浅はかな女 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

水玉


      まじょねこ日記-Mizutam 0974

どこまでも中途半端な魔女は

あの日玄関の掃除を忘れてハエトリ蜘蛛を筆頭にした小形蜘蛛たちと遊び始め

結局掃除が終わらないまま夕方になった


そーじ機も床を拭くためのスプレーもピカピカ液(ワックス)も、ゾ-キンも全部玄関に置きっ放し・・


それで俺がアトリエの時計の中の棒(針)が縦に真っ直ぐになったのを確めて

「魔女、6時だぜ」 というまで夕方に気づかなかったくらい時間の観念がない


もっとも学校(小学校)で時計の問題が出るお試し(テスト)は全滅(0点)だったっていうから仕方ないのか知んないけどさ


とにかく俺らの夕食になって

それから人間の食事の仕度を始めた

それはいつものように嫌々始めた


やりたくないものだから、わざとぐずぐずした

魔女は毎日そうやってぐずぐずしては、人間の夕食の時間を遅くする

どうせやらなきゃならないんだったらさっさと終わらちゃえばいいのに・・

そんな事、犬には分からなくても猫には分かるぞ


やっと魔女はそこいらを探してご飯の事を決めた

あんちゃん(魔女のシティーボーイな弟)から貰ったイモ(ジャガイモ)と、肉と、大好きなキョンニャクを取り出した

これをガンガン煮るんだ


ふぇ~! これはいったいどういう食べ物なんだ!

(肉じゃがですけど何かっ!)


人間のご飯が出来上がって

魔女は自分のお皿だけ肉とキョンニャクがいっぱいで、イモをうんと少なくするんだ

他の家族のお皿はイモだらけ


それで魔女はコロケ(コロッケ)以外のイモが嫌だから

嫌なものを先に食べて、それから好きなものをゆっくり食べる作戦をとる

こういうところが俺ら猫とは違うんだけどね


魔女は1日1食の上、自分のぐずぐずのせいで相当お腹が減っていたんだろうな・・

テーブルに着くや否や速攻でほんの少量しかないイモを口に放り込んだ

これさえ終われば天国よ、おほほっ! って感じで・・


ところが・・


「うわーふぃっふぃ! わっふぃっふぃぃぃぃぃ~!!」


俺らは一斉に魔女を見た

魔女は口を押さえ、いきなり立ち上がって苦しみ始めた


それから口の中に指を突っ込んだ


「うがぉ~!!」


口に指を突っ込んだ魔女は前よりさらに苦みを増したように見える


「わっふぃ~! わふぃ~~~!!」


それからばったりとうずくまって動かなくなった


俺らはおろおろした

魔女に何かあったらいったい誰が俺らにご飯をくれるんだ

俺の頭にはそれしかなかった


俺は思わず魔女に駆け寄った


「魔女、魔女っ! どうしたっ!」


魔女は顔も上げず、何も答えず、ただう~う~言ってそこにうずくまっているだけで・・

俺らはとにかくおろおろした

人間の家族たちはお茶碗を持ったまま唖然としている


《ユリぼうず》は食後の散歩に行って、ここにはいない

魔女の看護猫、《ユリぼうず》がいたらもっと大騒動になったに違いない


暫くして・・

見守る俺らの前で、魔女がもったりと起き上がった

よく見たら口のまわりがよだれだらけだ


「魔女、どうしたの?」


《ジョン ブリアン》が聞いたけど返事をしない

魔女はよだれの垂れた口を半開きにし、目を涙でいっぱいにして天井を見ていた


取り敢えず大丈夫そうだから、俺らは様子を見ることにした


・・・・・・・・


やっと魔女が寝た


バブー 「まじょ さっき どしたの?」 


俺 「いや、まいったよ・・ な、《ジョン ブリアン》」


ジョン ブリアン 「何が起こったかと思ったよ」


ユリぼうず 「魔女がどうかしたの?」


俺 「あいつさぁ、夕食の時、腹減ってたのもあるんだろうな・・ あっつ~いイモをいきなり口に放り込んだんだ」


ジョン ブリアン 「熱さも確めないでだよ! 猫だってそんな事しないよねぇ」


俺 「それでその熱いイモがさ、口の中の上の部分(上顎)に張り付いちゃったんだとよ!」


ジョン ブリアン 「しかも魔女さあ、あの通り大ざっぱじゃない、切ったイモもこれまた大きかったんだよぉ~」


俺 「余りの熱さに仰天して、その張り付いたイモを取ろうと、あわてて口に指を突っ込んだ訳さ・・」


ジョン ブリアン 「ところがその指でイモを崩しちゃってね、崩れた熱いイモがもっともっと張り付いちゃったんだって!」


俺 「崩れたイモはなかなか取れなくて、より広範囲に口の中を熱くしたのさ」


ジョン ブリアン 「それで大ヤケドってのをしたんだって!」


ユリぼうず 「・・だったら水を飲めば良かったじゃない」


俺 「・・ そうだよな」


ユリぼうず 「何ですぐに水を飲まなかったの?」


俺 「やっぱ・・ バカだからじゃない?」


ジョン ブリアン 「しかもね!」


ボンネット 「まだあるの!」


ジョン ブリアン 「昨日魔女とちよちゃんとでお買い物に行って、ついでにランチャー(ランチ)ってのを食べたんだって」


俺 「魔女ってば鈍感だからさ、ヤケドの事を忘れてて、また熱いものを食べようとしたらしいんだよ」


バブー 「それで どうなったの!」


ジョン ブリアン 「どうなったかわかんないけど・・ それ以来何も口に入れてない」


俺 「てか、食べられないんだろ?」


ジョン ブリアン 「そうみたい・・」


ユリぼうず 「すごいな・・」


俺 「なにが?」


ユリぼうず 「つまり昨日のランチャーから何も食べてないんでしょ」


俺 「食べられないんだろ? ヤケドってのが悪化してさ」


ボンネット 「もうずっと食べないの?」


バブー 「まじょ ニャバーランドに 行っちゃう?あせる


俺 「心配するな、行きそうになったらまた食べ始めるべ」


それにしても・・

どこまで浅はかな女なんだ


・・・・・・・・・


今回の旅のネパール日記は取り敢えず終わりますが、また何かエピソードを思い出したらちょこちょこと掲載したいと思っています

上顎の皮が剥がれかかっている浅はかな魔女からでした・・