魔女の子供時代 ~続編~ Ⅲ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


かくして小学生であった6年間、それに中学2年までを足した8年間を、まじょは学校でひとりの友人も持たず、誰とも語らう事無く過ごした

途中1度引っ越したが、状況は変わらなかった


縮れ毛で風変わりな顔つきというだけでも

村の人々の見る目は違った


動物は心を見るのに

人間は外見を重視するのだ、という事を知った


森を出てからは、知りたくない、見たくない事の連続だった

だからこそ、自分は単に人間の形をしただけの生きものなのだと、子供ながらに納得した


まじょは人間世界では異端だった


すれ違う人間が振り返ってこちらを見る

数人の人がいればひそひそと何やら話す


それでもまじょは堂々としていたと思う

『ソーヤの子だから』

それは大きな支えだった


学校では常に孤立していたが、孤独ではなかった

人間関係の煩わしさに身を置く事も無く

休み時間には多くの昆虫や爬虫類と過ごせた

彼らが姿を潜める冬の時期は

移り変わる木の葉の色を眺め

枯木立に耳を当てて不思議な音を聞いたりした


家では日食、月食、流星など自然現象好きの父親とそれらを眺めた

父の作った茶色のプラスティック板越しに、よく日食を見た覚えがある

それが印象深かったから「よく」と思っているのか

実際、当時は日食が多かったのか

早くに両親を失くしたので・・

今となってはわからない


流星群がやってくるというと

母がサンドイッチと暖かい飲み物を持たせてくれて

夜に父と一緒に山のてっぺんに登り、空を眺めた

それは想像を絶する風景だった


父と一緒に山を徘徊し、一緒に隕石や水晶探しもした


相変わらず父は動物を拾って来ていたから

家にはたくさんの動物がいた


母はいつだって私を大きな愛情で包んでくれた


学校では常に問題児であったが

自分ではどこが問題なのかまったく分からなかったから

それとは知らず問題行動を繰り返す


クラスで飼っているメダカが次々と死んでしまうので、メダカを全部川に返してしまったり

同じくガゴの中のカブトムシが飛べないでいるのが辛くて、山に放したり

相変わらず弱い動物をいじめている男の子を殴っていて・・


傍と顕著に違う考え方や行動

それは3つ子の魂となって・・

今も名残る



人間は地球上で最も強い生きものだ

それは傲慢を誇り、この世を支配するために存在するのではない


全ての生命にとって、より良い環境を担う役目を負う為の力として存在するのだと思う

この口は罵る為にあるのではなく

口の聞けないものたちの心を代弁し、他に知らしめる為にもある

耳はその言葉を聴く為にもある


強いものは、弱いもの盾になり

豊かな心は、森羅万象の悲しみや苦痛を察し

複雑な脳はそれを緩和し、改善に導く工夫を施す


心の強さは優しさに比例する

強さを伴わない優しさなど有り得ない

私はそれをソーヤから教わった