『夢追い人~別の夢、別の夏』序章 | 文化系寄り道倶楽部

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アラフォーで2児のパパであり、80年代の音楽をこよなく愛し、ガンプラを愛で、パソコンをいじくり倒し、台所を妻から奪い取り、キングの小説におびえ、究極超人あ~るで笑いころげ、夜な夜なUST配信をしている

まえがきのまえがき

現在、恋愛小説『最後の晩餐』、ハードボイルドホラー『続・傘がない~下駄の男』を連載中なのですが、以前から構想を練っていた「夢」に関するホラー小説を書き始めようと、決めちゃいました。

今、仕事的にはなんというか、それなりに忙しくなり、ともすればこのままだとお蔵入りかと思ってたりしたのですが、失敗しても、途中で頓挫してもいいから、とりあえず始めてみよう!

と、無理やりに前向きな気持ちに持って行きました。
連載中の『最後の晩餐』と『続・傘がない~下駄の男』は、まぁ、頭の中ではプロット的に完結しております。あとはそれを書き綴るだけなのですが、ちょっとホラーに飢えてまして……『続・傘がない~下駄の男』はホラーというよりかは、オカルティックハードボイルド?なんだかすっかり刑事ものになってしまい、本来のワタシのフィールドではない展開になってます。あー、もちろん、自分がそういうものを書きたかったからなので、それはそれでいいのですが、うん。


さてでは、まえがきw

物語のヒントは日常の中の、非日常に存在する。ワタシはその扉を見つけ、その中をこっそり覗いて、そして、自らはその中に決して入らない。ワタシが作り出した分身――キャラクターをその中に放り込んで、それでどんなことが起きるのかを調べる。

今回ワタシが見つけた非日常の入り口は『夢』
人は自分が殺されそうになる夢は見るけど、実際にそれで殺される前に目が覚めたり、殺される瞬間にそれを自分が俯瞰で見てたり、つまり一人称で殺される――死を体験する夢は見ないのかもしれない

そんな話を知人と酒の席でしたときに、その知人が面白い話をしてくれた。
「ボクは殺される夢は見たことないだけど人を殺す夢は見たことあるよ。それもいつも同じ人なんだけど、それが誰かはわからないんだ。でも、もしかしたいつかその人に会うかも知れないね。正直あまりに何回もその人を殺す夢を見るから、もしかしたら本当は自分はその人を過去に殺した事があって、それを覚えていないだけかもしれない」

扉みっけ!

そんな面白い話は、物語にしない手はないでしょう!

つまりこれから書き始める物語は、夢をテーマにした怖い話になるはずです
しかし、実はまだ、プロットは完成していません。
さて、どうなるか?
でも、この物語は多分、書き始めないと先が見えない気がします。
夢を見る為には眠らなければならないように
物語の結末を見るためには、書き始めないと

そして、あたなた読み始めないと……






『夢追い人~別の夢、別の夏』

<序章>

白黒の夢を見る、一人の男



 夢は嫌いだ。

 だが人は眠らずには生きてはいけない。
「社会人になってから夢見なくなったよなー」酒の席、誰かが「昨日変な夢を見た」という話題を振るとみんな、自分が見た変な夢の話題で盛り上がり始める。

 子供の頃見た夢は、大体が荒唐無稽で支離滅裂でファンタジーに溢れていた。思春期になると気になるクラスメイトや憧れのアイドルの夢に胸をときめかせ、時には失恋し、時にはセックスをした。

 社会人になってから10年。いまや仕事の夢しかみない。それはありふれた日常をなぞるだけで、多少のifや多少のキャスティングミスはある。翌朝目覚めたときには覚えていても、次の日には……いや玄関を開けて家を出る頃には忘れてしまっている。

 夢は嫌いだ。

 私の夢には色がない。
 大人になるまでそれは全く当たり前のことだと思っていた。ところがある日、友人が『昔付き合っていた女の夢を見た』という話で盛り上がった。そのとき初めて自分の見ている夢と、友人の見ている夢の決定的な違い。自分の夢には色がない事がわかった。
 調べてみるとそれは特別なことではないらしい。いろいろな説が言われているが、実際には解明されていない人体の謎。人間の脳の謎だ。

 しかし、そんなことはどうでもよかった。

 私は私の人生そのものの彩のなさが、自分の見る夢にも現れているような、そんな惨めな感覚に襲われた。それはあの時から――友人の毒のない、そして無邪気な悪意「白黒の夢なんて北村らしいや」の一言が頭から離れない。
 そうなのだ。私らしいのだ。だから――

 夢は嫌いだ。
 夢は、嫌いだ。
 夢なんか……





色つきの夢を見る、一人の女

 夢はきらいよ。大嫌い。

 朝目覚めたとき、夕べみた夢を覚えている時は体がだるい。
「素敵な彼とか夢に出てこないかなぁ、夢の中だけでもいいから燃え上がるような恋がしたい!」
 そんなことを夢見ていた少女時代はワタシにもあった。高校を卒業し、反対する親を押し切って東京の大学に通い、バイトとミーハーサークルと合コンに明け暮れた青春時代。夢という夢は、それは全て少女漫画の中だけだということを思い知らされた。
 それでもワタシは、夢を求めて、子供の頃から好きだった絵の仕事。CGの製作会社に就職することができた。でもそれこそ仕事というのは一つ一つの夢や憧れを壊してゆく作業に他ならなかった。
 「なぁ夕子、オレさぁ、音楽が好きだからこそ、やっぱ、音楽を仕事にはできないわ」
 学生の頃付き合っていた彼氏は、デモテープを作っていろんなレコード会社に送り続けていたけど、ある日、ワタシにそう継げて、髪をばっさり切り、就職活動を始めた。

 夢はきらいよ。大嫌い。

 夢なんか持つから裏切られる。夢なんか見るからだまされる。
「南里くん、またクライアントからクレームあがってんだけど、どうなってるのよ?」
 毎日上司に絞られ、クライアントに怒鳴られ、辛い思いをすればするほど、わたしの見る夢は現実逃避してゆく。色鮮やかな夢の中で、みんなワタシを褒めてくれるのに、どうして現実ではうまくいかないの。だったら夢なんか見なければいい。

 夢はきらいよ。大嫌い。
 夢はきらい。
 夢なんか……



『見なければいいのに』