〇歩く18禁男

「昨日、俺が家に帰ってきたのは夜中の3時だったからな!!それもこれも左之が俺を酒に誘うから!」

「お前・・・誘っておいてそれはないぜ!!」

原田先生を共犯にしようとする永倉先生に原田先生は溜息をついた。

「せっかくお前に女を落とす方法を教えてやったのによー」

・・・落とす?

「サイってー」

「何だ平助。お前も教えてほしいか?」

「左之さんや、新ぱっつぁんと一緒しないでくれる?」

「平助。女の一人も落とせないお前に言われてもなぁー」

永倉先生がにやにやしながら平助君を見た。

落とすってどういうことだろぉ。ふと思った疑問を隣にいた沖田先輩に聞いてみた。

「あの・・・沖田先輩。落とすってどういう意味ですか?落とし穴とかじゃないですよね。」

沖田先輩はわざとっぽく考え込む仕草をする。

「ん・・・ある意味落とし穴のようなものかな?オオカミさんが作った落とし穴。千鶴ちゃんも気をつけるんだよ?特に原田オオカミとかね」

「おお、かみ?」

「総司。雪村に妙なことを吹き込むな。」

斎藤先輩が強めの口調で沖田先輩をしかった。

「妙なことじゃないよ。」

沖田先輩が斎藤先輩に笑顔を向ける。

先ほどまで、永倉先生と原田先生と言い合いをしていた平助君が私を背で庇うようにしながら言った。

「左之さん、千鶴には手を出すなよ。女にはスグ手がでるんだから」

原田先生はそんな平助君に、にやにやしながら言った。

「安心しろ。生徒に手を出すようなマネはしねぇーよ。まぁ、気が変わることもあるだろうがな。」

「な!?左之さ____」

そこから、いきなり平助君の声が聞きとれなくなった。私は誰かに背後から両手で耳をふさがれていた。私は驚いて上を見上げると沖田先輩が目を細めて優しく笑っていた。

「こっからは、男同士の会話だから千鶴ちゃんはダメだよ。」

かすかに沖田先輩の声が聞きとれた。目線を元に戻すと、平助君と原田先生が言い合いを続けている。・・・・・・というか、必死になって平助君が何かを言っているけど原田先生が余裕でそれにこたえている感じ。平助君の顔が真っ赤になているのは、気のせい・・・・では、なさそう。

「はぁ。まったく歩く18禁男さんにも今年は女子が1名入学したってこと、ちゃんと理解してほしいもんだよね、まったく。」

沖田先輩が溜息をついた。

気付けば、土方先生と永倉先生も言い合いに加入していた。

〇筋肉バカ


「そりゃぁ、新八さんが一時間目の授業に遅れたから。」

「へ!?」

気付けば私の肩に沖田先輩の手が置かれていた。私はびっくりしておもわず間抜けな声を出してしまった。

「ち、千鶴・・・ちゃん?土方先生に言ったの?」

「あ・・・・えっと・・・・。」

私はなんだか永倉先生に申し訳なく思えてきて、永倉先生と目を合わせるのが怖くて、何かを考えるように上を向いて目をそらした。

「あっ!千鶴は悪くないぜ、新ぱっつぁん!!」

「悪いのは新八だ。」

「だよね。千鶴ちゃんは嘘がつけないタイプだから。」

平助君、斎藤先輩、沖田先輩がかばうように私の前に出た。

「新八!!教師が授業に遅刻たぁ、どういう了見だ!!」

「ちょっ、土方さん!!それには、深~~~~~い訳が!!」

「そうだぜ土方さん。こいつは、そもそも授業に遅刻したんじゃねーよ。」

あ、左之さんだ。と平助君と沖田先輩が声を揃えて言った。保健体育の先生、原田左之助先生が永倉先生をかばうように現れた。

原田先生は永倉先生と逆で、体育教師とはイメージが違うスーツを着ている。昔から原田先生と永倉先生は仲が良いらしい。

・・・・・・・やっぱり、『先生』はつけないんだ。

「あ?原田。そりゃ、どういうことだ。」

土方先生が眉を寄せる。

「左之。やっぱり、お前だけはいつでも俺の見方だな。」

「授業遅刻じゃなく、学校自体時刻だよ。」

「な!?さ、左之?」

「何!?」

「こいつが学校についた時は、既に一時間目の授業は始まってたよ。」

ずっと黙っていた斎藤先輩が永倉先生に向けて口を開いた。

「新八。校内の規則では教師は一時間目が始まる一時間前には学校につかなければいけないはずだが・・・」

「さ、斎藤!!お前は黙ってろ!!」

「・・・俺は本当のことを言ったまでだ__」

「しーんぱーちさーん。」

斎藤先輩がしゃべっているのをさえぎって、沖田先輩が背後から永倉先生の肩に乗りかかった。

「何だよ、総司!」

「初めてじゃないよね?去年のも含めると計三十二回目だったかな?土方先生に隠すの大変だったろーね。」

沖田先輩がにやりと笑った。永倉先生が唾を飲み込んだ。額からは大量の冷や汗が出ている。

「うっわ!!三十二回??スっげぇー。よく今まで土方先生にバレなかったね。」

平助君が驚いている。

「よし、新八。殴ってやるからこっちへ来い。」

土方先生、すっごく目が怖い・・・本気だ・・・。

「や、土方さん!これには色々な事情がありまして・・・。」

「どんな事情だよ!!」

原田先生が永倉先生を追い詰めている。

「・・・っていうか、左之!お前も共犯だろ!!」

「は?何でそうなるんだよ!」


○先生(鬼教頭ver.)


「あれ?土方先生。この前より、足速くなりました?」

「っるせぇー!」

沖田先輩が逃げるよりも先に土方先生が沖田先輩の前に立ちはだかっていた。

・・・大分距離があったように思えたんだけどなー・・・


土方先生は古文担当の先生で、しかも薄桜学園の教頭でもある。黒いスーツをビシッと着こんで、職員室でタバコを吸っている光景をよく見る。怒ると怖いので、鬼教頭と恐れられている。私の担任だけど、正直怖いなーと思う。

「総司はいつまでたっても反省しねぇーし、今日は平助まで遅刻。」

「そんなこと言えば、一君も遅刻だろ?」

腕をやっと解放された平助君は掴まれていた部分を反対の手で擦りながら土方先生に抗議する。

「こいつが遅刻したのは風紀委員の仕事のせいだろ?つまり、お前らのせいだろ?それに、お前らは学園についた時間、一時限目の授業。どちらも、遅刻。」

土方先生も、斎藤先輩のことをとても信用してるみたい。

「・・・ちっ。」

平助君が舌打ちする。

「あの・・・土方先生、すみません。私も遅刻しました。」

土方先生は少し怖かったけど、遅刻をしたのは二人だけじゃない。

「どうせお前はこいつらに巻き込まれたんだろうが。一回目だから許してやる。次からは無視してこい。」

「ぁ、ありがとうございます!!」

「で?一時間目は間にあわなかったんだろう?授業は何だったんだ?」

「ぇ?ぃえ、間にあいました。」

「?どういうことだ?こいつらに巻き込まれたんなら、チャイムが鳴ってから教室に入ったんだろう?」

「はい。」

ここの学園は生徒も教室もチャイムが鳴る前に教室に入らなければならない。ちなみに、朝のHRはない。

「ぇっと・・・その・・・。先生がチャイムの五分後に来たので・・・。」

私は少し言っていいのか、悪いのか、悩んだけど正直に言うことを決めた。

「「「???」」」

土方先生、平助君、斎藤先輩はわけが分からないというように、頭をかしげた。

・・・沖田先輩は分かってるみたい。

三人を代表して土方先生が私に聞いた。

「そりゃぁ、そういうことだ?何の授業だったんだ?」

「ぇと・・・数学・・・です。」

「「「・・・・・・はぁ。」」」

『数学』という言葉を聞いて三人が呆れたように溜息をついた。

「はは。授業に遅刻する先生といえば、あの先生くらいじゃないですか。」

やっぱり、沖田先輩は分かってたんだ・・・。


「おい、お前ら何してんだ?よってたかって、千鶴ちゃんでもいじめてんのか?そんなのは、この以外と知識があると有名な、数学教師永倉新八様が許さないぜ!!」

自分の話だとは知らずに、数学教師、永倉新八先生が呑気に現れた。永倉先生は数学教師とは想像がつかない、緑色のジャージを着ている。

「新ぱっつぁんってつくづく馬鹿だよね。ってか、筋肉バカ?」

「新八さんって先生って感じしないし、『先生』って呼びたくないよね。」

「新八。教師なのだからもう少し服装には気をつけてくれ。」

平助君、沖田先輩、斎藤先輩は呆れ顔。三人とも下の名前で、しかも『先生』を付けずに呼んでいる。・・・・・・いいのかな?

いきなり静かになった土方先生の方を見ると、下を向いてカタカタと震えていた。

「し~~~~ん~~~~ぱ~~~~ち~~~~。」

何処から出たのか分からないくらいの低い声が土方先生の口からでた。

「ひっ!?何で土方さん怒ってるんだよ!!」


___________________________
つづく

○遅刻と信者


「だから何でついてくるんだよ。」

「ついて来たわけじゃないよ。千鶴ちゃんとご飯食べようと思って来ただけだから。」

「は!?あいつとは俺が食べるの!」

「何で?千鶴ちゃんは平助のものじゃないよ?」

「なぁ、お前た__」

「「一君は黙ってて!!」」

「・・・・・・・。」

「一君こそ何でついてきたの?」

「一君まで千鶴狙い?」

「なっ!?俺は違う!!」


「あの~・・・。」

昼休みになって平助君が来てくれるかなーと、思って教室を出てみたら平助君、沖田先輩、斎藤先輩が言い合い(?)をしていた。終わるのを待つのは長くなりそうだったので、無理やり割って入ることにした。

「皆さん何を話してるんですか?」

言い合い(?)をしていた三人の目線が私に集まる。沖田先輩が笑顔で答えてくれる。

「千鶴ちゃんと誰が弁当を食べるか話し合ってたんだ。」

・・・・・・。

「へ?」

思わず間抜けな声を出してしまった。

「な!!////俺は違うぞ!!」

斎藤先輩が真っ赤な顔をして否定している。

「じゃぁ、何でいるの?」

「それは・・・土方先生が・・・。」

沖田先輩の問いに斎藤先輩が答えるよりも先に、遠くから怒鳴り声が聞こえてきた。

「こら~~~~~~~~~~~~~~!!!総司~~~、平助~~~!!!」


「げっ!!土方先生!?」

「はぁー、千鶴ちゃんも、あんなのが担任とか、可哀そうだよねぇー。」

土方先生が叫びながら、すごい勢いでこちらに向かって走ってくる。

「逃げるぞ!!総司!!ここからは大分距離はあるし。」

「無理だよ。」

沖田先輩が即答した。沖田先輩の言葉に平助君が え?と、不思議そうな顔をする。

「平助の右隣の人を見てみなよ。」

沖田先輩の右隣が私。私の右隣が平助君。平助君の右隣が・・・。


平助君がゆっくり右隣にいる人を見る。

「・・・・・・はじめ・・・・くん?」

平助君が震えた声で名を呼ぶ。斎藤先輩はすごい剣幕で平助君のことを睨みつけた。

私は何で平助君がそんな反応をするのか分からず、沖田先輩に訪ねた。

「斎藤先輩がどうかしたんですか?」

私の質問に、沖田先輩は微笑みながら答えてくれた。

「どうしたも、こうしたも・・・一君は土方先生の命令ならなんでも聞いちゃうような人だからね。」

「ぇ・・・それって、つまり・・・。」

私はおもわず、平助君と斎藤先輩の方を振り返る。

斎藤先輩はいつの間にか平助君の腕を掴んでいた。

「は、はじめくん??・・・い、痛いよ・・・離して?」

平助君の顔に冷や汗が伝う。

「断る。」

斎藤先輩の言葉には迷いの色ひとつない。

「いくら一君でも精々止められるのは一人かな。一人捕まっても・・・一人は逃げられるよね?」

その言葉に私は沖田先輩を振り返った。

「平助。君のことは忘れないよ。」

まるで、平助君と一生のお別れをするように沖田先輩が言う。

「なっ!?総司!!逃げる気かよ、ふざけんな!!」

平助君は斎藤先輩に腕を離してもらえないまま、顔だけ沖田先輩の方に向けて叫んでいる。

「だってどうせ今日の遅刻のことでしょ?一時限目古文だったしね。長々と説教を聞くのは面倒だから。」

「てめぇ!!総司!!!俺から逃げる気か!!」

・・・・・・・・・・・あ。

○双子の兄



・・・。

・・・・・・。

静かで、すごく懐かしい声。私によく似た顔。成長していても、分かる。


「薫!?」

「久しぶりだね、千鶴。ついでにそこのハエも。」

薫がチラっと平助君の方を見た。

「なっ!お前!!って・・・千鶴がここ(薄桜鬼学園)だし、もしかしたらって思ってたけど、本気で入学してたなんてな・・・。

でも、千鶴と一緒に暮らしてるくせになんで久しぶりなんだよ。」


薫が眉を寄せる。私は薫が口を開こうとするのをさえぎる。

「実は・・・わけあって薫は違う家で暮らしてるんだ。」

「・・・へぇー。」

平助君は私の表情から聞いちゃけないと思ったのか、それ以上は聞いてこなかった。

私と平助君の会話を聞きながら薫はさらに眉を寄せる。


「何?兄弟?まぁー、顔がそっくりだし。そう考えるのが普通だよね。」

「あ・・・はい。薫は双子の兄です。」

沖田先輩が薫の方をじっと見る。

薫は沖田先輩をきっと睨む。

「顔が似てるだけで、性格は似てないみたいだね。」

「ぅるせぇ。」


沖田先輩は薫と違い、にこっと笑った。

・・・・・逆に怖いです!!


私たちの会話を見守っていた斎藤先輩が口を開く。

「話は後にしないか?もうすぐ授業開始のチャイムが鳴るのだが・・・」

平助君ははっ、と時計を見ると私の手を掴んで、走りだした。

2年教室と1年教室は階が違うため、私と薫。平助君と沖田先輩と斎藤先輩に分かれた。

2人きりになった瞬間、薫が私に何かを言おうとした。


「なぁ、ちづ『キーンコーンカーンコーン♪』」

その瞬間にチャイムが鳴った。

「ごめん。話は後で!」

と、私が教室に入る。

薫は隣のクラスだったみたい。

何で、気付かなかったんだろう。

1時間目の授業の先生が5分遅れてきたため、私は授業に間にあった。


休み時間になって薫はすぐに私のクラスに来た。

「で?何で嘘ついたんだよ。やっぱりまだ藤堂にも話してないんだ。」

「・・・ぅん。心配かけたくなかったから。平助君って優しいしちょっと心配症だしね・・・。

 先生や、先輩たちにもいってないよ。・・・あ、学園長なら知ってるよ。」


「両親がいないことも?」


「うん。」

薫は私の返事を聞いて何かを考えるようにじっと下を向いていた。

そして、いきなり焦ったように顔をあげた。


「親せきの家から通ってんの?」

「ぃや、昔家族4人で住んでた家で一人暮らししてるよ。」

私の言葉を聞いて、薫は目を見開いた。

「一人暮らし?それも、皆に内緒?」

「ぅん。そう・・・かな?」

薫は深いため息をついた。

「まぁ、いいや。俺には関係ないしな。でも・・・何かあったら、言え。」

「ぅん、ありがとお。」

薫は少し私を突き放すような言い方はしたけど、最後の一言が私にとってすごく嬉しかった。


○先輩(風紀委員)



「走れっ!千鶴!!」


「ぅん!!」


私と平助君は手をつないでいつも歩いて通る通学路を走っていた。


今日はいつものように家の前で平助君を待っていたのだけど、平助君は寝坊したみたい。

理由は・・・・・沖田先輩からのメールのやりとりで、寝たのが朝4時だったらしい・・・。


こんな状態なのに、手をつないでいるということを考えると、少しドキドキしてしまう。

「2人ともそんなに焦ってどうしたの?」

いきなり角から沖田先輩が出てきた。

「あ、沖田先輩!おはようございます。」

「おはよう千鶴ちゃん。」

沖田先輩は微笑みながら挨拶を返してくれる。

「総司!!やばっ!!遅刻決定!!つか、どうしたもこうしたも、昨日のお前のせいだろ!?変なメールばっかり送ってきやがって!!」


「失礼だなー、罪を人になすりつけるの?それを無視せず、相手をしたのは誰?
 
 君のせいでしょ?  それよりさ・・・・・」


いきなり沖田先輩の声が低くなったような気がする・・・


「どさくさに紛れて学園内唯一の女子の手を握るのやめてくれないかなー?

 幼馴染だからとか関係ないからね?」

 沖田先輩はすごい笑顔で言ってるけど、その笑顔が逆に怖い・・・。

平助君と沖田先輩は言い合いを始めたけど、なぜか気がつけば私が2人と手をつないでいた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「あの・・・・・・。何でこうなったんですか??」


「平助。千鶴ちゃんが嫌がってるから、その手離してくれる?」

「それはこっちのセリフだ!総司こそ離せ!!」


・・・・・・・居づらい・・・。


「あの・・・2人とも朝から喧嘩はやめましょう?」

思いきって言ってみる。

「喧嘩じゃないよ。千鶴ちゃんは黙ってて。」


「そうだ!!千鶴は黙ってろ!!」

まぁ、効果が無いことは分かっていたのだけど・・・・。

とりあえず、この場を丸くおさめる解決法は・・・。

「あの・・・じゃぁ、手をつながなかったらいいんじゃないですか??」

ぅん。なかなかいい解決法かな??と思って2人を見ると、2人は私をはさんでにらみ合っていた。


どんどん手を握る力が強くなる。


・・・・・・・・・・・・・・・・痛い・・・。


学園の近くについてこの空気から解放されると思うと少しほっとする。


「3人とも遅刻だ。」

校門まで来た時に1人の男子生徒に止められた。ぇっと、風紀委員の人かな??

「おはよう。斎藤君。で?何秒遅刻?」


沖田先輩がいつもの笑顔で尋ねる。斎藤と呼ばれた男子生徒が静かに告げる。


「2秒19。」

「たった2秒じゃない。許してくれてもいいと思うけど?」

沖田先輩が笑いながら言う。


「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

斎藤と呼ばれた人がチラリと私の方を見た。

「今日は見逃してやろう。巻き込まれた雪村が可哀想だ。」

「ぇ?何で私の名前を・・・」

「学園内唯一の女子。雪村の名前を知らない者はいないだろぅ。」

あ、そうか。と納得。

「俺の名は斎藤一。平助、総司と同じクラスだ。1人だけ、女子というのは、大変だろが何か不便があると言うといい。」

そこで初めて平助君と沖田先輩が同じクラスだということを知った。

まぁー、何となく分かっていたけど・・・。

「斎・・・藤、先輩?」


「あぁ、そぅ、呼んでくれ。」


斎藤先輩がほほ笑んでくれた。


「ちょっと、一君!!千鶴は俺の幼馴染で俺のなの!!」


私と斎藤先輩の間に平助君が割り込む。


「へ・・・////平助君!?////」


突然の平助君の言葉に顔が赤くなる。

斎藤先輩も平助君の言葉に驚いたように目をぱちぱちさせながら、平助君のことをじっと見てる。


「平助は黙っててよ。幼馴染だからて良い気にならないでよ?」


さらに平助君と私の間に沖田先輩が割って入った。

平助君と沖田先輩がにらみ合っている。

2人とも仲が悪いのかな?なんて考えていたら斎藤先輩の後ろから違う人が現れた。

「斎藤。風紀委員が遅刻を見逃すの?俺らの仕事は何?あと、そこのハエども、うるさい。

それと・・・。  それ以上人の妹に近づくとぶっ殺すよ?」

★先輩~遅刻常習犯~


私の家は4人家族で、私とお父さんとお母さんとそれから双子の兄がいる。でも、両親が亡くなって

私は親せき双子の兄 薫は南雲家へと養子に引き取られた。

小さい頃は、私 平助君 薫 でよく遊んだ。薫は内面は良い子だと思うんだけど、

少しひねくれた性格から 平助君とよく喧嘩をしていた。

それでも、唯一生きている家族だし、また会って一緒に生活したいなー、なんて考える。


また、平助君と薫と・・・・・・

やっぱり、2人は喧嘩をするだろうか。

今薫は何処にいるんだろう。


「千鶴~~~!!」

いつものように平助君の声が教室の外から聞こえた。

弁当を持って教室の外へ出た。

いつも通りの平助君・・・・・・の後ろに身長の高い男子生徒が立っていた。

その人を見ると、その人もこっちを見ていて、目が合った。

「(あ、どうしよう。目が会っちゃった。挨拶しようかな?)」

なんて考えていると彼は人差し指を口に当てて、悪戯っぽい笑顔を浮かべた。


ぇと・・・平助君にはないしょってことかな?


とりあえず、平助君にはバレないように目線を平助君に戻す。


「千鶴?どうした?」

平助君は不思議そうに私のことをじっと見た。


「ぃ、いや!!なんでもないよっ!」

焦りながらそう平助君に応える。

「?そっか。じゃぁ、行こっか。」

平助君が歩き出そうとした。でも、その瞬間・・・


「わっ!!」

「うわぁっ!!!」

後ろにいた人が平助君の肩に手を置き、平助君を驚かすことに成功した。

平助君は驚きのあまり尻もちをついている。

そして、満足そうに笑っている彼を見た。

「総司!?な、何でいるんだよ!?」

「別に~。最近昼休みになると、嬉しそうな顔して勢いよく教室出ていくから何処へ行くのか気になってついて来ただけだけど?

こんなとこで、学園唯一の女子をナンパしてたとわね?」


「な!?ナンパじゃねぇーよ!!」


そぅ言えばこの人、この前も平助君と話してるとこ見たことあるような・・・

それに・・・平助君が言ってた総司って名前には聞き覚えがある。

クラスの人たちが噂していたから。


・・・ぇっと。確か、かなりの変人で・・・

「・・・・・・・・・遅刻常習犯?」

「ち、千鶴?総司のこと知ってんの?」

「ぇ!?ぃや、噂で・・・なんとなく・・・」

「ぇ~~?僕ってそんなに有名?」

「いや。その噂喜ぶとこじゃないだろ。」

遅刻常習犯(?)は、笑顔で言うけど、平助君につっこみをもらっていた。


と、いきなり平助君が私の腕を掴んで自分の方へグィッと引き寄せる。

「こいつとはかかわるな。ロクなことにならねぇーぞ。」

引き寄せた私に言う。

「やだなー平助。そういや、登下校も一緒らしいじゃん。入学したばかりの後輩に惚れた?」

「な!?ちげヶーよ!!こいつに変な虫が近寄らねぇーよーに見張ってるだけ!!」

「そんな可愛い子独り占めする気?」

「こいつは幼馴染なの!」

二人の会話を聞いていて思わずクスッと笑ってしまった。


すると、遅刻常習犯(?)はこっちを向いて、

「はじめまして。千鶴ちゃんだっけ?僕は沖田総司。」

笑顔で自己紹介をしてくれた。

「ぇ、ぇと おき・・・た・・・先輩?」

「ぅん、呼び方はそれでいいよ。」

「呼び捨てでいいのに・・・。」

ボソッと平助君が呟いた。

「平助は黙ってて。じゃ、千鶴ちゃん。これからよろしく。」

沖田先輩は私の頭の上に手を置いてにっこりと笑った。

これからどんどん学園生活が楽しくなっていくような予感がする。

★先輩~遅刻常連犯~


私の家は4人家族で、私とお父さんとお母さんとそれから双子の兄がいる。でも、両親が亡くなって

私は親せき双子の兄 薫は南雲家へと養子に引き取られた。

小さい頃は、私 平助君 薫 でよく遊んだ。薫は内面は良い子だと思うんだけど、

少しひねくれた性格から 平助君とよく喧嘩をしていた。

それでも、唯一生きている家族だし、また会って一緒に生活したいなー、なんて考える。


また、平助君と薫と・・・・・・

やっぱり、2人は喧嘩をするだろうか。

今薫は何処にいるんだろう。


「千鶴~~~!!」

いつものように平助君の声が教室の外から聞こえた。

弁当を持って教室の外へ出た。

いつも通りの平助君・・・・・・の後ろに身長の高い男子生徒が立っていた。

その人を見ると、その人もこっちを見ていて、目が合った。

「(あ、どうしよう。目が会っちゃった。挨拶しようかな?)」

なんて考えていると彼は人差し指を口に当てて、悪戯っぽい笑顔を浮かべた。


ぇと・・・平助君にはないしょってことかな?


とりあえず、平助君にはバレないように目線を平助君に戻す。


「千鶴?どうした?」

平助君は不思議そうに私のことをじっと見た。


「ぃ、いや!!なんでもないよっ!」

焦りながらそう平助君に応える。

「?そっか。じゃぁ、行こっか。」

平助君が歩き出そうとした。でも、その瞬間・・・


「わっ!!」

「うわぁっ!!!」

後ろにいた人が平助君の肩に手を置き、平助君を驚かすことに成功した。

平助君は驚きのあまり尻もちをついている。

そして、満足そうに笑っている彼を見た。

「総司!?な、何でいるんだよ!?」

「別に~。最近昼休みになると、嬉しそうな顔して勢いよく教室出ていくから何処へ行くのか気になってついて来ただけだけど?

こんなとこで、学園唯一の女子をナンパしてたとわね?」


「な!?ナンパじゃねぇーよ!!」


そぅ言えばこの人、この前も平助君と話してるとこ見たことあるような・・・

それに・・・平助君が言ってた総司って名前には聞き覚えがある。

クラスの人たちが噂していたから。


・・・ぇっと。確か、かなりの変人で・・・

「・・・・・・・・・遅刻常連犯?」

「ち、千鶴?総司のこと知ってんの?」

「ぇ!?ぃや、噂で・・・なんとなく・・・」

「ぇ~~?僕ってそんなに有名?」

「いや。その噂喜ぶとこじゃないだろ。」

遅刻常連犯(?)は、笑顔で言うけど、平助君につっこみをもらっていた。


と、いきなり平助君が私の腕を掴んで自分の方へグィッと引き寄せる。

「こいつとはかかわるな。ロクなことにならねぇーぞ。」

引き寄せた私に言う。

「やだなー平助。そういや、登下校も一緒らしいじゃん。入学したばかりの後輩に惚れた?」

「な!?ちげヶーよ!!こいつに変な虫が近寄らねぇーよーに見張ってるだけ!!」

「そんな可愛い子独り占めする気?」

「こいつは幼馴染なの!」

二人の会話を聞いていて思わずクスッと笑ってしまった。


すると、遅刻常連犯(?)はこっちを向いて、

「はじめまして。千鶴ちゃんだっけ?僕は沖田総司。」

笑顔で自己紹介をしてくれた。

「ぇ、ぇと おき・・・た・・・先輩?」

「ぅん、呼び方はそれでいいよ。」

「呼び捨てでいいのに・・・。」

ボソッと平助君が呟いた。

「平助は黙ってて。じゃ、千鶴ちゃん。これからよろしく。」

沖田先輩は私の頭の上に手を置いてにっこりと笑った。

これからどんどん学園生活が楽しくなっていくような予感がする。

1話行きまーす!


~1人暮らしの学園生活~



「お~い。雪村く~~ん。」

「はい?」


休み時間廊下を歩いていると、遠くの方から学園長に声をかけれれた。

ここ薄桜学園の学園長 近藤勇は、とても優しくていい人だ。みんな彼のことが好きで、

私 雪村千鶴も彼のことが大好きで、尊敬している。


私が振り返ると、彼は笑顔でこちらに走ってきた。

(学園長なのに、走っていいのかな?なんて、思ってしまう。)

「おはようございます。学園長。」

2時間目と3時間目の間なので微妙だなー、と思いながら朝の挨拶をした。

「あぁ。おはよう。雪村くん。」

彼は、笑顔で挨拶をした後、少し複雑そうな顔をして、

きょろきょろと、辺りを確認した。周りに誰もいないことを確認して、


「実は、新入生家庭訪問の話しなのだが・・・。」

と、切り出した。

家庭訪問という言葉を聞いて、彼が複雑そうな顔をしたり、

誰もいないことを確認した理由が分かった。


「まぁー・・・。トシは他言したりするような奴じゃないんだが・・・。

 雪村君は本校のたった1人の女生徒だから、両親には私が挨拶や話しをするということにしておこう。」


「ありがとぉございます。学園長。」


トシというのは、薄桜学園の教頭先生でもあり、古文の先生でもあり、私のクラスの担任でもある土方歳三先生のことだ。


「君も1人暮らしということで、大変だろうが、何か困ったことがあれば、すぐに俺に言ってくれ。」


「ありがとぉございます。」


私は、幼いころ両親を亡くした。

私が道路を渡っていた時、信号無視をして走ってきたトラックとぶつかりそうになり、

両親が私をかばい死んでしまった。大好きだったお父さんとお母さん。私のせいで、お父さんとお母さんが

亡くなったのだとは考えられずにいられなかった。

それからしばらくは親戚の家にお世話になっていたが、

ずっと迷惑をかけるわけにもいかず、私は薄桜学園入学と同時に1人暮らしを始めた。

昔、お父さんとお母さんそして2人が交通事故にあってから、別々に生活を始めた双子の兄と住んでいた家で・・・。

お父さんとお母さんが残してくれたお金があったし、料理はお母さんから学んでいたので、特に生活に困ることは

なかった。


しかし、家から1番近いという理由で入った薄桜学園が私以外全員男子ということにビックリ。

少し、戸惑うこともあるけど、先生も生徒も皆私にやさしくしてくれたので、安心した。


私が1人暮らしだということは学園長しか知らない。

ただでさえ、女子1人ということで皆に気をつかわせているのに、これ以上心配かけたくなかったから。


「では、学園長。」


私は学園長にペコリと頭を下げた。

女子1人ということで、辛いことはあるけど、薄桜学園に入ったことに後悔はない。

むしろ良かったと思っている。


私は、これからの学園生活が楽しみと思いながら、急いで教室に向かった。


_____________________________________________



こんな感じです!!
というか、いきなり長くなっちゃいました><


下手ですみません><