公園日記 ~ 《ちずのすけ》、ご帰還 ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

にぃ 「《ちずのすけ》、かえるんだって?」

 

ちずのすけ 「おお、せわになったな」

 

にぃ 「さみしくなるな・・」

 

ちずのすけ 「なら おまえも こーえんに かえってこい」

 

にぃ 「・・」

 

ちずのすけ 「たっしゃでくらせ」

 

にぃ 「うん・・」

 

 

 

昨夕、《ちずのすけ》はその後の経過を診るために先にボラさんが連れて行った病院で診察を受けた

 

この10日間、私は抜かりなく《ちずのすけ》の治療に専念してきたつもりだ

なぜならばこの子を公園に帰してやりたいから

 

ここで魔女に甘える時間は喉を鳴らし、幸せそうに顔をすり寄せてくれる《ちずのすけ》だが

ひとりで過ごさねばならない時間も多く

そんな時、《ちずのすけ》は公園を懐かしみ

環境の違いに不安を抱えて暮らしていることが、私にはわかる

 

多少の会話は出来ても

詳しい状態を、先行きを、言って聞かせることが不可能な生きものたちにとって

それまでと違う今日が、明日が・・

心に耐え難く

猫はストレスを抱えこむと状態を悪化させたり、更に新たな病気を発症することが少なくない

 

 

大きく穴が開いた左顔面

あれから10日

穴は小さくなって塞がり、傷は概ね乾いた

 

頬の治療ついでに目の方も注意深く診てきたし、薬も付けていた

今までじくじくと液が出ていた下瞼の潰瘍も、大きさは変わらないものの乾燥し始めたところだ

 

 

病院で《ちずのすけ》の診察を終えたばかりのボラさんから

彼を公園に帰せます、との連絡が来た

 

ボラさんが魔女に薬を届け

その後、《ちずのすけ》を公園に運び、ご飯をあげようとしたらしいのだが

《ちずのすけ》はご飯には見向きもせず公園の奥の暗がりに走り去ってしまったという

 

そんなことだろうと思い

診察前にたっぷりと食べさせておいた

 

このまま帰って来なかったら・・ と杞憂するボラさん

 

いや、《ちずのすけ》は必ず帰って来る

少なくとも翌日朝にはいつもの場所で私を待っているに違いない

 

 

 

そして今朝

出迎える公園組の向こうの

いつものベンチにきちんと座ってこちらを見ている《ちずのすけ》の姿があった

  

 

I 「やったあ~!」

 

 

I 「おじいちゃんが かえってきたあーー!」


 

 

かぎすけ 「あ~」

 

 

かぎすけ 「や~っと・・」

 

 

かぎすけ 「かえってきたねー!」

 

 

公園組はみんなこのようにして大喜びだ

雨の中にもかかわらずジタバタとして・・

 

 

つんでれ 「《ちずのすけ》、たいへんだったね」  ぺろぺろ

 

ちずのすけ 「どってこと ねえよ」

 

 

ちずのすけ 「それよか おまえ きいて おどろけ」

 

つんでれ 「なに?」

 

 

ちずのすけ 「おれ びょういんでさ 《びえんちゃん》、って よばれてんぞ」

 

つんでれ 「びえん・・ ちゃん?」  

 

 

これを聞いて薬の袋を確認したらほんとうに《ビエンちゃん》になっていた・・

 

 

ボラさん、どうやら《ちずのすけ》を《びえんちゃん》という名で呼んでいるらしい

・・なにしろ慢性鼻炎だからね

 

 

もりだくさん 「これで わたしも やっと あんしんしたわよ」

 

 

 

ちずのすけ 「よっこらせっと!」

 

つんでれ 「ずうずうしさも かわってないな・・」

 

かぎすけ 「おしりが おもたいぃぃぃ」

 

 

かぎすけ 「あぁ・・ まえと おんなじ なったね」

 

 

 

つんでれ 「《ちずのすけ》がいなくて ぼく さみしかった」

 

ちずのすけ 「そうか?」

 

 

つんでれ 「さみしかった・・」

 

ちずのすけ 「おれもだよ」

 

 

《ぐれこ》がやって来た

 

ぐれこ 「《ちじゅじいたん》、おかえんなしゃい」

 

 

森の奥から《こどくさん》もやって来た

 

こどくさん 「《ちずのすけさん》、おかえりなさい」

 

 

I 「あ、あんた だれ!」

 

こどくさん 「ちょっと あいさつに きただけだから すぐ かえるよ」

 

 

 

《ちずのすけ》は公園で魔女に甘えるのが一番好きなんだ

 

 

《つんでれ》はやっと安心した顔つきになって寝ちゃった

 

 

 

今日から何種類かの薬を持って公園に行き

そこで《ちずのすけ》の治療を続けます

 

何よりも不安を抱えさせない

ストレスを溜めさせない

安定した心をもって日々を過ごさせる

15年間暮らしている《ちずのすけ》の居場所でね

 

《ちずのすけ》には一日でも長く落ち着いた日々を与えてやりたい

だから、ギリギリまで今日と同じ明日を迎えさせます