草場一壽さんの投稿からシェアします
心につくる地獄
良寛さんは子どもと遊ぶのが好きなことで知られていますが、いつもニコニコして怒らないというので有名でした。
そんな評判を聞いて、村一番の暴れん坊である船頭(渡し守)の権三という男がそれならおれが怒らせてやろうと虎視眈々とチャンスを狙っていました。
するとある日、良寛がひょっこり渡し場にやってきて、向こう岸に渡してもらえないかと言います。権蔵は待ってましたとばかりに船に乗せました。
良寛が舟に乗ると、わざとよろめいて水しぶきを良寛にかぶせます。「権蔵さん、いくら船を漕ぐのが上手でも、油断すると川へ落ちる。気をつけなされ」。
一向に怒る気配もありません。
そこで今度はおもいきりひどく舟を揺らしました。それで、良寛は川に落っこち、泳ぎを知らない良寛はぶくぶくと溺れて沈んでいきました。
まさか殺すつもりもなかった権三は、あわてて川に飛び込んで良寛を舟の中に救い上げました。
良寛は息を吹き返すとお辞儀をして「ありがとう、権三さん。お前がいなければ、わしは死ぬところだったよ。ほんとうにありがとう」とお礼を言いました。
舟が岸につくと、また権三にお礼を言って、深く感謝してその場を去ったと言います。
良寛に感服した権三は、その後、五合庵を訪ねて、真面目な人間になることを良寛に誓ったというエピソードです。
「いかなるが苦しきものと人問わば、人をへだつる心と答えよ」
良寛さんの言葉です。最も苦しいことは何かと人に聞かれたら、人をわけ隔てる心であると答えなさい。人を差別したり、見下したりする心は、人間の持つ最も醜いものであるというのです。地獄はどこにある? 怒りも差別も自分の心につくる地獄でしょう。
■個展情報
日程 2023年3月1日[水]~5月7日[日]
時間 08:30~16:00
会場 世界遺産 真言宗総本山
教王護国寺 東寺 食堂(じきどう)入場料 無料
住所 〒601-8473
京都府京都市南区九条町1
★詳細はこちら 公式ホームページ https://kusaba-kazuhisa.com/
素晴らしいお話をありがとうございます🙏