先日の記事で、土壁そのものには断熱性がないという話題に少し触れたけれど、その続きを書いてみたいと思う。
経産省の方針で2020年には性能表示のできない住宅は建ててはならないという事になりそうで、伝統構法で建ててきている工務店などは、これまで以上に苦しくなる事が予想される。

確かに土壁っていうか、土そのものには「断熱性」はないね。
過去に粘土から作った日干しレンガで、パンやピザを焼く窯の作り方の指導をした事があるけれど、石窯と比べて、熱しやすく冷めやすい窯・・・という印象が強かった。
パンを焼くよりピザを焼くにはいいのかもしれない。
商業ベースで使う窯ではないので、それでもいいかと思ったけれど、より効率よく燃焼させようと思ったら、日干しレンガを使う場合は、なんらかの断熱対策をしたほうがよさそうだなと。
木灰がいい断熱材代わりに使えるんだけど、窯の構造がややこしくなりそうで。
なかなか現実的ではないかもしれない。

話を戻して、建築での土壁の断熱性をどうやって確保するかと、実家のリフォームで実験的に導入してみたのが、ストローベイル工法という方法。
元来、アメリカの広大な穀倉地帯で木材の供給が難しかった地域で発達した建築方法がストローベイルハウスと呼ばれる建築。
小麦を収穫した後の麦藁を圧縮したブロックを積み上げ、壁構造とし、梁を渡して屋根を構成する。
麦藁のブロックの上に土を塗って仕上げるという工法。

この工法が日本にも入ってきて約20年ほど。

残念ながら日本は地震が多いので、ただストローベイルブロックを積み上げただけの構造では一抹の不安が残る。
やはり軸組み工法との併用が必要かと。

断熱材として、このストローベイルブロックを使うだけでなく、これまでの伝統構法の「貫き」と同じ効果も期待できる。
柱と柱の間に圧縮した麦藁のブロックを入れる事で、耐力壁としての強度を出そうと言うわけで。
もっとも、先日の記事の通り、うちの実家はいくら耐力壁を強化したとしても、あの桁の加工では、耐震性があるとは思えないけれど・・・。

さて、本来のストローベイルブロックとは、農業機械のアタッチメント(ベイラー)で、油圧でカチカチに圧縮してあるものなのだけど。
牛馬向けの飼料、敷き藁を回収して保管するための機械なので、出来上がるブロックも厚さ30cm近くあって、日本建築にはとても使いづらい。
そこで、オリジナルサイズのストローベイルブロックを作るためのベイラーを合板で作ってみた。



作り方はネットで探してみた。日本にはなかったものなので英語で探して。

構造的には、たったこれだけの事。難しくも何もない。


出来上がったストローベイルブロック。
圧縮した状態で、麻縄で縛ってあるだけ。
最初のうちは反発が強いんだけど、こうして縛ってやると、面白いことに麦藁同士が癒着してくるのだ。麻縄が切れたり解けても、パーンと破裂するような事がない。あれは不思議だなと。


このストローベイルブロックを実際に壁に積み上げてみたのが、これ。
これはトイレの壁。

竹小舞を併用して、壁の強度をより強めてみようと。
最初のうちの麦藁の圧縮加減がいまいち弱かったのもあって、補強も兼ねて。
同時に壁に曲線を取り入れたいので、しならせた竹を組んである。


壁土を塗った後の様子。
麦藁の表面にも壁土が付いて、竹小舞にも壁土がついて、決して落ちる事がない。
試しに一度、小さなストローベイルブロックに実際に壁土を塗って乾かしたものを、放り投げてみたり、揺らしてみた限りでは壁土が剥離する事はなかった。

まだ仕上げが終わってはいないけれど、トイレは格段に暖かくなった。
リフォーム前が酷すぎたのもあるのだろうけれど。

また、このストローベイルブロックが崩れない限りは、例えば地震で倒壊したとしても、生存空間ができやすいのではないか?と思うのだけど。
まだ工夫は必要だろうと思う。



欠点もいくつかある。
一人でやってるのもあるのだろうけれど、手間がかかりすぎ。
人数をかけて、手際よくやれば、もっと早くできるだろうけれど、アタマの硬い職人たちでは、おそらくやらないだろう。人件費もそれだけかかる事になるし。

それから本来のストローベイルブロックの厚みの半分とはいえ、18cmくらいある訳だから、日本建築の真壁、大壁との取り合いの問題が出てくる。
今回は外側は真壁、内側は大壁という仕上がりにしたけれど。
外側を真壁にするにしても、柱の太さを5寸角くらい欲しい所。
そうなると材料費はそれだけ高いものになる。普通に材木屋で購入すれば・・・。