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ずーーっと前に読んだ「天使の卵」とまるで違う…
村山由佳作品への印象が全く変わった1冊。
短編集なのに、続きが気になってページをめくる手が止まらず、
読後も世界にどっぷり浸かったまま数日間を過ごしました。

禁断の恋に悩む兄妹を軸に、彼らの家族たちがそれぞれ抱える苦悩を
それぞれ短編として、同じ時間軸の中で描かれていきます。
彼らが家族それぞれにどのように映っているのか、
それぞれ内側に抱えているものは何なのか。
その両方を見つめることができることで、浮かび上がってくる家族の姿。

彼らそれぞれの話は、やるせなく、救いようがないように思えるけれど
それでも生きていくんだという、見えない決意が感じられるところに
人間の強さのようなものを感じました。

家族って毎日一緒にいるのに、内側に抱えているものには
お互い意外と気付いていなくて、でもそれでも繋がっていて、
思いやっていて。
この本を読んだら家族って何なんだろう?ってわかるかなと思ったけど
改めて何だろう?と考えこんでしまったり。

兄弟愛、不倫、レイプ、いじめ、学生運動、戦争などなど
扱っているテーマはかなり重たいのですが
それらをさりげなく扱い、でも確実に何かを伝えてくれる1冊。

「幸せとは呼べぬ、幸せもあるかもしれない」

読み終わった後、この一言が胸に響きます。