所の標的療法チームの研究グループが腫瘍溶融ウイルスを生成し、
手足に肉腫のあるラットに対して行った実験によってがんの進行遅延と延命効果を、
確認することができたと発表し、悪性黒肉腫への適用を目指している。

出典:Randomized dose-finding clinical trial of oncolytic immunotherapeutic vaccinia JX-594 in liver cancer.
またGLV-1h68とは別に肝がんにおいては、
現在臨床中でSillaJen, Inc.が開発するJX-524の医薬開発フェーズはPhase IIIで、
市販化に向けて多くの患者を対象とした安全性と効果を確認する臨床段階にあり、
SillaJen, Inc.もアメリカにおいて市販化の準備段階と表明している。
後ほど述べるが、日本ではようやく治験が始まったところで、
上記のとおり海外ではすでに市販化を目前にした検証段階に来ており、
国内の出遅れ感が否めない。
その理由としては以前から言われるドラッグ・ラグが、
主な原因だということが以下で謳われている。
2005年に調査された医薬産業政策研究所のリサーチペーパー・シリーズの、
No.25 日米の新医薬品の承認審査に関する比較によれば、
<以下 上記資料より一部抜粋>
「FDA の審査は、基本的に、申請者から提出されたデータに基づき、
審査組織内だけで独自に分析・評価をし、審査を完結させる。
日本の審査は、申請者が分析・評価した結果を外部専門家も活用して
承認可否の判断するところに違いがある。
特に、日本では審査段階において審査側が必要とするデータの
追加解析や追加情報の確認に際しては企業側に作業の分担を求め、
申請者との協同作業として行う面がある。
一方、FDA は医薬品の創出に研究開発段階から積極的に関与しており、
企業とともに協同して進めるという姿勢が明確である」
とあり、特にアメリカのFDAと国内の厚生労働省の承認プロセスの違いが、
ドラッグ・ラグの原因とここでは見なされている。
がんのウイルス治療の日本での現状とは
この投稿の冒頭でも書いたように日本では、
東京大学医科学研究所 先端がん治療分野 教授の藤堂 具紀氏が、
単純ヘルペスウィルスI型を遺伝子組み換えしたウイルスを生成し、
前立腺がんに対する効果を臨床されており、
2014年12月に神経膠腫の治験へ移行したことが東京大学より発表された。
また、東京大学医科学研究所付属病院の脳腫瘍外科のホームページにおいても、
現在進行中の臨床研究として進行性膠芽腫、進行性嗅神経芽細胞腫、
ホルモン治療抵抗性再燃前立腺癌に関する臨床研究の概要が掲載されている。
厚生労働省(東京大学医科学研究所)の資料で、
「実践に基づくウイルス療法開発のガイドライン策定と人材育成」によると、
この中のロードマップでは平成29年までに薬事承認としており、
今回の医師主導治験は薬事承認までのプロセスの入り口に立ったことになる。
よってこの治験でウイルス療法の安全性と有効性を確認できたら、
次は第III相試験で多数の患者に効果と安全性を確認することになる。
特に抗がん剤では、製造販売後に実施されることが多いそうで、
試験的投与を治験を担当する医療機関では受けられる可能性がある。
いずれにしても、このまま無事に計画通りに治験が進んで行き、
5~10年以内に様々ながんへの応用の道が開かれれば、
がん死者数は大幅に減少しその苦痛からも解放され、
さらに人間の寿命が延長されることが期待される。
誰にでも治療が受けられるそんな世の中が、
1年でも1日でも早く訪れることを願いつつ、
先に旅立った方々へ感謝したいと思う。
最新のウイルスによるがん治療がわかる書籍のご紹介
今回の投稿で取り上げた単純ヘルペスウイルスによる、
がんのウイルス療法を研究されている東京大学医科学研究所の、
藤堂 具紀先生が執筆された書籍と、
NHK出版から出版され、藤堂 具紀先生が編著されている、
ウイルス療法の最新事情がわかる書籍を、
併せてご紹介します。
より詳しくウイルス治療の今を知ることに対して、
少しでもお手伝いが出来ますれば幸いです。
| 商品名 | 商品写真 |
|---|---|
|
最新型ウイルスでがんを滅ぼす (文春新書) |
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NHKサイエンスZERO ウイルスでがん消滅 (NHKサイエンスZERO) |
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