今日は別館男子担当。

建物の構造上、いったん女子のバックヤードに

全員集結し顔を合わせることになるのだが、

そこにいたのは、


げ、不二子!!ゲッソリ


不二子、今はややぽっちゃりだが、かつては

峰不二子ばりのセクシー美女だったことが

窺える60歳。

私はひそかに彼女を「ラスボス」とよんでいる。


彼女は夜勤帯で、私は日勤担当だから普段は

顔を合わせることはないが、たまにシフトの

都合でこうして一緒に働くことになる。


入職して間もない頃、今回と同じく彼女が

日勤帯に来たことがあるのだが、

バックヤードに入るドアを開けた私の目に

飛び込んできたのは、

「あなた日勤でしょ、

そんなのワタシは夜担当なんだから

知らないわよっ!

何でワタシに聞くの!」

と、75歳のパートさんを怒鳴っている光景だった。


東京出身だから標準語で、それがまた

怖いのなんの。

回れ右して帰ろうかと思った滝汗

(注:すみません、大阪の人間には、

標準語は冷たくキツく聞こえがちなのです)


まあその75歳A江さんも、

「面倒くさい仕事でもちゃんとやって」と

人には言うくせに、自分は簡単アレンジ

や自分は歳だからスルーがお得意な、

労力の節約主婦って感じの人ムキー


(確かに御年配だから仕方ないけども)


普段、他人に押し付けている仕事を、

メンバーが不二子と新入りの私だもんで

やる羽目になって分からなかったの

だろうな。


ただ、A江さんは天罰だが、他人を人前で

怒鳴るって無いなーと思っていたら、

後で別のパートさんから聞いた話では、

機嫌が悪い時は、パワハラ風味の社員さんで

すら近寄らないほどの最強(恐)女らしい。


そんな不二子、朝の挨拶をした私に顔を

向けず、静かにこう言った。


「あのね、最初に言っとくけど」


今日はワタシ、

朝から機嫌悪いの。

だからワタシに触れない方がいいと思います


怖ええええええええええええええゲッソリ


バックヤードの奥からA江さんの

「アハハ」という笑い声が聞こえた。


すかさず不二子、

可笑しいこと言ったかしら?


チーン…………A江さん沈黙チーン


てか不二子の言う通りだよ。

何で笑えたんだ、A江さん!!


私は、仕事がまだ未熟な上に、元々緊張すると

あり得ない失敗しでかすタイプ。

もう、絶対になんかやらかすよ。


なので恐る恐る不二子に


「すいません…私は今、本館別館それぞれの

仕事のやり方が理解しきれていない状態で、

間違いとかがあると思います、何か気付いた

こととか指示があれば宜しくお願いします」


お願いという名目の

「先もって言い訳」保険

かけようとした。


すると不二子は静かにこっちを見据え、

微笑むと、


「大丈夫。みんなそれぞれ、出来てない

ことはあるの。私だってそうよ。

だから堅苦しくならずにやったらいい

のよ」


いやいやいやいやいや


堅苦しくさせてんのアンタやんー!!笑い泣き


てか、のびのびやって失敗したら

キレますよねアナタ。


という言葉はおくびにもださず、

「ハイ、頑張ります」

と答えて早々に男子のバックヤードに移動

した。


不二子は、お客様にすらストレートにキツく

注意するらしいので、

機嫌が悪い原因は私とA江さんでないことは

確かだ。


気になるが、とりあえず仕事しないと今度は

私がその原因になってしまうので、集中する

ことにした。


続きます。