今日は、立教大学社会福祉研究所の所員会で、
『自立と福祉』の合評会が行われたので参加してきました

所員や研究員には博士課程以上の方しかなれませんが、所員会や例会には参加OK

所属ゼミの先生が所長ということもあり、ゼミ変更した昨年11月から参加しています。

初めて原稿を書かせていただいたのもここのお仕事。
毎回毎回、本当に勉強させてもらってます

ここの研究所のメンバーは、哲学、福祉学、経済学、法学、社会学・・・ととにかく学際的。
みんなで福祉を考えるから、一人で勉強している時の何百倍も気付きを得られます。

今回の『自立と福祉』というのは、今年の3月に現代書館から出版した本です。
著者はもちろん、この研究所の所員・研究員さん方。

その本はこちら。
自立と福祉―制度・臨床への学際的アプローチ/現代書館
¥2,415
Amazon.co.jp

今日の合評会は、参加なさった先生方がご自身の担当した章についての概要と論文から得られた知見を発表して、簡単な質疑応答という流れ。
なんだかとっても贅沢な会で、とっても勉強になりましたー

せっかくなので、ここにまとめておこうと思って
でも、全部書いたら長すぎて全く読んでもらえなそうなので、中でも障がい者に関連するところのいくつかを
この本をまだ読んでいない方に興味を持っていただけたら嬉しいです


まずは河野哲也先生
「自立をめぐる哲学的考察」


従来、「自立」は「誰にも頼らないこと」と考えられていた。

それは大きく分けて2つの面で。
①身辺自立
②金銭面での自立

しかし、誰にも頼らないことなんて本当にあり得るのか?

ある時、全盲の方がこう言った。
「夜間の街灯は僕には必要ない。全部消してほしい。僕の税金を無駄に使ってほしくない。」

もし本当に街灯が消されてしまったら、私たちはきっと困るでしょう。
つまり、「誰にも頼らない」って思っている状態は、何らかの標準的な状態を想定した上での自立でしかないということ。

じゃぁ、自立ってなんなんだと考えると、ここではこう定義されます。

「自分の価値に従った生き方ができること」

どんなに重度の障がいがあったとしても、好き・嫌い・快・不快などの感情は必ずあります。
その価値を選ぶことが自立である。

能力とサポートは常に相補的な関係なので、
選ぶことができる能力があるかというのは、選ぶことができるようにサポートできるかによって変わってくるってこと。

そのために大事だと考えるのが、「ピアサポート」である。

具体例で有名なのは、北海道浦河町にある精神障がい者施設の「べてるの家」。(今月末に行ってきます!)

ようは、同じ病気や障害など困っていることが同じ者同士の集まりです。
困っていることを互いに経験で補い合ったり、同じ病であっても異なった症状を知ったりして、相互認識を持ちながら自分で決定してくことができるのが、ピアサポートの関係だと述べています。

自立概念を障がい者寄りで考えてしまったため、自立概念を狭めすぎたかもというご意見も合評会ではありました。

「自立」をテーマにお考えの方にはぜひ。



次は菅沼隆先生。
「デンマークにおけるハンディキャップを有する者への就労「支援」と就労能力評価方法」


まず、衝撃的だったのは、
「デンマークでは「障がい者」という概念を廃止したといこと。

これは、障がいを定義せずに、社会モデルとしてとらえているからなんだそうです。

社会モデルというは、
例えば車いすの人がいて、足が動かないことを障がいと捉えるのではなくて、
車いすで乗り越えられない段差があるからその人にとってその段差が障害になるっていうような考え方で、
人に障がいの原因があると考えるのではなく、環境の方に原因があると考えることです。(たぶん。)

デンマークでは、1990年代半ばくらいから、「障がい者予算」みたいな障がい者関連の統計がなくなるそうです。
もちろん、研究の領域では調査等必要なので、日本で言う「障がい者」にあたる言葉はあるそうですが、その都度研究者が定義するそうです。

でも、実際にデンマークにも障がいのある人はいるわけで、障害年金を受給している人もいる。
じゃぁどうやって受給資格を決めるのか?

それに使われるのが、「労働能力メソッド」。

障がいのある方の「できない」ではなく、何が「できる」のかに着目して、12の側面から働ける可能性を探るもの。
どうしても働ける可能性が見つからない場合に年金の受給となるそう。

障がいのあるなしに関わらず、とにかく働くことが当たり前の社会参加と考えられる社会なんだそうです。

賃金補助制度がとても充実していて、給料の2分の1、または3分の2くらいは補助。
実際には莫大な税金が投入されていますが、それでも働くことが前提とのこと。

すごい、興味深い。。
この労働能力メソッドで測っているところとか、見てみたい

ただ、この論文では制度面での報告なので、実際に現場でどのように運用されているかは今後の課題らしいです。
続きが気になります


ただ、この時の意見でさらに衝撃が

別の研究者の方が、デンマークでは出生前診断が徹底されていて、ダウン症の子供はほとんど生まれていないそう。。
デンマークの女性研究者が、「なんで日本で反対運動があるのかわからない。日本の女性はかわいそうね。」と言ったそうです。
障がい者を社会に包摂している社会だけれど、胎児の障がい児は排除する動きもあると。。。

ショックすぎて言葉が出なかった

ダウン症って、確かにカテゴリー的には障がい者だけど。。。
ダウン症の子は、一日に50個くらい私に笑顔をくれる存在なんだけどなぁ。

育てる家族にとっては大変なんだろうけど、
障がいは社会モデルなんでしょ!と突っ込みたくなってしまった。


あと2つくらい書こうと思ったけど、長いのでここで終了。

他にも、精神障害、女性のキャリア、妊娠出産期、生活保護などなど、多方面から「自立と福祉」を検討しています。


おススメです

自立と福祉―制度・臨床への学際的アプローチ/現代書館
¥2,415
Amazon.co.jp


人気ブログランキングへ