踏み込まない、急がない姿勢 | 対人援助職のための心のメンテナンス

対人援助職のための心のメンテナンス

人間関係・責任・感情労働に疲れたあなたへ。精神科25年の看護師・公認心理師が現場目線で寄り添います。

昨日、ある方とお話しする機会がありました。

その方は、これから新しい生活に向けて一歩を踏み出そうとしている方でした。

これまでの経過や体のこと、これからの生活について、一緒に整理する時間でした。


話をしている中で、その方はご自身のことだけでなく、周囲の人の話を多くされていました。

同じ場にいる人のことや、ご家族の関係について。


「自分のことに目を向けるのって、難しいですよね」

そんな言葉をかけると、少し間を置いて「そうなんです」と返ってきました。


人はときに、自分のことよりも他人のことを語ります。

それは話を逸らしているように見えることもありますが、実は「まだそこに触れる準備ができていない」というサインでもあります。


大切なのは、無理に核心に踏み込むことではなく、その人が安心して話せる場所であること。


その方は、話の最後に、ご自身の大切な一面について少しだけ触れてくれました。

私はその内容を深く掘り下げることはせず、「話してくれてありがとうございます」とだけお伝えしました。


カウンセリングや対話の場では、「何を聞いたか」よりも「どう受け取ったか」が大切なことがあります。


無理に変えようとしないこと。

急がないこと。

その人のペースを尊重すること。


そういう積み重ねが、あとから効いてくることもあります。


今日はそんなことを感じた一日でした。