次は、サイコドラマで友達の気持ちを理解する方法を話します。
サイコドラマというのはグループセラピーの一つであり、芸術療法の一つでもあります。ということは、グループの力と芸術的な力を利用して真実を理解する方法なのです。
お芝居の特徴は、舞台という現実にとらわれない自由な世界を作ることができます。イメージの世界です。そして、その中で、自分以外の色々な役を演じることが第2の特徴です。友達から傷つくようなことを言われた。それに対して、現実の世界で友達の気持ちを聴くことはなかなか難しいです。ところが舞台にすれば、それはすぐにできてしまいます。
その友達と話し合う場面を作ればいいのです。その一番単純な形式をエンプティチェアと言います。椅子を二つ並べて、もう一つの椅子に友達が座っていると想像するところから始まります。そして、現実では言えない言葉を話してみるのです。治療者は舞台の監督として、ドラマを進めていきます。
「ぼくが相談したいと言ったときに、忙しいからと断られたのだけど、僕が嫌いなのかい。ぼくがうるさいのかい?君のためにいろいろいつも相談に乗っていたのに、君は応じてくれない。傷ついたよ。ひどい奴だ」言いたいことを言ったら、今度はもう一つの椅子、友達が座っていると想像している椅子に座って、友達になって、それに答えるのです。
すぐに答えるのではなく、友達になりきる練習をします。毎日、何を楽しみにしているかとか、目の前の友達とはいつから仲良くなったのか。何が二人を結び付けたのか。いつも何を一緒にしているのか。今の生活はどんな生活をしているのか。そんな話をしているうちにだんだん友達になっていきます。そして、「どうして、そんなに仲良くて、いつも相談に乗ってくれている友達に、忙しいと言って断ったのか。彼は傷ついているみたいだよ。」と治療者の監督が訪ねます。
「そうか。そんなことで傷ついているとは知らなかった。本当に今は忙しくてあんな答え方をしてしまったけど、悪かったね。ほら、仕事が代わったばかりでまだ慣れないので、頭が回らないって前に言っていただろう。知っていると思った」このように友達になりきっていくと、なぜ、そんな答えをしたのかに気付くようになります。これは、自分が、その友達の役になりきっていくことで気が付くことができるのです。
次は、鏡の役になって客観的にみるというドラマを考えてみましょう。
(筆: 増野肇)