激しいトレーニングをしていて、疲れ切ってもうだめだと思ったところからリミットが外れ、なぜか気持ちよくなって、さらに力が出る場合があります。いわゆるランナーズハイというやつで、βエンドルフィンの分泌によるものという説があります。


 キックボクシングの試合では、手にはグローブを付けますが、足には防具を付けずに素足で蹴り合います。普段素足で蹴り合うと痛いのですが、試合では気持ちが集中しているため、痛みをあまり感じません。

 試合前は気持ちをそのような集中した状態にさせるため、自ら気分を高揚させるように働きかけます。そのためには、まず身体をよく動かして温め、大きな声を出したり、自分の体をたたいたり、戦っているイメージを想像したりします。スタティック・ストレッチ(ゆっくりとしたストレッチ)は、筋肉を緩めて反応を悪くし、副交感神経の働きを高めてリラックスした状態にさせるため、試合直前にはやりません。

 

 技術やパワー、作戦に加え、気持ちの上げ方は勝敗にとって重要な要素となります。気持ちが上げられなければ、十分な力を発揮できません。鬱病の治療が終わってから試合に勝ち始めたのは、そのようなことも関係しているかも知れません。


(筆:松崎公則)