今朝家を出て
最初に駆けて来るのは《ひとりがすき子ちゃん》
《ひとりがすき子ちゃん》は行きの銀のスプーンと帰りのマタタビを楽しみにしている
その後、《かーりー》にご飯をあげ
《しーちゃん》を抱っこし
(この子は近所でご飯を貰っていて、ただ魔女に抱っこしてもらうたためだけに待っている)
それからけもの道軍団にお弁当を配る
ここら辺までは時折雨がパラつく程度だった
それから通りを渡り、大きな駐車場を横目にあんずママとしげみママの家の近くでは
《あんず》たちが待っていて
その後、長い階段を登ってやっと公園に着いて
みんなを呼んでご飯の支度をしようという時に
いきなりのゲリラ豪雨
その凄まじい降りっぷりに
あちこちの草むらから目を剥いて飛び出して来て、ベンチの魔女のところに集まる公園組
ベンチの上には《もりだくさん》、《つんでれ》たちの老猫組を乗せ
他の子たちはしゃがんだ魔女の周りにくっ付く
雨には慣れているけれど
これほどのゲリラ豪雨に恐怖を隠せない公園組
だって周囲の風景が見えないくらいなんだもの
足元にはあっという間に水が押し寄せ
それが池のようになって猫たちの足を浸す
不安のあまりしがみ付く子の何人かを抱いてベンチに乗せ
地面にいる残りの子たちを抱きしめた
私たち・・ 広い公園で孤立してる
孤立してるんだけど・・
って家族②に電話をしてみる
あと15分で豪雨は止む、との返事に
公園組を抱きしめながら
「もうすこし がまんしたら あめ おわるからね」 と声を掛ける
10分後、突然雨が止み、空が晴れる
そうなると一気に足元の水は引き
ベンチもコンクリの床も見る見る乾き始めた
みんなはホッとしたように動き出したが
それでもしがみ付いている子もいる
《むさし》、もうだいじょうぶだからね
《きらん》も よく がんばったね
みんなご飯にしましょうね
びしょ濡れでご飯を食べる《つんでれ》
《もりだくさん》も下半身はびしょ濡れ
《じおん》、《ふぐり》、《あざみ》の兄妹は魔女が抱いていたのであまり濡れずに済んだ
右後ろの《ジリ》は緊張が解けて食事どころじゃなく・・
倒れちゃってるよ
この後、竹藪に《ぐれこ親子》を捜しに行った
一昨日からまたいなくなったとあんずママから連絡があった
名前を呼びながら行ったり来たりを繰り返すも、現れず
豪雨の後だからかな・・
猫の心配をしていると
割れた石も
竹の皮も
何でもかんでも猫に見えてくる
這う這うの体で家に戻ると
しかつめらしい顔をして《じゃじゃ丸》が言うのだ
じゃじゃ丸 「まじょがいない間、しゅごく大変だったんだかだね!」
魔女 「どうしたの・・」
じゃじゃ丸 「びっくりしゅるくだい 雨がふったの!」
魔女 「・・」
ちゃちゃ丸 「もう 何が何だかで こわいったら!」
たぬたぬ 「みんなが怯えたからさ、 よし! ここは僕の出番だ、ってなった」
魔女 「それで《たぬたぬ》はどうしたの?」
たぬたぬ 「いのった」
魔女 「い・・ 祈ったんだ・・」