TODAY'S
 
虫けら個人投資家のお勉強ノート(1)


2024. 3. 5

  日経平均株価とTOPIX

写真は本文の内容と全く関係無いです(笑)

日本の株価指数で一般的に取り上げられる日経平均株価(日経225)。これがバブル期に記録した最高値を更新し、また4万円超えしたことが話題ですね。それを受けて証券市場関係者の発言・記事等では「まだまだ日本株価は上がる」と投資家を煽ってきます。一方で昨年来の急激な株価の上昇に警戒感を持つ経済学者・評論家の言葉も見かけます。

個人投資家としてどちらを信じるかはそれぞれの判断であり、素人の私には「これが正しい」とは言えません。ただ、先日「日本株の株価指数として日経平均は問題があり、TOPIXの方が実情を反映しやすい」という内容のネット記事を見ました。

その文章で説明されていた理由の1つは、海外の株価指数との連動性だったと思います。でもその他に触れられていた理由はあまり覚えていなかったので、ここで紹介する記事は参考になりました。

以下は記事の内容を私自身が理解するためのノートです。長文になりますが、ご了承ください。

ダイヤモンドオンライン 2024. 3. 2付
竹田孝洋(ダイヤモンド編集部編集委員)

まず1つ目の理由を端的に述べている箇所を以下に引用します。

「225銘柄しか対象としていない日経平均に対して、旧東京証券取引所1部銘柄、プライム市場銘柄を対象に2000以上の銘柄を対象とするTOPIX。」

これは、日経平均株価は大体225銘柄の株価しか反映されていないのに対してTOPIXの方が幅広い銘柄を対象とするので客観性が高いということかと思います。この点だけを見ても、株価だけが高い銘柄(企業)の値動きが指数に反映されやすく、また短期的に好業績の業界の値動きに指数が左右されやすいことが推察できます。

しかし日経平均株価よりTOPIXの方を参考にすべき理由はもう1つあります。それが指数の算出方法です。その結果生じる歪みが、紹介記事2ページ目の小節タイトル「ウエイト3割占める日経平均上位4銘柄 TOPXでのウエイトはたった4%」
に示されています(なお上に示した記事の1ページ目は無料ですが2ページ目は有料会員限定です)。

日経平均株価は、若干の係数調整はあるものの、全銘柄1株あたり価格の「単純平均」が基本です。これだと特定業界の値がさ株に急激な値動きがあると、他業種の株価や業績に関係なく、日経平均株価も大きく変動しやすくなります。時価総額は大きいのに株式分割により株価を下げた銘柄や、もともと価格が比較的安い中小株の値動きは分かりにくくなります。その結果、全体的な株価や景気動向に気づきにくくなるでしょう。

例えば、現在は半導体関連銘柄の値上がりが目立っており、その中の値がさ株が特に日経平均を大きく釣り上げています。一方で他業界の、特に中小株の動向は見えにくくなっています。

もしも好業績の値がさ株が値上がりまたは高止まりする中、多くの銘柄が値下がりする局面が来ても、日経平均の値下がり幅は実勢より緩やかに見えてしまいます。その状況は比較的株価が安い銘柄を中心に購入している投資家にとっては危険です。そしてこれは、新NISAをきっかけに日本株投資を始めた個人投資家の多くに当てはまるのではないでしょうか。

一方、TOPIXは時価総額を元に各銘柄のウェイトを算出するので、値がさ株の上げ下げの影響が相対的に小さくなり、日本株の全体的な動向が反映されやすくなります。日経平均が一部の銘柄(現在なら半導体関連)に引っ張られて極端な値動きをしていても、TOPIXを見れば日本株全体の値動きをより客観的に判断することができると考えられます。。

ただし紹介記事は必ずしも「だから用心深くなれ」と言っているわけではなさそうです(はっきり書かれていないので文脈から読み取るしかありませんが)。日経平均株価より緩やかではあるものの、現在はTOPIXも値上がりが続いています。多くの証券市場関係者は現状に水を指したくないでしょう。

それはさておき、日経平均株価とTOPIXの仕組みを知ると、現在のような両指数変動幅の乖離も理解しやすくなります。リスクを取る際には、より実情を反映した情報を得て理解できたほうが安心ですよね。大手マスコミはわかりやすさのためか日経平均しか取り上げませんが、TOPIXも見られる方が、日本株式への投資ではより良い判断を下せる可能性が高くなるようです。

くれぐれも金融商品への投資は自己責任で、無理せずにやっていきましょう。(*^^*)