ネパール日記 ~こぼれ話 Ⅱ~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


      まじょねこ日記-Tonba
        ネパールの酒 tongba(トゥンバ)

シコクビエというヒエが入った樽のようなカップにお湯を注いで少し待ってからストローで飲む

ストローはヒエを吸い込まないように先がつぶされている

少しづつ薄まるが、2~3回は継ぎ足して飲める

魔女は酒を飲まないから味はわからないが、癖のない味だとか・・

~ ラクスマンの店にて ~


さて、当日集まったメンバーは・・


言い出しっぺ本人 ・ デイブ ・ カズリ ・ パサン(当時友人だった) 、そしてそんな男性メンバーの中にあっても全く浮くことのない、主賓?の魔女という5人


先ずはラクスマンの店に集合し、閉店後に連れ立って・・

その 『ピンク ハウス』 とやらに向う


『ピンク ハウス』 は当然タメルにあって(タメルとはそんな町)

彼の店からは6、7分の所だった

通りから細い路地をほんの少し入った薄暗~い所に、ピンクのネオンサインだけがキラリンキラリンとお化けのように目立っている

入り口の階段を登って薄暗い店内に入る


例のショーとやらはまだ始まっておらず

取り敢えず、サリーを着た色っぽい目つきのお姉ちゃんが持って来たメニューで、食べ物と飲み物の注文だ


ラクスマン 「魔女、好きなものを何でも頼んで」


魔女 「うん!」


ラクスマン 「他のみんなは、飲み物はビールでいい?」


魔女 「なんだこれ! たっけぇ~!!」


ラクスマン 「魔女、気にしないでいいよ」


魔女 「ジュースだけでいい!」


ラクスマン 「食いしん坊なんだから好きなもの注文してよ」


魔女 「何もかもがラクスマンの店の6,7倍の値段じゃん! 魔女、食べない!!」


ラクスマン 「じゃあ僕が勝手に注文するよ」


魔女 「やめな! もったいない」


それでもラクスマンは飲み物と一緒に人数分以上の料理を注文した

この時魔女の頭の中では、ルピー札が乱舞していた


そんなお金を取るほどのショーなのか!

そんな凄いショーなのか? そうなのか!


店の女性オーナーが挨拶に来た

地元で商売をしている者同士の繋がりもあるのだろう

ラクスマンとデイブに丁寧な挨拶をしている


戻りがけには、魔女たちにも 「どうぞお楽しみ下さぁい」 と声を掛け、色っぽい目つきでニカッ~と笑い、優雅な腰つきでにテーブルを離れて行った


ここの料理はバカ高いくせに、お世辞にも美味しいと言える代物ではなかった

料理で勝負している訳ではないからそれも仕方ないけどさ・・


そうこうしているうちに店内が一段と暗くなり・・

怪しげなピンクのライトが小さめの舞台を照らし出した


ゆるい音楽がかかるのかと思いきや

ディスコ ミュージックがバンバン流れて来て・・


ついに若い女の子がミニスカートで・・

えっ・・ ミ、ミニスカートなんですか?!

水着とかじゃないんですか!


しかも上はちょっとだけヘソ出しティーシャツ

中途半端なB-Girl・・?

これがそうなら・・ うちの町では昼真っからそこら中でピンク ショーじゃんか!


そんな女の子の踊りはなぜかリズムに合っておらず

そこに、途中から男性が出て来て踊っている女性と絡む訳らしいんだけど・・

それがなかなかプラトニックな絡み方で殆ど触れてもいない


そんな女の子たちの

恥ずかしそうな顔はなんとも可愛いけれど・・

それにしてもこのチュートハンパな感じ

どーすりゃいいんだよっ!!


デイブ 「魔女、見てる・・?」


魔女 「見てるよっ!」


ラクスマン 「何だか凄そうだね・・」


魔女 「何がっ!」


ラクスマン 「なんだか・・」


魔女 「・・ラクスマン、見てないの?」


ラクスマン 「恥ずかしくて見られないよ・・」


魔女 「・・」


テーブルに目を移すと・・

魔女の隣にいるデイブも、その向かいの席のラクスマンもパサンも

舞台側にあたる手を顔の横に立てて、互いに向かいの席の仲間の顔だけを見詰めている

ただ、女にも男にも興味のないカズリだけがぼんやりとした目を舞台に向けていた


魔女 「なによ! 魔女がはしたないっぽく見えるじゃん、みんなも見なよ!」


パサン 「無理ですよ・・」


ラクスマン 「魔女は見てて、せっかく連れて来たんだから」


魔女 「あのね、周囲の客が話してるには、これからもっと過激なショーになるらしいよ、どうするのさ!」


ラクスマン 「パサン、僕らは世間話でもしていよう・・」


パサン 「そうですね」


デイブ 「僕も混ぜてよ・・」


魔女 「もうっ! 魔女は見るからね!」


ラクスマン 「どうぞ・・ どうぞ・・」


そしてショーは進行し・・

ついに・・ 下着姿の女性が・・


むむぅ・・

下着と言っても、決してハイレグとかではなく、きちんとウエストあたりまでを覆った分厚いガードル風ショーツに、胸のすべてを包み隠した大きなブラジャー

これだったら日本の下着ファッションショーの方が余程過激かと思われ・・

ふ~む・・


もう一度テーブルに目を移すと

カズリは飽きてしまったらしく、ぼんやり天井を眺めていて

それ以外の3人は舞台とは逆方向に顔を向けてテーブルに突っ伏しており・・


あの・・ みなさん・・ 大丈夫ですか?


ラクスマン 「いつ終わるんだ・・?」


魔女 「知らないよ」


デイブ 「あぁ・・」


パサン 「僕、どうしたらいい?」


魔女 「・・なんだかみんな辛そうだから、もう帰ろうか?」


ラクスマン 「僕らの事は気にしないで、魔女だけ見てて・・」


いったいなんなんだ この有様は!


ラクスマンはカトマンズにだってこんな店があるんだぞ!

って感じで魔女を連れて来たようだけど


本人はこういうの初体験で、相当ショックだったらしく

その後一切、ピンク ハウスのピの字も言わない


それでこの前、ラクスマンの店で
向かいの席に陣取って喋りまくっているラクスマンに聞いた


「そういえば、ピンク ハウスってまだあるの?」


すると彼は・・ 

無言で席を立ち、調理場に入ってしまった


また連れて行けなんて、誰も言わねえよ・・