魔女的祭りの意義 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ジョン ブリアン


jyonbri07714

いつもこの時期になると

家のところまでキンキラキンのおかしな箱がやって来る

(神輿じゃい!)


男の大きな声と一緒に、それはやって来るんだ

遠くからその声が聞こえると

僕らはタャラスの淵に乗って待つ


すると坂道の下から

ちゃりらん、ちゃりらんときんきらきんのものやたら揺れながら登って来る


それを一番楽しみにしていたのは《伐》だった

なにせ《伐》は、みんなから 『お祭り男』 と呼ばれていたくらいだからね

《伐》はそのミャコシが近づくにつれ

「わお、わお!!」 言って感動していた


家のすぐ側できんきらきんの箱は一休みする

すると《伐》は必ず道路まで出て人ごみの中を平気で箱を観に行く


それで帰って来た《伐》にどうだった? と聞くと 

「アイスもらって食った!」

と、いつだって嬉しそうに答えていた


魔女の友だちがミャコシをヤッセ!ヤッセ!!やっていて

その人が子供会のアイスを《伐》にも貰ってくれてたみたい


僕はいまだに、《伐》は本当にミャコシが好きだったのか

本当はアイスが好きだったのか分からない



それで、今年のお祭りに魔女が出掛けたんだ

今まではお祭りなんて行った事もないのにだよ

それもね、夜の遅い時間に

とんでもない模様の長い服を着て (浴衣じゃい!)


水玉 「魔女、その服・・目がチカチカする」


家族① 「何て模様の浴衣なの!てかそれ本当に浴衣?」


魔女 「浴衣だよ」


家族① 「日本情緒がまったくない・・」


魔女 「でも、インド情緒はたっぷりよ」


家族① 「日本の祭りでしょうが」


魔女 「どこだって祭りは祭りでしょうが」


家族① 「どこでそんな物を手に入れたんだか・・」


魔女 「どっちみち祭りは終わってるし」


家族① 「え・・ じゃあ何しに行くの?」


魔女 「お金を拾いに!」


ジンジン 「お金が落ちてるの?」


魔女 「アトリエのタマちゃんの友だちが前に大金拾ったっんだって!」


家族① 「お金を探して町をうろつく訳?!」


魔女 「そおだよ、 タマちゃんと待ち合わせしたんだ!」


そう言うと

欲に目が眩んだ魔女はキャピキャピ言いながら

とんでもない模様の長い服を着て、木のサンダルを履いて行っちゃった

お金をたっぷり入れるための袋を抱えて・・


僕たちはベランダから魔女を見送った

お祭りから帰って来る人たちが何人か坂道を登って来る

それと逆に落ち着けない模様の服を着た魔女が・・

袋を振り回しながら降りて行く


坂道で人々が振り返る・・  

タリャスの僕らは恥ずかしい・・


インジゴ 「お金、いっぱい落っこちているかなあ」


水玉 「一日二食になるかどうかの瀬戸際なんだから魔女も必死で探すべ・・」



真夜中くらいに・・

魔女が戻って来た!


僕  「魔女、どうだった!?」


水玉 「わあ! 袋がパンパンじゃん!」


インジゴ 「すご~い!!」


ジンジン 「早く中を見せて!」


魔女 「・・ほら」


ボンネット 「キャピ~!!!」


僕ら 「・・」


水玉 「なに・・それ・・」


魔女 「見ればわかるだろう・・」


僕  「大量の・・」


アゾ 「す、す、すっ・・」


ジンジン 「スーパーボール・・」


アゾ 「そっ、そっ、 そうだ それだ!」


インジゴ 「あの・・お金・・」


魔女 「ない・・」


僕  「だって・・」


魔女 「んなもん・・ 

どっこにもありゃせんなんじゃろがぁ~!!」


水玉 「何だか《アゾ》みたいになっちまってるぞ・・」


アゾ 「こっ、こっんなに にゃがにゃがとお うろうろついて なんだのにかあ~」


魔女 「うろうろつく言うな!」


僕  「タマちゃんはお金拾えたの?」


魔女 「1円な・・ でもタマちゃんは他にも大物を拾った!」


ジンジン 「なに!?」


魔女 「無開封のボトルに入ったミネラルウォーター!」


僕ら 「・・」


魔女 「シンとするなっ!」


ユリぼうず 「ケッ・・ ケッケケ!!」


魔女 「笑うなっ!」


水玉 「どうするんだよ・・この大量のスーパーボール・・」


魔女 「《水玉》、全部《伐》のお墓にお供えして来て」


水玉 「自分で行けよ・・」


お祭りは・・

お祭りは・・ やっぱ

《伐》のためにあるものだった



mizutama 07714