「さて、今回は幽霊についてちょっと考えて――」
「ちょっと待てぃ。2017年の挨拶以降、何の更新も無かったことに対する謝罪は?」
「過ぎたことをいつまでも考えていたって仕方ないでしょ」
「こ、このアホ……堂々と開き直ったわね」
「だってここの書き方知ってる人はいるのに、誰も……! 誰も……!」
「それは言っちゃダメなヤツ!」
「分かった。言わないようにするよ。
はい、じゃあ今回の更新内容。幽霊についてのことなんだけども」
「この子に説教するのは諦めよう……。で、今さら何なのよ」
「ふっふっふ。私は幽霊について、思いついてしまったのですよ」
「というと?」
「うん。幽霊って言ったら、大体の人のイメージって、人間の幽霊か、動物霊でしょ?
それ以外の幽霊の話って聞いたこと無いじゃない。
まぁ幽霊船っていう例外はあるけど」
「まぁ、だいたいそんなものかな。それがどうしたの?」
「でも、虫の幽霊って聞いたこと無いじゃない?」
「そりゃあ、一寸の虫にも五分の魂、とは言うけど、さすがに虫の幽霊はねぇ。
そもそも虫には、あの世とこの世の概念が分からない、って中山市朗ブログの方にも書いてなかった? 詳しいことは忘れちゃったけど」
「そう、まさにそこなんだよ! 私が閃いたのは!
私は、『虫の幽霊がいてもおかしくない!』という説をぶちあげよう!」
「ちょっと面白そうじゃない。聞かせてみなさいよ」
「オッケー。それじゃあまず……例え話から始めようかな。
AさんとBさん、という2人の仲の良い人物がいたとします。
で、Bさんがお亡くなりなり、Aさんはお葬式に行きました。
しかしその数日後、AさんはBさんらしき姿を目撃し、『幽霊だ!』と思いました」
「はぁ……。なんのこっちゃ分からないんだけど」
「ここからここから。
さらにその後、Aさん以外の知人、友人も、Bさんらしき姿をみかけるようになりました。
さて、どうしてAさんやその他の人々は、目撃した『Bさんらしき姿』が幽霊だと思ったのでしょうか?」
「どうして? どうしてって……そりゃあ、Bさんが死んでることを知ってるから?」
「んー、まー、いいで、しょう、
『人間の知人同士だから、Bさんの姿を見間違うはずが無い』という注釈があれば完璧」
「んー? まだよく分からないんだけど……」
「じゃあ例題をもう一問。今度は短め。
Cさんという人がいます。ある日、Cさんは幽霊のDさんとすれ違いました。
CさんはDさんが幽霊とは気付かずに素通りしてしまいました。何故?
あ、ちなみに2人は生前の面識が無いものとします」
「何故って……そりゃそうでしょ。知らないんだから」
「はい、その通り。つまり私が言いたかったのは、
『人間は、対象の死を知っている場合しか、それを幽霊と認識できない』のです!
ただし、幽霊側から何らかのアクションがあった場合は例外とする!」
「なるほど。まぁ、意味は分かったわ。
でも、それと虫の幽霊と、どう関係するわけ?」
「簡単だよ。
人間の目の前に虫が現れたととしよう。
でも人間にはそれが、生きてる虫なのか、虫の幽霊なのか、見分けがつかないってこと」
「そうかなー?」
「こういう経験は無いかな。
部屋に入ってきて羽音がうるさい蚊をやっつけようと目で追っていて、一瞬目を離した隙にその姿を見失ったこと。しかも羽音まで聞こえなくなってるの。
もしくは、突如現れたGを倒そうと思って、しっかり見ていたのに、武器を手に取る一瞬の隙にいなくなってしまったこと」
「それはただ単なる夏場のあるあるネタじゃあ……確かに説明は付くけど」
「人間にとっては、虫なんてどれも同じ個体にしか見えないからね。
し・か・も! 例えば事故死した人の幽霊が、その姿のまま現れた場合、誰でもそれが幽霊だと分かるじゃない?
でも、叩き潰されて死んだ虫の幽霊が、その姿のまま現れても、人間は『あ、しぶといヤツが逃げて来たんだな』ぐらいにしか思わない!」
「うぅん、ちょっと否定できない……。瀕死の虫が姿を消したとしても、たいていの人は気にも留めないし……。それは『虫の幽霊なんていない』っていう固定観念のせいだろうし……」
「私の中では、オーブっていうのが虫の幽霊だと思うね!
大量に映ってる映像があるけど、もしアレを人の魂だって言うなら、さすがに数が多すぎる!
どれだけ大昔に遡ってもね!
でも虫の魂だとするならどうよ!? 人間より虫の方が死んでる数は圧倒的に多いんだから、あれだけ大量の数でもなんの不思議も無い!」
「くっ……今回の魔ちゃんの意見は一理ある気がする……」
「『蜘蛛の糸』で、お釈迦様が天界から蜘蛛の糸を垂らしたじゃない?
天界にいるってことは、その蜘蛛って幽霊じゃん?
きっと芥川龍之介だって、虫にだって幽霊はいると思って、あの話を」
「それは無い」
「ですよね」