フライトに際しては、フライトにおける様々な数値を計算する必要がある。

今はコンピュータの時代だからコンピュータに計算させるのが一般的であるが、昔はE6-Bというフライトコンピュータというものを使っていた。

もちろん手計算でもできるのだけれども、簡単に計算することができるので。


パイロットの訓練においても便利なコンピュータを使ってもいいのであるが、基本を知るという意味でE6-Bによる計算を練習する。

その使い方について何回かに分けて説明をしていこうと思う。

まずE6-Bというものはこんなもの。



両面で使う。

計算できるのものは
時間
速度
距離
燃料消費量
高度換算
真対気速度
NMとStatute Mile相互換算
US gallonとImperial gallonの相互換算
燃料、オイル重量換算
長さ換算
修正角度
地上速度
風修正角
風向・風速
である。

まずは簡単なところで、時間・速度・距離の計算から。

以下の式を基にして作られている。
距離=速度×時間



時間を計算する時は、その時の速度のところに"60 RATE"と書かれた▲の頂点を合わせる。

そして外側のスケールを距離として考え、目的の距離を見、内側の目盛の数字を読むとそこが時間になる。

例えば速度80knotとし、距離6NM(目盛としては60)までの時間を見ると、内側のスケールは45という目盛にあたる。

外側で距離が10分の1に換算されているので、時間も10分の1にすると、4.5分ということになる。

上の計算式では
時間=距離÷速度=6÷80=0.075時間=4.5分
となる。


次に距離を求める。

同様に▲の頂点を速度に合わせる。

そして、例えば4.2分後の距離が知りたいときは、内側の目盛が4.2であるところを見る。

その目盛と合致する外側の目盛の数字を読むと56になる。

ここでも内側は10分の1で換算しているので、5.6NMと読む。

計算式で見てみると
距離=速度×時間=80×4.2/60=336/60=5.6NM
となる。


次は速度。

5分の間に8NM進んだとする。

内側を回転させ、内側の目盛50を外側の目盛80に合わせる。

すると▲の頂点は96を示すので、答えは96knotとなる。

計算式で求めると
速度=距離÷時間=8÷(5/60)=480/5=96となる。


以上。