《ふぁふぁ》のお話 Ⅱ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください


ゆうべはテラスで冷たい空気を吸いながら

まじょねこ軍団と一緒に、瞬く星を眺めて暫しの時間を過ごしました


いつになく星の多い美しい夜空でした




昨日の続きです


《ふぁふぁ》を捕獲し、そのまま動物病院へ向かう


待っていた先生が《ふぁふぁ》に向かって 「お久しぶり!」 と、声を掛ける


※ この先生は以前病院を建て替える際、《ふぁふぁ》たちの住む駐車場脇のマンションに仮住まいしていらしていて、この駐車場ばかりでなく、公園の猫たちもよくみてくださっていたのだ


それどころではない《ふぁふぁ》はキャリーの中で固まっていた

《ふぁふぁ》にとっては、バスケットに入れられるのも、車に乗るのも、病院も、全てが生まれて初めての恐ろしい体験だから・・


病院に《ふぁふぁ》を預け、一旦家に帰り、去勢手術が終わった後の夕方に再び迎えに行くことになる


その間、公園組にご飯をあげたり、遊んだりして時間を潰す



《ふぁふぁ》は私を恨んでるんだろうな

恨まれても仕方ない


私は《アゾ》がここに来た時のことを思い出していた


生後2ヶ月ほどの《アゾ》は、障害のある母親ときょうだいたちと一緒に民家の物置で暮らしていた


その物置が取り壊されることになって、彼らは路頭に迷うことになる

それを知ったボランティアさんが子猫たちを保護した


その後、他の子猫たちは引き取られてゆき、《アゾ》だけが取り残された

幼い《アゾ》は母親を恋しがり、人を嫌った



私の何か知らんの勘違いで、他の猫のことで電話した先がこのボランティアさん宅で

どういう訳か話がこんがらがった挙句・・ 

《アゾ》を引き取ることになった


その後、このボランティアさんは《アゾ》の様子を見に何度か魔女家を訪れてくれたが

外からの彼女の足音が聴こえると、《アゾ》は突然目を吊り上げ、恐ろしい形相でテラスの隅に置かれた板の後ろに隠れ、その人が帰るまで決してそこから出てくることはなかった


その人が《アゾ》が隠れた場所を覗こうものなら

《アゾ》は耳を寝かせ、鼻に深い皺を寄せて真っ赤な口を開け、恐ろしい声を出して威嚇した


そんな《アゾ》の様子に、ボランティアさんは

「いいのよ、恨みなさい、私はどんなに恨まれても構わないからね」 と

淋しそうな笑顔で、いつもそう言ってらした



《ふぁふぁ》は・・ 魔女に怒ってるよね

これからは、魔女を見たら逃げ出すようになるのかな


それも仕方ない・・

仕方ないね



夕方6時に《ふぁふぁ》を迎えに病院を訪れると

やはり朝ご飯をあげてしまったため、吐いてしまったとのこと

それで《ふぁふぁ》はうちのキャリーではなく、病院のちょっと大きなゲージに入れられて待合室に運ばれてきた


《ふぁふぁ》は私を見るなり大きな声で鳴いた

それは殆ど鳴かない《ふぁふぁ》からは今まで聞いたこともない声で

《ふぁふぁ》は私を見上げて大声で鳴いた


思わずゲージの隙間から手を入れると・・

《ふぁふぁ》が頬を寄せてきた


なんか・・ 涙 出そうだった


体も寄せてきた


先生と話している間も《ふぁふぁ》は魔女に向かって鳴き続けていた



問題は圧縮フェルトのようになってしまった《ふぁふぁ》の毛


それを手術後のまだ麻酔が効いている間になんとかしたい

先生はその一心で、看護士さんやトリマーさんと3人がかりで梳きまくった


しかし毛が固まってしまった部分はどうにもならず、かといっ、この寒い時期に毛を切ってしまう訳にもいかず、後で見たらそこには切込みを入れてくれたようだった


そのうち麻酔が切れてきた《ふぁふぁ》は

自分が人間に触られていることに気づき、恐ろしい顔で威嚇し、暴れ始めたようだ


なので、前足だけが出来ませんでしたが・・ と先生は仰ったが

《ふぁふぁ》の毛はそれまでとは見まがうほど、それこそふぁふぁになっていた


先生、ありがと

《ふぁふぁ》がふぁふぁになりました



念のため魔女家で一夜を過ごすことになった《:ふぁふぁ》


軍団にご飯をあげる間、ゲージをアトリエに置いておいたら・・


どこからか現れたのが、やはりこの猫



        

            インドラ 「こんばんは、 どうしたんですか?」



        

                      ふぁふぁ 「だれ」




 インドラ 「僕、《インドラ》といいます、 よろしくお願いします  なにか困ってますか?」


             ふぁふぁ 「いまは ほっといて・・」



不思議だね

本来なら用心深くて気の荒い《ふぁふぁ》が《インドラ》を威嚇しないなんて 




この夜、魔女は《ふぁふぁ》と一緒に寝た

《ふぁふぁ》はゲージにいれたままだけど・・


空いている部屋に布団を敷き、すぐ隣に暖かい毛布を掛けた《ふぁふぁ》のゲージを置き

毛布は魔女が見える面だけを開けた




        《ふぁふぁ》は物珍しそうにあたりを見渡していた



                        ここ・・



                         どこだろ・・



            でも疲れちゃんのか、眠くなってきたみたいね



       《ふぁふぁ》、今夜は魔女が隣で一緒に寝るから心配ないよ



魔女は布団から手を出してゲージに指先を入れた

すると《ふぁふぁ》が顔を寄せ、ごろごろと喉を鳴らし始めたのだ


4年半の付き合いで、初めて聞いた《ふぁふぁ》のごろごろ・・


ごろごろは次第に小さないびきに変わっていった


《ふぁふぁ》がすっかり寝入ったのを見計らって手を布団に戻す

暫くはいびきをかいているけれど、そこに手がないことに気づくときびきが止まり、シンとなってしまう


それでまた指を差し入れるとごろごろと喉を鳴らし、それがいびきに・・



そうして朝になった


昨日から殆ど食事を取っていない《ふぁふぁ》はお腹を空かせ、喉も渇いているはず

なのでたっぷりのご飯を用意した




      ご飯を食べながらワオワオ言ってます   お腹、減ってたね



しかし、《ふぁふぁ》はそのご飯を半分食べたところで顔を上げ

魔女を見詰めて 「かえりたい・・」 と言ったきり

ご飯を食べなくなってしまった



帰ろうね

自分の場所に帰ろう


私は《ふぁふぁ》のゲージを抱え、車に乗せた


走っている間中《ふぁふぁ》は鳴いてた

またどこかに連れて行かれると思ったんだね


住宅部東の駐車場では、《たんぽぽ》と《とらたん》がいつもの場所で待っててくれて

私の車を見るなり駆け寄ってきた


《ふぁふぁ》のゲージを車から降ろし、扉を開けると

《ふぁふぁ》は飛び出してどこかに駆けて行った

その後を《たんぽぽ》と《とらたん》が追う



翌日曜日、私は終日仕事で、その後の様子を見に行くことができなかった

それを知っている家族①がご飯を持って住宅部東を訪ねた模様


後に家族①が言ったには


いつもの場所にいつものように

両脇を《たんぽぽ》と《とらたん》にはさまれた《ふぁふぁ》が寝てたって

それはもうぎゅっと挟まれてた、って

それからご飯をいっぱい食べた、って


去勢したことで多少でもストレスが軽減されるといいな

どうか《ふぁふぁ》はもうこれ以上毛を毟りませんように

そして再び毛が生えてきますように


そうして少しでも寒くありませんように