あ・うん/向田邦子
<あらすじ>
つましい月給暮らしの水田仙吉と、軍需景気で羽振りのいい中小企業の社長
門倉修造との間の友情は、まるで神社の鳥居に並んだ
一対の狛犬あ、うんのように親密なものであった。
太平洋戦争をひかえた世相を背景に、男の熱い友情と
親友の妻への密かな思慕が織りなす市井の家族の情景を
鮮やかに描いた著者唯一の長篇小説。
読み始めてすぐ「あ~好きだ」と思って最後までぐいぐい読了。
なんとも清々しく、人間らしさのにじみ出ている1冊です。
水田と門倉の友情の深さは、「親友」ってこういうことをいうのかなと
とても感心したけど、それに加えて水田の妻たみを加えた、
普通なら考えられないバランスで成り立つ三角関係が
人間関係の面白さと奥深さを感じさせてくれました。
人同士の関係なんて、必ずしも型にはまった間柄だけではくくれなくて
はたから見たら様子がおかしいことなんてたくさんあっても
おかしいなりに成り立っていることもあるんだろうな。
そんな3人を見つめる、水田とたみの娘、さと子の存在感も光っています。
いつかまた読み返したくなりそう!
最近、田辺聖子とか向田邦子とか、少しだけ昔の女流作家の本が
妙にしっくりくることが多い気がする。