今日は朝から仕事して
歯医者に行って
軍団のご飯やらトイレ砂などを買って
のらちゃんに昼間ご飯をあげて
家に戻ると・・
リビングがメチャクチャになっていた
魔女が長時間いなかったので軍団が荒れた模様
今日は暖かいのでお部屋開放にして、軍団が家の中を自由に使えるようにして出掛けた
魔女が家に戻った時、殆どの軍団はリビングにおらず1階のアトリエにいたらしい
リビングの散らかり様は惨憺たるもので
しかしそれより
例の軍団ご馳走保管箱を見て、私はがっくりと肩を落とした
・・これで3度目だ
今回はちゅ~るやササミ棒の他にかつお節が破かれ、箱の上にはその中身が散乱していた
魔女家の猫はちゅ~るやカツオ棒などは各猫のお誕生会の時か、病気の猫に薬を混ぜるのでしか食べられない
日常で13にんの猫にそれらを与えていたら、とてもじゃないが家計が持たない
しかも、これをやった犯猫は食べたくてやっているのではなく
こういうことをするのが趣味なのだ
だから、ただ袋を引っ掻き、噛み破くだけ
歯型がついて滲み出たちゅ~る
散乱したかつお節
被害に遭ったものを箱から出してみた
一番ショックだったのは、病気の子に食べさせる高カロリーの栄養食パウダーが噛まれて穴だらけにされていたこと
左下のが高カロリーパウダー
魔女家にはのらだった仔猫時代に栄養失調で死に掛けていた子も多く
幼児期の過酷さが現在の生活にも影響を及ぼしている
また、外生活で命を失いかけた重病の のらちゃんたちを保護して家族にしているので健康が優れない猫も多く
こういった栄養食は何かの折りには非常に大切になってくる
《とらたん》に薬を飲ませるのにちゅ~るが必要だったりして
いつでも取り出せるように部屋に置いておいたのがいけなかった
いくら重たいものを乗せて対策していたとはいえ、《凜》の根性を甘く見ていたところもあった
何はともあれ、私が他の部屋に移動するなりしなかったのが原因なのだから《凜》を責めるわけにはいかない
魔女が帰って来たのでアトリエにいた軍団全員が部屋に戻って来た
いつもだったら 「あー!もう 仕方ないなぁーー」 とか言って片付ける魔女
今日もそんな感じだろうと
軍団は口々に
「あ~ぁ・・ またやられたんだ~」 とか
「ひどいもんだね~」 とか言っていたが
さすがにがっかりしちゃった魔女はすっかり無口になってしまっていて
散乱したかつお節を集め
蓋の部分がビリビリになってしまった箱から中身を出し
新しい箱を用意してそれらを移し
食いちぎられて散らばった髪やらビニールやらを黙ってかき集めていて
まわりを取り囲んで、魔女のそんな姿を見ていた軍団も次第に無口になり
そのうち目が三角になってきて
みんなしょんぼりしてしまった
器に集めたかつお節を軍団に差し出し
「食べなさい・・」 と勧めるも
軍団は後ずさりをし
誰一人としてそれを口にしようとする者はいない
軍団はしょんぼり顔になってしまい、ただじっと魔女が片付けるのを見つめている
テラスから張本猫、《凜》が入ってきた
そうして、どんなもんだ、みたいな顔をして軍団の前に進み出た
魔女 「《凜ちゃん》、もうこういうのやめて・・」
凜 「それはストレス発散ですから!」
魔女 「・・」
インドラ 「《凜》、こういうことはもう止めな! 魔女が大変だし、それにこれはみんなのなんだよ」
凜 「そんなことでもやってなきゃ面白くないでんすよ!」
魔女 「こんなことしてたらお誕生会の分がなくなちゃうよ・・」
凜 「ついやっちゃうんだから仕方ないじゃないですか! 癖ですよ、癖!!」
そういうと《凜》は身を翻してこたつの向うに走った
魔女が再び片付け始めたその時
けたたましい声が部屋中に響き
魔女も軍団も驚いて何事かと顔を上げると
こたつの向うで《ふぁふぁ》が恐ろしい顔で《凜》に詰め寄っていた
《凜》が、《ふぁふぁ》の一撃を喰らったのだ
私たちはほんとうに驚いていた
あの穏やかな《ふぁふぁ》が・・
《ふぁふぁ》がここに来てから1年が過ぎた
新参者だからと、《ふぁふぁ》は何があっても遠慮をして暮らして来た
誰かが《ふぁふぁ》のご飯を見ていたら、それを譲り
寝る場所ひとつも絶対に我を通さず、空いている場所を見つけて寝ている
今、その《ふぁふぁ》が恐ろしい顔をして《凜》を叱っているのだ
しかし、気の強い《凜》も負けてはいない
凜 「何するんですかっ!」
ふぁふぁ 「じぶんが 何をしたのかわかってるのか!」
凜 「自分のやったことくらわかってるよ!!」
※ 向うに散らかっているのは軍団がどこからか引きずってきた魔女の靴下とエコバッグの紐の部分と机から落とされた猫型カレンダー
ふぁふぁ 「なんだ その口のききかたは!」
凜 「なんですかっ!」
ふぁふぁ 「おまえは まじょのたいへんのことがわかならいのか!
だれに めしもらってる!!」
凜 「わ、わかってますよ」
ふぁふぁ 「わかってるんなら どうして こまらせるようなことをするんだ!!」
凜 「そ、それは・・」
ふぁふぁ 「ちゃんと 言ってみろ!」
凜 「・・」
ふぁふぁ 「もう にどとやるな!」
凜 「・・」
ふぁふぁ 「わからないのかっ!」
ここで、魔女はさらに詰め寄る《ふぁふぁ》を止めに入った
が、《ふぁふぁ》は納得しない
さらに首を捻じって、肩を突き出し、《凜》ににじり寄る
《凜》は後ろにある椅子にぶつかってもう後がない
かなりヤバイ感じになってきた
「《ふぁふぁ》、ありがとう もういいよ 《凜》はきっともうやらないから」
《ふぁふぁ》の背中を撫でながらそう話しかけると
《ふぁふぁ》は黙ってその場から立ち去った
嬉しかった
ほんとうに
魔女、胸がいっぱいになってしまって
泣きそうになった
ふぁふぁ・・ なにもかもわかってて
魔女の気持ちもちゃ~んとわかってて
軍団もそうだね
猫と人間の間にまったく差のない社会がここにはあるのだと実感した
魔女はお金が使えて、手が使えて
器用な生きものだからまるで猫の面倒を見ているように見えるけど
実は私たちは思いやり合いながら暮らしてる
猫とか人間とかじゃなく
私たちそれぞれは
それぞれが出来ることを相手に対して精一杯やっていて
生きものとして同等なんだ
私はこんな素晴らしい猫たちと暮らせてほんとうに幸せです
凜 (凄い勢いで怒られた・・ )