のらねこ物語 ~《たてがみ》と《しゃま》 それぞれの今~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

 

 

《たてがみ》には《しゃま》の様子を

そして《しゃま》《たてがみ》の様子を

私は折に触れそれぞれに伝えていた

 

別れから9ヵ月が経った2017年の冬

魔女から《たてがみ》の様子を聞いていた《しゃま》が突然

 

 

 

しゃま 「ぼく おにいちゃんに あいたい!」

 

 

 

どうしても兄に会いに行くと言ってきかない《しゃま》を連れて

魔女は公園に向かった

 

 

そうして公園で《しゃま》は久方ぶりに《たてがみ》と会ったのだ

 

 

 

ベンチに飛び乗って《たてがみ》に声を掛ける《しゃま》

 

 

 

ふたりはすぐさま鼻先を寄せ合い、互いを確かめ合った

 

嬉しくてたまらない《しゃま》は、《たてがみ》と一緒に珍しそうにしながら公園を歩き回った

 

 

 

《たてがみ》を慕っている子猫たちも《しゃま》に寄ってきた

 

左手前《たてがみ》、その奥、《しゃま》

 

 

 

《しゃま》は体の大きな《ちずのすけ》に驚いたり

 

 

 

子供の猫たちと遊ぼうとしたりして、兄のいる公園を面白がっていた

 

 

 

 

ところが・・

いきなりやってきたよそ者に気づいた《つんでれ》が

《しゃま》を追いかけまわし、公園から追い出してしまったのだ

 

公園から出される《しゃま》を、《たてがみ》は追いかけ

そうして途中でを止め、頭を垂らすようにして見つめていた

 

その時の《たてがみ》の辛さは如何ばかりだったかと思う

弟の味方をしたいのに・・ そこには公園組としての立場上の自分がいた

 

 

 

以来・・

《しゃま》が公園に行くことはなかった

 

公園入口に姿を現すことはあっても、それは魔女を呼びに来るだけだ

 

《しゃま》はそれまでのように駐車場で暮らした

 

 

 

 

 

 

《ぶす》や《らぶ》と一緒にご飯を食べ

 

 

 

毎日大好きな《たんぽぽ》にくっ付いて歩き

 

 

 

魔女にはおおいに甘えた

 

 

 

 

 

 

それから1年以上が経ち

公園では《ちずのすけ》や《つんでれ》、《もりだくさん》が歳を取り

《たてがみ》が世話になった《オダギリくん》の皮膚癌が進んでいた

 

 

そんな公園で、《たてがみ》は力をつけてゆく

 

 

 

いつしか全体を見渡せる高い擁壁の上から公園を見張るようになり

 

 

 

子供たちを率い

 

 

 

そうして病状が悪化する《おだぎりくん》に付き添って暮らした

 

 

 

長老猫たちは《たてがみ》を頼るようになり

 

 

 

《たてがみ》は自身を受け入れてくれた彼らに恩を返すために頑張るのだった

 

ある時なぞは

癌が悪化し、遊具の上で横たわっていた《おだぎりくん》を襲おうとしたよそ者の大きな雄猫に飛び掛かり

森までも追いかけ、さらに木の上まで追いつめた

その猫も、また他の猛者猫たちも、《たてがみ》がいる限りここに来ることはもうなくなった

 

そうして《たてがみ》は、3歳という若さで公園全体のボスとなった

 

 

 

 

一方駐車場の《しゃま》の生活は一変していた

 

2019年の冬、母親のように慕っていた《たんぽぽ》が亡くなってしまった

 

それによって憔悴した《しゃま》はその心細さとストレスから口内炎を悪化させ、食べることが苦痛になっていった

 

そのうち《ぶす》もやって来なくなった

歳をとって駐車場の暑さ寒さが身に堪えるようになってしまったのだ

 

《くろまめ》も姿を消した

 

そうして

同年の秋、最後まで一緒だった《らぶ》が空に還った

 

この時期より数か月前から大きな雄の飼い猫が外をうろつき、駐車場を徘徊するようになっていて

気の強い《らぶ》が果敢にこの猫と戦い、常に追い払ってくれていた

 

そんな《らぶ》もいなくなり

とうとう《しゃま》はひとりぼっちになってしまった・・

 

 

 

 

 

 

《らぶ》がいなくなった駐車場をわがもの顔で徘徊し、占領し始めたのは例の大きな雄の飼い猫だった

 

その後、ひとりぼっちになってしまった《しゃま》の元へ母親や叔母たちが交代でやってはきていたが

しかし、この大猫は 女、子供を容赦なく追いかけ、酷く虐めるので

駐車場にやってくる猫は誰もいなってしまった

 

あんなに賑やかだった駐車場が・・ 

今ではまるで廃墟のようだ

 

 

大猫から隠れて暮らすようになった《しゃま》は痩せてゆき

その毛は茶ばんで変色し

毛並みも悪くなってしまった

 

そうして《しゃま》の心は日に日に荒んでゆき

その挙動はは目に見えて不安定になっていった

 

 

 

 

 

 

 

飼い猫がうろつくので就寝場所も定まらず、雨の後はいつもこうして濡れていた

 

 

 

ボロボロになってしまった《しゃま》を・・

 

 

 

 

私は懸念した

毎日、毎晩、彼のことを考え続けた

私が去勢した子だから、最後まで世話をする義務があるし、何よりも愛しているから

 

 

上の写真のように昼間に魔女の姿を見つければこうして姿を見せることもたまにはあったが

概ね《しゃま》が駐車場に姿を現すのは夜に魔女が食事を持って訪れる時間だけとなった

どこで寝泊まりしているのかさえわからない

 

 

私は猫のご飯を詰め込んだ大きなバッグの中に

常に洗濯ネットと大きな麻袋を忍ばせて行くようになった

《しゃま》を捕獲し連れ帰ろうと考えたのだ

 

去勢手術のための捕獲で使用したのでキャリーには絶対に入らない

実際、その時魔女を手伝った家族①を《しゃま》は今でも恨んでいる

 

 

しかし捕獲したとしても、ひどく気難しくなっている現在、この子が本当に幸せになれるのか

 

さらに、捕獲に失敗した場合、《しゃま》はもう二度と魔女に近づかなくなるのは必至で

そうなると魔女以外の人間には絶対に懐かない《しゃま》に食事を与える者は誰もいなくなる

 

それでもこの時《しゃま》は魔女が与える柔らかいウェットご飯を、1缶に足してパウチも食べていた

 

差し出された食事を懸命に食す《しゃま》を見つめていると

色々と考えを巡らせるものの・・ バッグの中の洗濯ネットを握りしめる手が緩んでしまう

そんな躊躇と葛藤の日々が続く中

 

昨年12月の半ばのある夜から《しゃま》が姿を見せなくなった

魔女は毎夜深夜まで駐車場で何時間も《しゃま》を待ち続けた

 

 

姿を消す前夜の《しゃま》は際限なく私に甘えた

冷たいアスファルトに寝転んで腹を出し、何度も 撫でて!撫でて! と要求した

その夜、私は《しゃま》を2時間以上撫で続けた

 

 

《しゃま》を待ち続けて6日の夜にもたらされた情報により

私は《しゃま》の所在を知ることとなる

 

 

これより後のお話はご存知の通りだ

 

 

 

 

 

 

 

 

《たてがみ》の想い

 

《しゃま》の想い

 

 

今は全く違った環境で暮らす兄弟だけど

いつか一緒に暮らせるようになるといいな

 

懐かしいあの頃のように