ネパール日記                           ~ 学校からチッタ氏宅へ ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


その後校長であるスジータ女史の案内で各教室を覗く

ネパールの子供たちの授業態度は素晴らしい

どんな小さな学校でもそうであるように、ここでも子供たちは私語を慎み、真剣な眼差しで先生の言うことに耳を傾け、黒板を見詰めていた


スジータ校長はいくつかの教室に入り、魔女を紹介した

子供たちが質問をしたいということで校長に許可が求められ

スジータ校長はにこやかにそれを許可した


子供たちの殆どが元気よく手を上げ

指名された者がきちんと立ち上がって質問をする

その瞬間他の生徒は口を慎む


私は様々な質問に答えてゆく

各教室の子供たちからの質問で一番多かったのが


「Ms. 魔女はこの学校で絵を教えてはくれないのですか?」


というものだった

それが出来れば楽しいだろうな・・ と思った

自由に絵を描くということは、既成概念に捕らわない自由な心を創る

この国ではそれはやり甲斐のある仕事となるだろう

このような目をした子供たちならば

その美しい文化を基本に置きいた上で、更にグローバルな思想にも触れさせてあげたい気持ちになる

しかし・・ そうもいかない


子供たちの落胆した眼差しに心を刺される思いで、スジータ女史に見送られここを後にする


        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この学校の子供たちは上位カーストの者が殆どだ

家に帰れば自分の部屋を持ち、美味しい食事をし、綺麗な服を身に着けている子供が多いだろう


一方地方の村の子供たちは公立学校のため、ネパール語の読み書きがやっとだ

学校に行けない子供たちも多い

彼らは親の手伝いをし、また野山を駆け巡りながら

生きる術や技術を身につけてゆく


実に頼もしいのは後者だ

彼らは上手に木に登ってその実を取り、岩を飛んで魚を捕まえ、狩をし、重い荷物を運び、畑も耕す

小さな子供でさえだ


人は何をもって幸せだと感じるのだろうか・・


人が思う幸福と、本人が感ずる幸福とは

必ずしも一致しない・・


しかし少なくとも、親に捨てられたり、また虐待されたり

親を亡くした子供ほど不幸せなものはない


そういう者たちに手を差し伸べるのは国の役目だ

その役目を果たさない国で

多くのストリートチルドレンが徘徊する街を

私はどんな目で眺めたら良いのか・・


現実、これらの子供たちに手を差し伸べるとして

それは個人の援助で追いつく範囲ではない

キリがないのだ

そういった子供たちが次から次へとこの街に押し寄せて来ている

(中には都会に憧れ、自分から家を出て来た子供もいるが)


寧ろ、これから国を背負って立つ子供たち(上位カーストの子供たちではあるが)に

心ある指導者が、人としての在り方、国を司る事の真の意味

福祉国家の実現、教育制度の確立など

国際社会に向けての姿勢を徹底教育し

この国に変革を齎す者を創りあげてゆくしかないのかも知れない       


        ・・・・・・・・・・・・・・・・・


時刻は昼を過ぎ

スレスの兄であるチッタ バジャチャリア氏に会いに行く

チッタ氏は魔女がネパールを訪れる度にお世話になっている


彼は家を新築し、同じパタン市内だが以前とは違う場所に住んでいる

新しい家は豪邸だった

プラズマテレビを始め、ありとあらゆる電化製品も揃っている


しかしチッタ氏は言う

ここで電化製品を持っていてもほぼ無用の長物ですよと

そうですねぇ・・ こんなに停電ばかりだとね・・

残念ながら同調せざるを得ない


チッタ氏の奥さんが食事を作ってくれ

食後には美味しいコーヒーを入れてくれ

デザートにスージ ハルワを作ってくれた


各家庭よく作られるお菓子で、それぞれ味も違うが
この奥さんのスージ ハルワは、ギーの量といい、甘さ加減といい、最高だ


      まじょねこ日記-Haruwa

※ ハルワ → ギー(高純度のバター)を鍋で暖め、そこにスージ粉(セモリナ粉)を入れて炒め続ける

暫く炒めたらミルクや砂糖(ガムシロップにして)やレーズン、ナッツなどを入れて更に炒め出来上がる

インドではガージャル ハルワというものが一般的で、それはスージ粉ではなく、すりおろした人参を使い、カルダモンが入る

ネパールでも人参のハルワを作るし、他にカボチャやサツマイモを使うこともある

魔女はスージ ハルワが一番好きだ


庭に出てチッタ氏やスレスと暫く話しているうちに

これからサッカーの試合を観に行こう!という事になり

チッタ氏は用事があるということで

ここで夫妻にお礼と別れを告げ

チッタ氏の7歳の長男を連れて、スレスとカトマンズの国立競技場に向かう