ジョン ブリアン
2回寝た前 (これ間違い、本当は3日前のこと)
魔女が夕べも今朝も、食事時に《涼子》が物置にいない、と言って心配していた
するといつもテリャス手すりから外を眺めている《バブー》が、時々知らない猫が庭をうろついている、と魔女に教えた
《バブー》が言うには
それは僕をでっかくして、にゃん相を悪くしたような猫だって
それで誰もいない時にはお庭をうろついてるって
それを聞いて僕らは一斉にお庭に飛び出した
飛び出す前に、《水玉》と《ユリぼうず》、それに《アゾ》のしているマフラーを魔女が取った
何かあったら危ないからだって
水玉 「いいか、みんなバラバラに行動するんだ! それでその猫を見つけたら大声を出して威嚇しろ」
僕 「そうか、その声で僕らはそこに集結すればいいんだね!」
水玉 「そうだ、だけど遠くには行くなよ」
僕ら 「わかった!」
アゾ 「あ、あの・・」
水玉 「なんだよ・・」
アゾ 「にゃっ、にゃっ、にゃんそうがきは?」
水玉 「はあ~? んなもんあるかよっ!」
ジンジン 「《アゾ》、時代がかるのもいい加減にしなよ・・」
水玉 「こういうことは男の俺たちに任せて《アゾ》は家に入ってろ!」
アゾ 「《あ、あじょ》だって 《りょこちゃん》の たっめに がんばるますっ」
水玉 「足手まといなんだよ!」
アゾ 「くっ、くっ、くっ・・」
ジンジン 「悔しい気持ちは分かるけどさ・・」
アゾ 「くっ、くっ・・ くの一 じゃあ~! くの一 なんじゃあ~!!」
僕ら 「・・」
ユリぼうず 「そーいえば 昨日も観てたねぇ、時代劇」
ジンジン 「なんでそんな古いものに影響されるんだ・・」
水玉 「おまえ・・ くの一になって何するんだ?」
アゾ 「かっ、かっ、かっべを登るんです! や、やねをっ やねからとぶんです!」
水玉 「それでどうやって敵をやっつけるんだ?」
アゾ 「しゅ、しゅりけん! とーぜんじゃろう! しゅりけん、知っとる?」
水玉 「帰れっ!!」
アゾ 「なんで?」
ジンジン 「そんなグーの手でどうやって手裏剣を使うんだよ・・」
アゾ 「・・ ダ、ダメですかね?」
水玉 「おまえ邪魔・・ おまえが加わると作戦が台無しになる事間違いない」
《あじょ》もがんばりたいんだが・・
それで僕らは魔女を呼び、《アゾ》を部屋に戻してもらった
嫌がる《アゾ》に、魔女は言い聞かせた
「《アゾ》は余計なことをしなくていいからね」
それで僕らは姿を隠すようにしてあちこちに散らばった
テリャスからは《バブー》と《凛》がそんな僕らの様子を眺めていた
ずいぶん経ってもニャン相の悪い猫は現れず・・
もう夕方近くになった
庭には、ジャスミャンの茂みに僕と、眠りかけている《ジンジン》が
そして少し窓の開いたアトリエには《ユリぼうず》がいて
《水玉》の姿はなかった
ちょっと寒くなってきたな・・ 僕はそんなことを思っていた
その時・・
お庭の向こうの階段から猫の頭が見えた
知らない猫だ!
その猫は階段を登りきった所で辺りを見回している
僕は《ジンジン》を突っついて小さな声で言った
僕 「《ジンジン》、あの猫じゃない? なんだよ、僕と同じって言ってたけど、《ジンジン》と同じ模様じゃない」
ジンジン 「何言ってるんだ、あれは《ジョン ブリアン》と同じ模様じゃないか」
僕 「《ジンジン》でしょっ!」
ジンジン 「あっ、物置の方に行くよ!」
僕たちがジャスミャンの茂みから飛び出すより早く
《ユリぼうず》がアトリエから飛び出した
その猫は驚いてさっき登って来た階段の方に逃げ
一度振り返ってから、またそこを降りて行った
僕らも茂みを飛び出し、既に花壇から下の通路を見下ろしている《ユリぼうず》のところに行った
すぐ下の通路からは、にゃん相の悪い猫が僕らを見上げている
《ユリぼうず》が甲高い声で威嚇した
それでその猫は逃げて行った
ちょうどその時、魔女が玄関から出てきて (《アゾ》のためにニャン相描きをしようかとカメラを持って、でも一足遅かった・・)
それで振り返った《ジンジン》は、その猫が逃げるのを見ていなかった
それで顔を元に戻したら猫がいなくなっていたものだから・・
《ジンジン》怪訝な顔で僕の方を振り返った
すると・・ いったい何を勘違いしたんだか
《ジンジン》が背中と尻尾の毛をボーボーにして僕を襲おうとしたんだ!
ジンジン 「おまえ~! いつの間にそんなところに~!!」
僕 「え・・ なに? なに?!」
勘違いした《ジンジン》の 『威嚇顔』 と (中央)
勘違いされた《ジョン ブリアン》の 『何が何だか分からない顔』 と
《ユリぼうず》の 『???』(右) が面白い・・
僕は訳が分からず、のけ反りそうになった
そこに魔女が
「やめなさい! 《ジンジン》、良く見なさい! それは《ジョン ブリアン》でしょ」
それで《ジンジン》は我に返った
《ジンジン》は すごく言い訳がましくつぶやいた
「それにしてもよく似てたよね・・ 尻尾なんて全く同じだったもん・・」
しかしこの猫はしぶとく・・
これしきでは諦めなかった
つづく