調布に「クッキングハウス」というレストラン形式の地域に暮らす心の病気の人たちの生活支援センターがあります。そこで、私はサイコドラマをはじめとするさまざまなグループワークをやっています。その一つに、「マッシーの心の健康講座」という時間があります。月に2回、木曜日に開催しています。
一人の当事者の方が、「先生が大学でやっているような講義を自分たちにも聞かせてほしい」という要望から始まりました。最初は、大学での講義を少しやさしくして話をしました。しかし、それはあまり受け入れられませんでした。そこで、ルーテル学院大学での大学院での講義の仕方に変えました。大学院では、特別な講義はしないで、学生が体験していることを話してもらい、それに対して、私がコメントをする形式でやっていました。この授業は土曜日の1時間目という厳しい時間帯にもかかわらず、好評で、ある学生は私たちの「癒しの時間」だとも言っていました。そこに出席すると元気になるというのです。そこでは、特に新しいことを教えているわけではなく、一人一人が自分の言いたいことを話し、それを全員がしっかり聴く。それに私がコメントを付け加える。それだけだったのです。一人一人が体験していることがとても貴重な問題を含んでいて、それをきちんと聴くことがとても貴重な体験になりました。それだけのことを話せることも役立ったのだと思います。個人のカウンセリングでやっているようなことをグループの中でやってみたのです。
そのことを思い出して、クッキングハウスでもその形式にしました。参加した人全員が、自分の話したいことを話し、それをみんなで聴くという形です。そうしたら、こちらがとても好評で、参加している人が増えてきてしかも元気になるのです。 不思議なのは、参加している人だけでなく、家族の人も元気になるのです。たぶん、参加者が自分の言いたいことを言う場があると、それで気分が良くなり、家でも違ってくるのではないでしょうか。人の話がじっくりと聞けるようになると、家でも聞けるようになるのでしょうか。安心して自分のことを話す場があり、それを聞いてくれる人がいると、自分の中にあった健康な力が動き出すのではないでしょうか。
非指示的療法のロジャーズが言っていることも、森田賞馬先生が言っていることもそこにあるように思います。家庭の中でもやってみてください。少し違ってきますよ。
(筆: 増野肇)