小説を書いてみた 「蟲」第15章 | 文化系寄り道倶楽部

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アラフォーで2児のパパであり、80年代の音楽をこよなく愛し、ガンプラを愛で、パソコンをいじくり倒し、台所を妻から奪い取り、キングの小説におびえ、究極超人あ~るで笑いころげ、夜な夜なUST配信をしている

悪い夢を見たとき。。。それがもう朝で、学校や会社に行く支度をしなければならない時間であれば、変な夢を見たなぁと思いながらも、憂鬱な気分で起き上がればいい

でもそれが、まだ夜の深い時間だったりしたときに、どうするか?

どうせ寝てもろくな夢は見ない。。。テレビでもつけるか?寝酒でも飲むか?ラジオでもつけるか?雑誌でも読むか?

大人ならそいうったこともできるだろうし、子供部屋が与えられていれば、こっそりそんなこともできるかもしれない

でも、あの頃のボクにはそんな環境はなかった。。。もっと幼ければ母親の布団のなかにもぐりこめばいいだろうが、小学校5年生ではそんなわけには行かない

もっともその悪い夢から覚めればの話だが



題:蟲 作者:めけめけ

第15章 悪夢

ヤメロー
ヤメロー
ヤメロー


蟲のざわめきは一段と大きくなった
ボクは引き伸ばしたガムテープを両手に構え、それを床や壁や天井に向けた

今度はこっちの番だ!

さながらドラキュラに十字架を向ける姿に似ていたかもしれない
或いは刑事ドラマでダイナマイトにライターを近づけながら警官を威嚇する逃走犯か

ボクは森の獣たちがたいまつの火を恐れるように、毛虫もこのガムテープを恐れているのだと思った

一瞬、ヤツらのざわめきが停止した

静止?
制止?
正視?
静思?



静かに、身を制し、じっくり見ながら、考えている

わさわさとしていた「それ」は一瞬にしてひとつの集合体に変貌したかのようだった

ボクはヤバイと思った

そう、ボクは想像してしまった

ヤツらがなにかしらの手段で互いのコミュニケーションをとり、何をすべきかを理解し、その行動の準備をするためにこちらをじっくりと観察し、一揆のその力を解放する瞬間を待っていることを

あっ!

考えちゃいけない、想像しちゃいけない、感じちゃいけないんだ

恐怖を。。。

ボクは思わず自分のうかつさに悲鳴をあげていた

しかし、それこそが、ヤツらが待っていた瞬間だったのだ


ゾワゾワゾワ

ヤツラは恐ろしいほどの速さでボクの口めがけて跳躍あるいは飛翔あるいは猛進してきたのである

床にうごめいていたそれは、身をくねらせながら小さく飛び上がり、さらにその上に次の蟲がのしかかって飛び上がる。。。これを繰り返すことで蟲の波がボクの口めがけて跳躍してきた

天井にへばりついていたやつらは身体を振り子のように振り出すことでボクの口めがけて飛翔した

いつの間にかボクの身体にしがみついていたそれは、ボクの口めがけて恐ろしい速さで猛進してきた


口を手で押さえること、身体を動かしてよけること、口を閉じること

すべての行動が一瞬、ほんの一瞬遅れたのだ

気がつけばボクの顔はわさわさしていたし、ボクの口の中はグシャグシャしていたし、ボクの体中は裸で冬の芝生の上に寝転んだ時のようなざわざわした不快感に覆われていた


ボクは、恐怖に、ただ、じっと、耐えるしか、なかったのだ


いやだ、いやだ、いやだぁぁあ

ボクの心はついに壊れた

とにかに、ヤツらを止めなければ

ボクはボクにできることをするだけだ

ボクの両手にはガムテープがある、これでヤツらを止める!

ボクはガムテープで自分の口をふさいだ

次の瞬間、ヤツラの目標はボクの鼻の穴に。。。

ここも止める

ボクは鼻の穴をガムテープで止めた

次は耳だった

ボクは両耳が隠れるようにガムテープでぐるぐると自分の顔を巻いていった

大丈夫、これでもう大丈夫。。。ちょっと息苦しいけど、ちょっと聞こえないけど、ちょっと見えないけど。。。でも。。。これで。。。だい。。。じょう。。。ぶ

苦しい。。。見えない。。。聞こえない。。。動けない。。。助けて。。。助けて


クルシイ。。。ミエナイ。。。キコエナイ。。。ウゴケナイ。。。タスケテ。。。タスケテ

いつの間にかボクの意識は「それ」と同化していた

ガムテープにぐるぐる巻きになったボクは、床に這いずり回り、穴と穴と言うところから侵入したヤツらといつの間にか意識が繋がるようになっていた


ゴメンナサイ。。。ゴメンナサイ。。。ゴメンナサイ

恐怖の夜は終わった


つづく


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