ユリぼうず
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昨日のすっかり暗い夕方
魔女は朝からぶっ続けで仕事をしていて
その後どうしてもガジャーヤ(画材屋)さんに行かなきゃならないらしく・・
魔女 「誰か一緒について来てくんないかなぁ」
水玉 「どうして?」
魔女 「もう何日も外出してないから自信がなくて・・」
ジンジン 「外出するのに自信がいるの?」
魔女 「家の外に出るっていうのはすごいストレスなんだよ!」
水玉 「何だよそれ・・」
魔女 「いつ何どき、嫌なものを目にするかわからないって事なんだからね!」
インジゴ 「嫌なものって?」
魔女 「そんなこと言える訳ないでしょ!」
水玉 「何なんだよ・・」
涼子 「とにかく、私は行かない」
魔女 「《涼子》 が生まれた駅前の繁華街に行くんだけどな~」
涼子 「なおさら行かないよっ!!」
魔女 「ねえ、誰かついて来てよ・・」
みんな 「・・・」
僕 「僕、行く」
魔女 「《ユリぼうず》 ・・ ありがとう やきとり1本買ってあげる」
水玉 「なら僕も行く!」
魔女 「2匹もいらんわ!」
それで魔女と僕は車に乗って、商店街のガジャーヤさんに行った
魔女はガジャーヤさんの前に車を停めて
僕に車の中で待っているように言った
魔女はすぐに戻ると言ったのに
なかなか遅いじゃないか・・
僕は立ち上がって、車の窓からガジャーヤさんの方を見た
(魔女、まだかなあ・・)
(あ・・ あんなところに大きなバイク! すげえ・・)
(ピッカピカ・・だ カッコい~い!)
僕は道の反対側に停まっている大型バイクを見つけてすっかり興奮した
運転席の横のガラスに手と顔をバシッとくっつけて
顔をゆらゆらさせて一生懸命に眺めた
と・・
突然、何かが・・ 僕の目の前に!
僕 「わあ!!」
若い女1 「ちょっと! なに?なに? これなに?」
僕 「??」
若い女2 「猫っぽくない?」
若い女3 「ちょっと違うくない?」
若い女1 「可愛くない?」
僕 (ムカ~!)
若い女2 「チョー可愛くない?!」
僕 「どけっ!!」
若い女1 「わぁー! なんか鳴いてる~ この子、なにもの~?」
通りがかりのおばさん 「え・・ なんなの? 猫?」
僕 「バイクが見えないっ!」
おばさん 「まあ! きょろきょろしながら鳴いてるぅ」
僕 「どけ~えっ!! バイク見せろ!」
若い女3 「あっ、跳ねた拍子に尻尾がみえた! うさぎだ!」
おばさん 「でも耳の形は猫よぉ」
若い女3 「猫だったらもっと足が長くない?」
若い女2 「もっと体も長くない?」
おばさん 「毛の色が猫らしくないわね・・」
若い女1 「でも、整ってない顔がやたら可愛い~い!」
僕 「ふざけんなあ~!!」
おばさん 「まあ、ガラスたたいて何か言ってるわ」
若い女1 「この子、欲しくない?」
若い女2 3 「ほぉ~し~いぃ~!!」
僕 「僕を飼いこなせるのかよぉ おぉ~?」
女達 「きゃ~! 首をかしげて、あごを突き出して何か言ってるよお!!」
若い女1 「かわい~い~! この子、なにもの~!」
「グレムリンだ」
女達 「えっ・・」
魔女 「誰に断って、人の車のガラスをバンバンたたいている・・」
若い女1 「だってぇ~、この子がすっごい可愛くて」
おばさん 「それで、この動物の種類は何なんですか?」
魔女 「だからグレムリンだって」
女達 「・・・」
若い女3 「私、知ってる・・ 宇宙生物・・」
何度も振り返りながら
若い女3人は駅の方に
そしておばさんは、その反対の方に向かって歩いて行った
僕は魔女にぶーぶー文句を言った
見たいバイクが見られなくて
人間を見てなきゃならない事がどんなにストレスだったかを
すると魔女は、僕を抱っこして大型バイクの側まで連れてってくれた
そして、こっそりバイクのシートにも座らせてもらった
「おおぉぉぉ!」
嬉しさのあまり僕のほっぺがぷ~っと膨らんだ
帰りにスパーマーケットに寄った
もう時間が遅くなってしまったから
閉店前で半額になってるお弁当と、僕の焼き鳥を買って来るって
僕は車の中で楽しみに待った
魔女が戻って来た!
僕 「魔女、やきとり!!」
魔女 「ごめん・・ 半額のお弁当を買ったら¥27しか余らなくて・・ 焼き鳥が買えなかった」
僕 「どこまで貧乏なんだよ・・」